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異世界の学園がもはやギャルゲー  作者: ヘルプ
第2フェイズ 隣の教室編
72/124

初授業 新米教師 メイス・コストリア

「よ、よよよ、よよよよよよよよよ……っ!!」

「大丈夫か……?」


2限目。美術。

教壇上には、ベリエール先生と、新米教師の低身長で黒髪ツインテールの先生が黒板に背を向けて立っている。

黒板には、白いチョークで、メイス・コストリアと書かれている。

黒髪ツインテールといえば、俺の前に座っている、確かルルエとか呼ばれていた女生徒も黒髪ツインテール。

しかし、年上なだけあってルルエよりも大人びており、尻尾も肩にかからないほどの長さのルルエに比べて、先生の場合は胸の辺りまで伸びている。

胸と言えば、俺の見た限り全ての先生が巨乳だったのに対して、その先生に限っては、貧乳と言わざるを得ない平坦さだった。まあ、別にだからなんだという話だが……。

とはいえ、いくら大人びているとはいえども、低身長で貧乳な先生は、どうひいき目に見ても大人びた『ロリ』と形容するのが妥当な風体であった。


そんな合法ロリの先生が今、生徒達が見ている中で自己紹介をしようとしているのだが、緊張でうまく呂律が回らないのか、よよよよと言ったまま、固まってしまい、ベリエール先生が大丈夫か? と心配そうにその先生を見つめているのだった。


「だだだ、だいじょうぶ、ですっっ!!」

「いや、どう見ても、大丈夫なようには見えないのだが……」

「少し落ち着かせてください」

「わかった」

「スーハー……スーハー……」

「……」

「……よし。では、行きます」

「よし、行け」

「はい。わ、わわわわわ、わたひは、あひ、は、あ……っ!?」

「……」

「失礼しました。もう一度、お願いします!」


「……」


かれこれ、自己紹介が始まってから、5分くらい経過している。俺の無言自己紹介が1,2分だったのに対して、この先生は時間など関係ないかのように、とにかく自己紹介をし終えるまで止めようとはしないようだった。俺のように中途半端に終わらせることだけはしたくないようだった。



10分後


「スー……ハー……。えっと、私が、新しくこの学園に教師として入ることになった、メイス・コストリアと言います! 私の得意科目は美術で、特に絵を描くことが大好きです! 美術担当というのは一時的で、慣れてきたらどこかのクラスを担当することになると思いますが、みなさんとは、これから仲良くしていきたいと思っています! よよよ、よろしくお願いします!」


やった言えた、そう喜びながら待ちぼうけていたベリエール先生を振り返る。


「ああ、まあ、初めてだしな。でももう少し、自己紹介は短くしてもらえると助かる」

「す、すいません……」



メイスコストリアという先生は、恥ずかしそうにぺこぺこと頭を下げる。

自己紹介が長すぎたせいで、ベリエール先生にお咎めを食らってしまったようだった。

普段は優しいベリエール先生に言われると、けっこうクるんだよな……。

俺は先ほどのお叱りを思い出しながら、メイス先生に自分を重ね合わせた。


時計を確認する。

時間はだいぶなくなってしまっている。

いったい、メイス先生はなんの授業をするのだろうか。

そう思いながらも、俺は次の先生の言葉によって、発狂しそうになった。



「えっと、じゃあ、今日は、隣の人と向かい合って、クロッキーをしてもらおうと思います。クロッキーというのは速写のことで、時間を設けて対象となる相手を素早く描写してもらって――」



まじかよ……。

ふっと、俺はルティアを見た。ルティアも俺を見た。

よりにもよって、クロッキーかよ……っ。俺の恐れていた事態が……。俺が描かれる……? ぜったい、いやだ……!

しかも今、ちょうど気まずいルティアと……!? やべぇ、汗かいてきた……!

くっそ、なんでこういう系のを選ぶかな、あの新人教師……。しかもそれを飾るとか言ってるし……!

自画像とか、相手を描くとか、俺のもっとも嫌いとするやつなんだが……。くそう。あの新人教師……! 許すまじ……。



俺の同情しかけていた心が、一気に、新人教師への憎しみへと変わってしまった瞬間だった。


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