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異世界の学園がもはやギャルゲー  作者: ヘルプ
1年生の教室編
123/124

ミリア・パレット ②


「ふぅ……」


2限後、休み時間。

3限まではあと少し。首はまだ痛む。

俺は前を向こうとしては右を向き、前を向こうとしては繰り返していた。徐々に前を向けてきているような気はする。

さっきまで右隣で俺におまじないをかけてくれていたククは、ロリたちがたむろしている教室前の方に行ってしまった。

前の席の赤髪ロングちょんまげのティナも、同じく教室前へと行っている。斜め前の紫髪の子も同様。俺の席の周りには誰もいない。


考えてみれば、俺は1限後の休み時間に積極的に話し掛けると決意したはずだが、この首痛が起こったせいで、まだ話し掛けに行けていない。

……まあ、もう少し、治ってからでいいか……。


……そう思い、俺は先に首を治すことに専念する。

と。

誰かが俺を見ている視線を感じる。見れば、教室の後ろ扉付近から俺を見ているロリが1人。

あの子は確か、俺がチューリップ鶴をあげた、金髪ロングの、えー、誰だ……あの子の椅子、廊下側から2番目、前から2番目に座っている……目を細め、なんとか視認する。

……ミリア・パレット。というらしかった。


ミリアは、俺の視線に気付くと、はにかみながら駆け寄ってきた。いや、駆け寄ってきてくれた。


「あ!」


ミリアは俺の目の前で立ち止まり、言った。


「あ」


俺もあ、と言った。

正直、可愛かった。


「ほら!」


ミリアはほらと言って、後ろ手に隠し持っていたものを俺の前に出した。

それは、俺が昨日あげた鶴だった。

まだ持っていてくれたのか……。


「あ、俺があげたやつ」

「うん! ぱたぱたー」


ミリアは俺の目の前で嬉しそうに鶴を斜めに揺らし、鶴が飛んでるように見せかける。


「おお」


それを見て、こんなものでも喜んでくれるのかと、俺は嬉しさがこみ上げる。

チューリップ鶴を見てこれ違うと言って怒ったココミとは大違いだ。


「かわいい」


ミリアははにかみながら言った。


「そ、そう?」

「うんっ!」

「そ、そうか……」


ミリアの嬉しそうな顔に嬉しくなりつつも、俺はまだ自分を出し切れていない。

こういう子供には、もっと心を開いて接したい気持ちがあるが……なかなか上手くいかない。

本当だったら、よしよし良い子だ~可愛いな~ほんとうにミリアは~なんて言って褒めてやりゲフンゲフン。


キーンコーンカーンコーン。

その時、3限が始まる室内チャイムが鳴った。

時が経つのは早いものだ……(しみじみ……)。


「なっちゃった」


そう言って、ミリアは自分の席へと戻っていった。


前の方に集まっていたロリたちも、自分の席へと戻っていく。

黒髪ロングポニテのアオウ先生が教室に入ってきて、ククやティナ、紫髪の子も戻ってくる。


「それじゃあ、3時間目の授業、始めるよー」


クラスの生徒たちが全員座っているのを確認したアオウ先生は、授業開始の合図をし、3限が始まった。



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