ライム・ロファ ②
「よし……」
行くか……。
3限があっという間に終わり、休み時間。俺の一番前の席には、ライム色ショート髪右サイドを小さく結んだライムロファが1人でちょこんと座っている。この3限目までで、誰かに話し掛けられている様子も、話し掛けている様子も一度も見ていない。やはり、人見知りだからだろうか……。
とはいえ、そういう俺も人見知りな方だが……。
現在、首痛は治まっている。前も向けるようになった。ククのおまじないのおかげだ。
そのククは、またも教室前のロリがたむろする場所へと行ってしまったが。
俺は席を立つと、ライムの席へと歩いていった。
小さな背中が近付いてくる。
大丈夫だろうか……? 今朝、俺はライムと友達になったとはいえ、びくっとさせてしまうのではないかと心配になる。今朝のように、口を利いてくれるだろうか……?
ロリたちは、俺が歩いていても、ほとんど気にしている様子はない。
俺も気にすることなく、ライムの元まで歩いていけた。
「……」
……とはいえ、なにを話し掛けたらよいのかわからない。
1年生の話題って、何があるだろうか……?
考えていると、ライムの横まで来てしまう。
ライムが俺に気付き、俺を見上げた。
昨日の学活の時のような、下を向いたままびくっとしてしまうようなことはなかった。
ライムの純真な瞳が、俺を見据える。
来てくれた……、そんな瞳だった。
その顔を見て、俺はほっと一息安堵する。
俺はその場に腰を下ろすと、ライムの視線も同じく下がる。
俺がなにを話そうか迷っていると、ライムは机の引き出しから、先ほどのミリアのように、俺のあげた劇画人面犬の折り紙を取り出し、両手で俺に見えるように持った。
「あ、人面犬。持っててくれたの……?」
「……(こくり)」
「そうか……」
ライムの顔が、こころなしか赤くなる。
ライムも同様、こんな折り紙でも喜んでくれるのか、と感慨深くなった。
しかも、この折り紙は今日あげたのではなく、昨日あげたものだ。
それを大事にしまってくれている、それは俺にとっても、とても嬉しいことだった。
「ありがとな……」
言って、俺は自然にライムの頭をなでることが出来ている。
ライムは逆らわず、懐いた子犬のようにその手を受け入れていた。
はぁー……可愛い。
「……」
……俺はこの教室に来てから、ロリと接する時、可愛いばかり言っているような気がする……。
俺はここまでロリコンだったのだろうか……。俺は普段、可愛いなどという言葉、滅多に使っていなかったはずなのだが……。
……どうやら俺は、やはりロリコンになりかけているのかもしれなかった。