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3限目 教室の端から見る授業風景


「……ふん」


窓際の最後尾。

俺はその席に頬杖をつきながら座っている。カーテンが風に靡き、外から生ぬるい風が入ってきて俺の鼻孔をくすぐる。

外は快晴。異世界の日光が空高くのぼり、学園とその敷地をさんさんと照らしている。

そんな春の陽気。


学園内では粛粛しゅくしゅくと授業が進んでいる。クラス内にいるのは一体全体、どうしてそこまでそうなのか、全て美人か可愛い子。それらが各席に等間隔を開けて配置されている構図。

男はその中でただ1人。俺1人。男ぼっち君。

男ぼっち君の俺は、それらの風景をなんとはなしに眺めている。

黒板をかつかつとチョークを鳴らす音が教室に響き、フランソワがゆるふわ茶髪の後頭部をこちらに向けて背中を向いている。

真ん中の席には金髪ロングのレレイナクラウンが座っている。

隣には桃色ショートの小さくて可愛らしいアイ・シルフィーが。

最前列廊下側から二番目の席には天然ボケのココミハルが座っている。


レレイナクラウンの右隣には朝の教室で少し話した二の腕ほどまで伸びた金髪ツインテールの女生徒が面倒くさそうに机に伏している。

俺の席の最前列には水色のショートカットのどうして少女。

そして俺の一つ前の席には黒髪ロングの清楚系女生徒。こいつは前から回ってきた配布物を俺に回す際に、いつも顔を引きつらせる。授業が終わると俺が後ろにいるのが嫌なのかそそくさと席から去っていく。

戻ってくるのもいつも最後。片目の下に美人ボクロがある。


最後尾の一番廊下側の席にはショートボブのオレンジ茶髪っぽい女生徒がノートにペンを走らせている。こいつは今日、俺のことをよくチラ見してくる。

一番廊下側の前から二番目の席には黒髪で巻き髪の女生徒。こいつはよくレレイナにちょっかいをかけている。今日もレレイナと言い合いをしていた。お嬢様然としたどこか冷ややかなオーラを身に纏っている。

俺のこともよく思っていないようで、うんこでも見るかのような目をいつも俺に向けている。

他にも緑や紫や赤や青や上述した髪色のやつがいる。

俺はまだそいつらのことを何も知らない。

この先、知ることがあるのかもわからない。


「ふぁああ……」

太陽を浴びて、眠くなってきた。

腹もだいぶ減ってきている。


元の世界にはいつ帰れるのだろうか。

邪神の学園に通えという言葉を思い出し、だが理由は一言もしゃべらない。


「……寝る」

黒板を走らせるチョークのかつかつ音を聞きながら、俺は遠くなるリアルに目を閉じた。




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