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異世界の学園がもはやギャルゲー  作者: ヘルプ
第2フェイズ 隣の教室編
89/124

5限目 腹痛


「将来の夢。睡眠時の夢。はかないもの」


5限目。国語の授業。

ベリエール先生が俺の苦労など素知らぬ顔で夢について語っている。たまたま夢の内容が授業に載っていたからか、4限の進路面談の回想を交えながらいろいろ展開させている。


「みんな、夢と聞いて、考えることは人それぞれだろう。だが、お前達はあと2年もすれば学園を卒業しなければならないんだ。すでに将来について決めている者はいいが、まだ決めてない者や、あまりに現実からかけ離れていることを言う者は、もう少し現実を見て欲しい。自分の将来を決めるのは、他ならない、自分だ。そのことを、しっかりと胸に刻んで残りの学園生活を過ごして欲しい」


……などというようなことを言っている。俺と目が合う。……。

それは俺に言ってるのか、え?


「……」


俺だって、いろいろ考えているんだ。だがしかし、俺はこの世界で就職するのか? え?

どうなんだ……知らない……俺には、何もわからない……。

邪神がこの世界に勝手に連れてきて、この学園に通えと言ってきた……ということは、俺の将来は、邪神の手によって握られているということなのだろうか……?

だとすれば、俺の将来は、俺が考えることではないと言えるか……?

わからない……それと腹痛ぇ……。



ぐるるる……。


ぐーぐうるるるるる……。



腹が鳴るたびに、俺は息を止める。

胃を張らせ、音が鳴らないようにする作戦。



ぐーーーーぐるぐるぐる……。



だが鳴る。くそ、こうなったら、教科書で隠して弁当を隠し食いしてやろうか……。そうは何度も思うが、ベリエール先生がなかなか隙を作ってくれない。というか、こんなど真ん中の席じゃ、隠したところで即バレるレベル。

どうする……どうする俺……。どくん、どくん、どくん、どくん。

服の中に弁当を隠し、腹痛を訴えて保健室へ行く作戦を立てるが、なかなか行動に移せない。


「……」


ごくり、と唾を飲み込んでしまう。

今、唾を飲み込んではいけない。そう思っていたが、飲み込んでしまった。

腹の虫が、今にも過去最大の悲鳴を上げようとしている。

よりにもよって、そんなときに限って先生が黙る。

教室が静寂で満ちる。


10

やばい。



……うわ、やばい……死ぬ……。


「せんせ……」

ぐーーーーーーーーーーーーー「どうした、アーシャ」ざわざわざわ。


「……っ」


あ、危なっー!

後ろから聞こえてきた、アーシャの先生という声と先生の言葉によって、俺は九死に一生を得る。

腹を押さえて苦悶に表情をゆがめる俺の横を通り、ベリエール先生が中央最後て尾の席へと歩いて行く。

先生の言葉に周りがざわつき始める。

俺も腹を押さえながら後ろを振り返った。


見れば、アーシャがお腹を押さえて痛そうにしていた。というか、俺もそんな感じにしてたんですけど……。

アーシャには気づき、俺には目もくれないという……。

別にいいけどさ……。


「腹が痛いのか……?」

ベリエール先生が下を向くアーシャに心配そうに声をかける。

「……(コク)」

アーシャは何も言わず、うなずきだけ返した。

「保健室、行けるか?」

「……(コク)」

「そうか……。誰か、アーシャを連れて行ってくれないか?」

その言葉に、俺は反応する。

俺が連れていけば……そう考え、俺は手を挙げようとし……やめてしまう。


「はい」

アーシャの左隣にいた薄緑髪のミーモ・クレシェルが手をあげる。

「ありがとう。じゃあ、頼む」

「はい」



そうして、アーシャはミーモに連れられて保健室へと行ってしまった。

……。

そして、授業が再開される。


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