5限目 学活 ④ ミリア・パレット ①
「……」
5限目。学活。
授業は残り5分を切っている。周りでは、折り紙プレゼントならぬ折り紙交換会が行われ、特に先生の周りには人だかりならぬロリだかりが出来ており、てんやわんやの騒ぎとなっていた。
そんな中、俺はそれらの光景を眺めながら、机に置かれていた3枚の折り紙を手に掴んだ。
「……」
俺の周りには、もはや誰もいない。みな、先生の元や、友達の元、友達になりたい人の元へと行ってしまった。
俺と友達になりたいという、志の高いいい子ちゃんはこのクラスにはいなかったようだ。
……。
「……」
……別にいいし。
別に、もしかしたら新しくクラスにやってきて俺の周りにもロリたちがやってきてくれるんじゃないかなんて、期待してなかったし。
……なんて冗談はこの辺にしておこう。
俺はもう一度周りを見回すと、立ち上がった。
俺の最前列には、黄緑髪ショートで片側を結び小さく尻尾の出ているライムロファがいる。
ライムも同様、1人で自分の席に座っていた。
立ち上がる様子はない。
俺はその子の元へと向かおうとした。
「……?」
向かおうとして、右足が重石がつけられているかのように動かず、右足が重いことに気付く。
足下を見ると、そこには金髪ロングで緑の瞳をした、言うなれば、レレイナを小さくしたような女生徒が俺につかまっていた。
その女生徒は、はにかんだような笑顔で俺を見上げている。
「……どうした」
俺は向かおうと思っていた足を戻し、ロリがやってきてくれたことを少し嬉しく思いながらも、聞いた。
手には2枚の折り紙を持っていた。
「……これ」
ロリがつかまっていた手を離し、持っていた折り紙を俺に1枚差し出す。
俺はかがんで、それを受け取った。
「……くれるの?」
「……うん」
ロリははにかみ、両手を後ろに回す。
「……」
……なんという天使。
その時俺は、その子のあまりの天使さに、昇天しかける。
正直、嬉しさを隠すことが出来かねる。
「……じゃあ、俺も」
俺も返礼がわりに、一番まともなチューリップ鶴を渡した。
「……ありがとう!」
そのロリはチューリップ鶴を受け取り、礼を言うと、頬を赤らめ、別の子の元へと駆けていってしまった。
俺はその後ろ姿を見ながら、その純情さに薄汚れた心が澄み切っていくのを感じる。
「……やば」
……こうして、図らずも、俺はロリコンへの道を歩み始めることになるのだった。