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それは、呪いという  作者: いっくん
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プロローグ

 何年振りかも忘れたくらい、久しぶりに会う訪問者。住所の細かい位置どころか国さえ教えていないのに、ぴたりと当てて訪れてきた。布さえ貼っていない木の椅子に座り、嫌味なくらいに、この世のものではないくらいに整った顔を見たくもないため、小さな窓から見える灰色の空に目をやり、煙草の煙をくもらせる。

この国も明日出ようと考えているところに、男は存在を思い出させるかのように咳払いをしてこちらの視線を向けさせる。

 久しぶりなのに挨拶もないのか、という嫌味には、あなたがくると厄介事もくるからと。事実、自分が覚えている記憶の中で、男は常に硝煙と血の香りがともにあった。

男はこちらの思いを読み取らず、顔を見て鼻で笑う。そして驚いたように目を見張った。何故、一歳も、一切も見た目が変わっていないのかと。意味がわからずに目を細めると、彼は初めて見る真剣な表情でこう指摘した。

 君は呪いがかかっていると。

 男と出会ったときからかかっていると小ばかにしながら返すと、彼は首を振って否定した。君は悪い男にのろいをかけられたようだ。

 男は私の手を強引にとって、瞬く間にコートを着せ、部屋の荷物をまとめ、外へ連れ出した。宿の女店主には値段も聞かずにお金を握らせ、こちらの文句をいう暇もない早業だった。さすがに頭にきて文句をいおうかとすると、彼は、私の両手を握って、目をのぞき込んできた。人間にはとても思えないような、赤い、紅い目。そうして、人の形をした悪魔は、曇天の中、さびれた小さな町でこう私に宣告した。


 「君は、初恋を終わらせる必要がある」


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