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異世界で1人旅?  作者: kakikuke
プロローグ&最初の街
7/28

戦闘中そして割り込みます

ここで何故俺は、対応出来る相手にも関わらずドラゴンと対峙する事をスルーしたかと言えばはっきり言って面倒ごとにしかならないからである。


ギルマスの前で『俺が何とかします』とか言っちゃってあのギルマスの性格からして『やれるもんならやってみろ』とか売り言葉に買い言葉で事が進んで、そのままドラゴンをどうにかこうにか撃退でもしてみようものなら祭り上げられ逃げ道のない英雄だの救世主だのめんど臭いルートまっしぐらだ。


そんな疲れるものは断固お断りな俺は空気を読んでその場からフェードアウトする事にしたのだ。

だが知り合いのドラゴンをただ放って置くわけにもいかずこうして隠れてドラガさんの所に帰そうと策を考える事にして気配を消し櫓の上から森の方角を見た。


森の中はすごい騒ぎなのか鳥類がギャーギャー騒ぎながら飛び去って行くのがよく見えた。


そんな中冒険者達は、短い時間で準備したとは思えない、土嚢と魔法で作ったと思われる土壁、木の杭を打ち付けて作ったバリケードが所々に出来ていた。

その後ろにはバリスタと大砲の様なものが用意されていた。

かなり火力が有りそうな物だが貴重なのかそれぞれ三門しか準備されていなかった。


街の兵なのか同じ装備をした者がまとまり盾と槍を装備し前列を形成その横には剣と鎧、もしくは革鎧こちらは装備がバラバラなのでおそらく冒険者なのだろう。バリケードから少し下がった日よけ程度のテントpではギルドで会ったギルマスと兵士達の指揮官らしい少し装飾された(それでも派手ではない)鎧を着た者が駒を使って作戦会議している。


しばらく話し会っているのを見ていると櫓下の門が開く音がしたので視線を向けるとそこから出てきたのは、仲間を募りに来ていた勇者一行と神官達だ。

元クラスメイトで今は勇者を名乗っている子鶴 洸、その後ろには同じく元クラスメイト、刈り上げ短髪で身長180前後ある陸上部の猿渡 隆尚(サルワタリ タカナオ)、同じく陸上部で茶髪のショートカットで活発な印象をうける飯田 ユキ(イイダ ユキ)、そしてクラス委員で黒髪ロング清楚な感じで物静かそうな卯月 春華(ウヅキ ハルカ)の4人組である。

神官と神官騎士も男女4人で皆同じ作りの鎧とローブを着ており其々、剣と杖を装備している。


段々門から離れて行き会話は少ししか聞き取れなかったがどうやら勇者としての務めだとか言っていたのでコウは自分達でチェーレと戦うつもりでいるのかもしれない。


その集団はギルマス達が話し合っている場所まで行くと何やら話し始めた。俺のいる場所からは聴き取れないが山生活のお陰で視力はそれなりにいいので目視は出来る予想ではあるが、コウがギルマスと兵の指揮官に『勇者の俺が今迫ってきている黒竜を相手にする』

『小僧が何言ってんだい引っ込んでな』とギルマスが邪険に追い払おうとシッシっと手を振る。

そこで神官の1人が『勇者様をその様な扱いをするとは何事ですか』と憤慨する。

その様子に指揮官が『とりあえず話を聞きましょう』とギルマスを諫める。ギルマスはあまり時間をさきたくないのか少し悩み『さっさとしな』と勇者一行をテントの中に招く。神官は『初めからそうしろ』と文句でも言ったのかもしれない、ギルマスの顔に苛立ちの色が見えた。

そんな俺が勝手なアテレコしていると、動きがあったのか早馬でかけて来た兵士がテントに近づく。


報告を受けた皆はギルマス、指揮官は慌ただしく動き始めた。防壁からもチェーレの姿は確認できたので作戦でも始まるかと思ったその時。


この隙に1人前線へと走った者がいた。

勇者のコウだ、コウは自分が倒すと息巻いたのか他の者が静止するのを振り切り出て行った。勇者補正なのかすごいスピードで、バリケードを駆け抜けて行く。



1人駆け出したコウは腰から剣を引き抜きさらにスピードを上げる。


チェーレは向かってくる者に徐ろに手を伸ばし掴もうとするが、コウはそれを攻撃と思ったのか剣を振るい払いのける。

それは長く伸びたチェーレ爪を切り飛ばした。


それを見た俺は驚き思わず立ち上がる。


ドラゴンの爪それはよくある話でとにかく硬いそれが相場だ、勿論チェーレの物も硬い。だがその爪をいとも簡単に切ってみせたのだ。おそらくそれより硬い鱗でさえ勇者の使う剣は切ってしまうと思えたからだ。


そんな驚き最中にも戦闘が繰り広げられている。


爪を切られ警戒したのかチェーレはすぐさま羽ばたき強風を勇者にぶつける。コウは強風と舞い上がった砂ぼこりに視界を狭め一旦距離を取るためバックステップで数メートル距離を取る。

