俺、学園通います(深刻ver)
「学園に行け」
「……? どこだここは……」
気が付くと、俺は薄暗く気味の悪い小部屋にいた。目の前には真っ黒い人間が豪奢な椅子に腰掛けている。
「我が息子よ」
目の前の闇に染まったような影が言う。
俺は棒立ちでそいつと向かい合っていた。
「俺が、お前の息子……? 誰に言ってる……? まるで意味がわからないんだが……。というかここはどこだ? そして、お前は誰なんだ」
全く意味がわからなかった。こいつは、何を寝ぼけたことを言っているんだ?
俺には父親も母親もいる。こいつが、俺の親であるわけがなかった。
「お前だ。我が邪神の息子よ」
こいつは自分のことを邪神と言い、俺のことを邪神の息子と言った。意味が分からない。
「おいおい、ふざけるのも大概にしてくれ……。俺には、父親も母親もいる。お前が親なわけがないだろう」
息子と言い張る邪神に対して、俺は言い返す。
「そいつらは本当の父親と母親ではない」
邪神が厳かに言う。
「……なに?」
俺はいぶかる。
「お前は十数年の間、向こうで養子として育てられたのだ。我が息子よ」
「……?」
「……我が息子よ。今からお前はこちらの世界で学園に通うのだ。よいな」
邪神のどす黒いオーラがえげつなく燃えさかり、俺は背筋が凍り付くのを感じた。
だが、ここで引き下がるわけにはいかない。
「おい、勝手に話を進めるな」
「よいな」
「……」
こうして俺は学園に通うことになった。