先生!小六ロリと不良が保健室でエロいです。でも先生の方がもっとエロいですね。
「とうとう俺にも遅すぎる思春期が来たか……」
HR前、自席に座りながら俺は、今朝の金髪美女、もとい伝説の勇者の娘レレイナ=クラウンとの甘すぎる登校風景を思い出していた。教室の中央の席に着席しているレレイナを見る。「うっ」つわりが。
向こうは何を思っているか知らないが、俺は転入3日目にして既に真ん中の席のそいつを意識してしまっている。「どこまで歩く?」だと?
頬を染めながら言うんじゃない。惚れてまうや! いや……意地でも言わへんでぇ。俺は頭がおかしくなり始めているようだった。
教壇側の扉を開けてフランソワがいつもと変わらぬ明るい表情で教室に入ってくる。
「みんなおはよ~!!」
HRが始まり、今日こそつつがなく終わるかと思いきやまたもや俺の話題が最後に降りかかる。俺の話題を上げないでくれというささやかな祈りはロケランを大木にぶっ放すが如く木っ端みじんに崩れ去る。三日連続だった。
「夜霧君は身体測定がまだなので、この後、保健室に行って下さいね??」
クラスメイトの女子達の視線が俺に集まる。レレイナも肩越しに俺を振り返る。どきっとする。
「……はいぃ」
俺は高鳴る心臓を押さえ、呼吸をするように静かに言葉を返した。
保健室の場所を緑白い魔方陣の近くに貼られている学園内地図で探した。
保健室はどうやら1階にあるらしかった。登校する際に毎回1階の廊下を歩いていたが気付かなかった。
それもそのはず。いつも通る廊下と反対側にあるからだった。
魔方陣で1階まで移動する。毎回思うが、階段の撤廃は子供の運動不足に繋がる、とかで問題視されないのだろうか。
「まあ、17階まであったら流石にきついよな……」
魔方陣で、よかったぁ。生徒からすればただただ有り難い。女生徒達の視線に晒されながらエレベーターの順番待ちをし、男一点満員個室に乗り込む必要もない。それだったなら俺は大人しく階段を使っている。
保健室の表札を確認して、カーテンで扉窓が塞がれている扉を開いた。
「失礼します」
俺はなんとはなしに保健室に入り、中にいた、背中を向けて上半身裸の、見た目小学生ほどの生徒と、聴診器を当てているナース服を着た巨乳の保健室の先生を確認した。ナースの背中には羽がついていた。
「あ」
女生徒が振り向いて言った。俺と同じ白髪だった。だが、その女生徒の方が髪は長く、また髪質も俺より断然さらさらしていた。肩胛骨まで伸びるロングの髪に加え、両サイドを結わえ、そこから筆先のような髪束が小さく出ていた。
「あ」
俺も声を出した。
ロリは表情を赤らめるでもなく、肩越しにこちらを向いて見上げていた。横乳が見えていた。これ15禁か……?
まあいい。ただの子供おっぱいだ。膨らみかけなのは否めないが。
「見たな」
「悪い」
「あら、待ってたわよ」
薄い金髪をまとめ上げたピンクのナース服の先生が聴診器を外しながら言った。エロい。特に巨乳と、薄く赤い口紅と、ぴちぴちのスカートからのぞく足。特にもなにもない。言ってしまえば全部。大人の色気をふんだんに身に纏っていた。
女生徒は脱いでいたシャツを着始める。
「今は安定してるみたいね」
ナースは女生徒に言った。女生徒がうなずく。女生徒はブレザーを羽織ると、「む」と言って俺を睨め付けて出て行った。
「ふふ。やっぱり男の子がいると、女の子は緊張するのね」
エロいナースが近付いてくる。
「ね? そうは思わない?」
肩にあごを置かれ、ふーと耳に息をふきかけられる。
「あひん」
「ドキドキ言ってる」
胸を触られる。
「エロいですね」
「ありがと」
「ええ、褒め言葉ですよ」
「嬉しい。女性として意識してくれている証拠ね」
男の扱いに慣れているかのような言動でナースはゆっくりと俺の胸から手を離し、近すぎる距離を離した。
「私はナース・エンジェル。よろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
看護婦。天使。そのままだった。
「じゃあ、身体測定を始めましょうか」
「はい」
ナース先生が尻の形をくっきりさせて俺に背中を向け、準備を始める。何かエロいことを期待したが、普通の身体測定だった。
「身長は178センチ、と。記憶記憶」
記録をしながら脳に記憶していた。
「ちなみに私は168センチよ」
「なるほど」
「どうかな?」
「どうとは?」
「好きな女の子の身長は、いくつぐらいがお好み?」
「ええー……」
俺は考え、とりあえず先生の喜びそうなことを言うことにした。
「先生くらいの身長です」
「まあ」
ナースが頬を赤らめる。
「優しいのね」
「それほどでも、あります」
「ふふ」
ナースが喜ぶ。
つつがなく身体測定が終了した。まだ一限目の途中の時間だった。
帰ろうとすると、先生に呼び止められる。
「良かったら、もう少しお話していかない? 私、男の子が学園に転入してくるって聞いて、すごく楽しみだったんだから」
「そうなんですか」
「そりゃそうよ。たぶん、学園のみんな、言葉には出さないけど、貴方に話し掛けられるのを待っていると思うわよ」
ナースは冗談めかして笑う。
「冗談でしょう」
俺は痛い視線を思いだし頭を悩ませながら言った。
「そんなことないわよ。今まではこの学園に女の子しかいなかったから、ちょっと変な目で見てしまうのかもしれないけど。女の子は、男の子が好きなんだから」
「へえ」
「信じてないって顔ね。でもほんとうよ?」
「自己紹介でやらかしてもですか」
「ふふ。そうよ。あれはあれで、良かったわよ。シャイで可愛いなって思ったんだから」
「まじですか」
「ええ。自信を持って」
なぜか相談に乗ってもらっているみたいになっている。心がやすらぐ。
忘れたいと思っていた自己紹介の件がどうでもよくなってきた。
とても口がうまくて聞き上手な先生らしかった。
「ねえ、キス、したことある?」
「!?」
唐突に色恋を持ってくる。色恋談義をしたがる先生だった。
「な、ないですよ」
「してみたい?」
ナースの潤沢な赤い唇に目がいく。思わずよだれがたれそうになる。
「ま、まあ」
「じゃあ、してみる?」
「!?」
先生はふふと笑うと立ち上がった。まじかよ。
巨乳が近付いてくる。
しかし俺の期待とは裏腹に、ナースはそのまま歩き、カーテンで仕切られたベッドのカーテンを開けた。
「うわあっ!!」
聞き耳を立てていたらしい1人の女生徒がベッドから飛び出る。髪をまとめ上げ、片側から手持ち花火のように髪束を出している。突き出た胸とは反対に男っぽさがあり、どこか不良じみていて、目がきりりとしている。下着で、銀髪だった。俺はかわいらしいブラとパンツを見る。
「ミレーゼ。話は聞いていたでしょう」
「な、何の話かなー?」
「キス、したいでしょ」
「むぐっ!!?」
俺が反射的に見られる。
「いいいいや、オレがそんなたまに見えるかよ。な、なに言ってんだこのエロ女っ!」
女生徒はベッドに乱雑に散らかしていた服を乱暴にかき集めると、下着姿のまま逃げ出した。
……なんだったんだ?
俺は額に汗を浮かべながら、それを呆然と見つめていた。