とある冒険者目線
私達Cランクパーティー《アイアンソード》の面々は夢でも見ているような感覚にとらわれていた。
その日は何時ものように早朝ギルドから森にいるフォレストウルフを間引く依頼を受け昼前に依頼を達成できた安堵感から少し油断をしてしまった。
音も無く群れに囲まれた私達は窮地に追いやられ打開する策がない状況だった。
死に物狂いで戦えば何とか出来ると思うが我々の誰かが犠牲になっていたかもしれない。
そんな中突然石が投げられ迫ってきていたウルフを昏睡させた。誰がやったかと辺りを見ると初心者が着るような簡単な装備に身を包んだ青年いや少年だった。
その少年は援護すると言って私達の戦闘を邪魔しないように次々と持っていた石でウルフの連携を崩してくれたのだ。
ウルフ達も分が悪いと思ったのかある程度倒したら逃げていった。
少年の投擲術で窮地を脱した私達はその少年と話しお礼をする事になった。
少年は終始恐縮していたが、あの投擲術は熟練された動きで、良ければうちのパーティーに入ってもらおうかと打算的な考えも頭をよぎったが今は友好な関係を築くために街まで案内をし親密度上げようと色々話す事にした。
うちのリーダーはそのへん単純なのでそういった考えは思いつかないだろうがここは私が調整すれば良いと思うので街まで一緒に向かう事にする。
街まで着き門も問題なく通れた私達はギルドに向かおうとした。その際勇者パーティーが街に来たのだが私達には関係無いのでギルドに向かう。
ギルドに入りいざ少年の登録をしようとした瞬間、人生で最大の不運に見舞われた。
何と黒竜か森から出てくるのだと言う。
そこにいた冒険者は皆顔を青白くさせ絶望に打ちひしがれ涙するものもいる。
私とて顔には出さないが今日が最後の日かと血の気が引く思いでいた。
だが現実は待ってくれない。誰も動こうとしない中ギルドマスターがやって来て私達を奮起させ冒険者を何とか動くように威圧せれた。
リーダーが促し私達も行く準備に取り掛かろうとして一つ懸念材料が出てきた。
まだ登録もしていない少年の事だ。ギルドの決まりでこの件に引っ張り出すことが出来ない。それに登録してても最低ランクでは避難誘導が関の山である。
だが他のメンバーも彼が何かしらの熟練者であることをわかっているので連れて行くのもいいと思っているみたいだ。
決まりはあるがどうしたものかと悩んでいるとギルドマスターから遅いと怒られてしまい何をやっているか説明するとサッサと避難させろと言われた。
流石にこのギルドのトップに言われたら引くしかないのでそれに従う事にし、少年にはお礼がまだ何も出来ていない事を謝り手持ちのお金を握らせた。
少年は逃げれば良いと言ってくれたがギルドに入っていない彼には対策マニュアルを知らないのも無理はないと思い軽く説明する。
このマニュアルは何代か何十代か前のギルド本部のグランドマスターが発案してそれを全世界に普及した画期的なものだ。
少し風化しつつある事だが今でもそれは有効で今それが証明されたと言っても良い。
それにあまり納得はしていなさそうな少年ではあったが、無事別れることが出来た。
その後は滞り無く準備を進めていざ黒竜を迎えた時、土嚢と魔法で作った壁の間から誰かが走り抜けた。
いったい誰がと思い後ろを振り返ると神官服に身を包んだ一団が見え、おそらく門の所にいた勇者一行の随伴者であることが推察出来る。とゆう事は先程のは勇者とゆう事になり。まだ天は見捨てていなかったと思い、黒竜と勇者の戦いを他の冒険者と見守ることにした。
その攻防は誰もついていけない激しいものでした。
そんな中対峙する両者が距離を取り大技を繰り出すのが見え、勇者は剣を掲げその剣が光り輝き始めた。
方や黒竜は凄まじい魔力を練っているのがわかり、とてもではありませんがアレが放たれればひとたまりも無いと思いました。
他の冒険者も皆腰を抜かしただ呆然と立っている者がほとんどです。
今日何度目かの死の予兆に頭が真っ白になってしまった私達、両者が攻撃しようと技を放つ瞬間空から2つの光が降ってきました。
その光は両者の攻撃を受けとめたのか、いなしたのか黒竜のブレスを受け止め弾いているではありませんか。勇者の剣もいつのまにか刺さっていたランスで弾かれたのか地面に落ちています。
その後土煙が上がりいつのまにか1人の鎧騎士が立っていました。
皆先程の光景に立ち尽くす中、後ろから馬に乗った一団、ギルドマスターと領主と勇者パーティーが駆け寄っていきます。
その後、何かしら話した後いきなり勇者が鎧騎士に切りかかりました。
しかし勇者は簡単にいなされ飛んでいってしまいました。
それを見ていた勇者パーティーの面々も鎧騎士に挑むも簡単にあしらわれ4人中3人が倒れ臥すとゆう結果になりました。
彼は味方なのか敵なのか皆警戒します。
ですがそれは取越苦労だったのか領主と喋り黒竜に乗り去って行きました。
こうして私の人生での中で数えきれない驚きと死の予感を感じた激動の1日は過ぎていったのです。
余談ですが、賠償にもらったと言う黒神竜の鱗に挟まれた勇者の剣を取り出すのに冒険者と領主の兵が全員駆り出される事になるとはこの時は思いもしませんでしたが。
・・・とある冒険者の手記より抜粋・・・