ただ対人戦であれば十分な距離ではあるがその相手がドラゴンであれば話は変わる。

その隙を見逃さなかったチェーレは半回転した勢いのまま尻尾をしならせ横薙ぎにコウへと追撃する。

コウも視界が悪い中、迫る攻撃に反応し大きく垂直に飛び迫る尻尾をかわし剣を突き刺そうと刃先を向ける。

チェーレもいい反応ですぐに尻尾を引き戻し距離を取る。

そんな数秒の攻防にバリケード近くにいた冒険者、兵士、その後ろにいるギルマス、指揮官、神官達は皆驚き言葉も出ない様である。

勇者パーティーはさも当然と言った感じでただ見ていた。


さてその戦っている2人だが互いに牽制し間合いが50メートル程離れてしまっている。

お互い睨みあっている中コウが剣を高々と両手で上段の構えを取る。剣が光り始め徐々に光量が増して行く。それを見たチェーレも翼を大きく広げ首を下げ口を開く。そうすると翼から空気中の魔力を吸収し自分の魔力と練り合わせたブレスを吐こうとしている。


それをまだ櫓の上で見ていた俺は、今日一番驚きそして慌てた。


外気の魔力を取り込み自分の魔力と合わせる事はドラガさんから教わった技術でその調整を間違えば自分自身もだが周りの被害も尋常ではない。だがチェーレは俺とドラガさんの修行を見よう見まねで修得してしまったのだ。そんなブレスもとい破◯光線は文字どうり辺り一面死の大地へと化す殺戮光線なのだ。


幸いあの攻撃はタメが長い、コウの方もタメが長いのかまだ動く気配はない。

俺は急いで止めようと櫓から勢いをつけ高く飛ぶ、先ほど説明した様に外気の魔力と自分の魔力を練り合わせた身体強化で飛んだので中々の高さまで飛ぶが距離は離れているので届くはずも無い、その練り合わせる応用で自分の中に取り込むのではなく外気の魔力に自分の魔力を混ぜ魔法を使い空中に魔糸を十字に張り固定足場にしながら更に高く飛び距離を詰める。

その間に今装備している初心者装備を収納魔法でしまいインナーのみになる。

収納魔法で死蔵確定だった装備を着るためだ。


その装備は主達の戦いを終え色々物資が豊富になった頃じーさんと錬金、付与、鍛治訓練の総仕上げとして作った色々とやり過ぎてしまった。ドラゴンをモチーフにした白銀に輝き赤い線で縁取りされた全身鎧(フルプレート)、ドラゴンの翼を二翼重ねたモチーフの色味も鎧と同じ全身が隠れるほどの壁盾、最後に色味は同じであるがあまり飾りっけはないシンプルな西洋槍の一種ランスのひと狩り行きますかと聞こえそうな装備一式である。


作った経緯については省くが貴重金属、様々な付与をこれでもかと注ぎ込んだ自重を踏み抜く勢いの物である。


収納魔法でそれらを着るように全身に身につけて行く。


穏やかに過ごしたい俺には無用として直ぐに死蔵を決めたのに早速使う羽目になるとは、、、少し深いため息が溢れる。

それでも今の状況では身元がバレないようにするにはうってつけなので頭を振り切り替える事にする。


何度か魔糸を空中展開させ跳躍しながら1人と1頭が対峙する上空まで来た。何とか間に合ったと安堵する暇なく動きがあったのか。


先に仕掛けたのはコウだ。

光り輝く剣を横に構え直し直進する。スピードは最初に駆けて来たように早く一直線にチェーレへと迫る。

駆け出すと同時にチェーレもブレスを撃つように最後のタメをする。別にコウ自身に当たってもどうにも思わない。逆に『吹っ飛べ』とも思わなくも無い。

だがその後ろにいる冒険者や街が壊滅的な被害が出るのは看過出来ない。


俺は、左手のランスをコウの剣に、右手の壁盾をブレスの射線上に投げつけた。投擲術の鎧強化補正が効いたので狙った所にピンポイントで投げることができた。

迫るコウとチェーレの距離は20メートルまで近付いたところで俺の投げたランスがコウの剣の持ち手に当たり、剣を手から弾き飛ばす。手から離れた剣は徐々に光が失われていき地面に落ちた。

ブレスを撃った瞬間、目の前に壁盾が地面に突き刺さりブレスを受ける。盾には魔力霧散化が付与してあったと思うのだがどうやら目論見どうり力が分散され盾本来の強度と魔力変換《防御》が働き耐えることができたようだ。


魔力霧散化は受けた魔法攻撃の魔力を大気に霧散させるもので、魔力変換《防御》は外にある魔力を自身の防御に上乗せするものであり対魔法戦に有利に運べる盾なのだ。『うん、チートだ』と内心呟くがそれを脇に置き。隠密系をキャンセルして1人と1頭が対峙する中間に『ドドーーーン』と音を立てて砂塵を巻いて着地する。


鎧補正でダメージは無いが衝撃で鎧の中に金属の甲高い音が響、キーーンと耳鳴りがして涙目になるが直ぐに回復魔法をかけ何事も無いようにしたのは秘密である。

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