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異世界の学園がもはやギャルゲー  作者: ヘルプ
物語は、新たな展開へ
116/124

5限目 学活 ③ 


「……」


5限目。学活。


学活の時間は終盤を迎えている。折り紙を折り終えた生徒たちはだいぶおり、黒髪ロングポニテのアオウ先生に見せに行ったり、クラス内を歩き回ったり、友達と話したり、好き勝手やっている。


その様子を見ながら、俺はただ、ぼーっとしながら、あと1つのチューリップをどう改良するか悩んでいた。

別に裏返して目をつけて犬とか猫にしてもいい。

なんなら、ククが作っていたような熊でもいい。


俺は黒板上の時計を確認する。

時間も迫っている為、この際、もう何でもいい。


「……もう、これでいいか」


俺は適当に顔をかいて人面犬にすると、席を立った。

俺はアオウ先生のいる教壇前へと向かう。


アオウ先生はロリたちに囲まれていた。

人の良さそうな先生は、かなり生徒たちに好かれているようだった。


「……」


その時、俺の最前席にいるショートで右サイドを小さく結んだ黄緑髪のライムロファが目に入る。

ライムは先生とその周りを囲む生徒たちをうらやましそうに眺めていた。


しかし俺はそのまま先生の前に行きそうになり、二の足を踏む。


「お、夜霧くん、できた?」


二の足を踏むが、俺に気付いた先生に話し掛けられ、結局、先生の前に行った。


「ええ、できましたよ」


「ほほう。高校2年生の夜霧くんは、いったい、どんなすごいものを作ったのかな?」


アオウ先生が期待を含めた言い方をしてくる。

ロリたちも周りから、俺の力作に興味を示す。


俺は恥ずかしさに片手の平を開いて顔を覆うと、指の間から目を覗かせる。


「……そんなに期待を込められても、困るんですけど……」


言って、パッと瞬時に3枚の駄作を教卓の上に乗せた。


ザ・駄作を見た先生以下ロリたちの反応。


「……」


無言……。唖然と無言。


「……もういいです」


俺は瞬時に、放った3枚を手のひらに戻した。

俺のターン。サレンダー。


「……今の、すごい顔が描いてあったね……」


アオウ先生は、はははと苦笑ぎみに言った。

笑いを取るつもりで描いたのだが、その時、俺は犬の顔を劇画にしたことを後悔した。


「あ、男の子だ」


と、背後から見知った声が聞こえ、俺は振り返る。


「やあ」


振り返ると、そこにはかつてのクラスメイトの弁当を届けに来た、イーラの妹、かえるくんがいた。

カエルくんはフードを被っておらず、またカエルの着ぐるみを着ていたわけでもなかった為、話し掛けられるまで全く気付かなかった。

栗色の毛先が少し遊んだショートヘアに、栗色の瞳。そして私服にスカートをはいている。

その時のカエルくんは、カエルくんというより、カエルちゃんだった。


「知ってるの?」


カエルくんと一緒に俺のことを見ていた、赤髪ちょんまげのティナがカエルくんに尋ねた。


「うん、知ってるよ。だって、前にも1回、話したことあるもん」


カエルくんが自慢げに話す。


「へえー、すごーい!」


薄く染まった頬が特徴のティナが褒める。


「ね、ぼくのこと、覚えてる?」


カエルくんが嬉しそうに俺を見上げる。


「かえるくん」


「そう。ぼく、かえるくん」


えっへん、と偉そうにする。

かえるくんが偉そうだった。


「じゃあ、またね」


言って、かえるくんはティナを連れて自分の席に戻って行ってしまった。


「……」


俺も見せるものは見せたので、やることもなくなり、自分の席へと引き返すことにした。


自分の席につく。


つくと同時、今度はピンク髪ゆるふわロングのククが嬉しそうに立ち上がり、折り終えた折り紙たちを持って「せんせー」と言いながら先生の元へと向かった。


俺はそんな雰囲気の教室内を感じながら、1人の女生徒に気を留める。


校長先生には、ライムを気にかけてやってほしいと言われている。


言われていた通り、友達と話している様子もなく、1人、大人しく座っていた。


……何か切っ掛けが欲しい。

話し掛けるきっかけ。

なくてもいいが。

俺が話し掛けても、たぶん、避けられる気がする。

そう、どこかアイに似ているからこその、嫌な予感。


だからこその、きっかけ。

逃げないようななにか。


と、俺が考えていると、ひらめく、というか思い出したと同時、アオウ先生が教室内に響き渡るような大声で、生徒たちに呼びかける。



「じゃあそろそろ時間だから、みんな、一度、席についてくださーい」



先生の声に、生徒たちがはーいと反応し、席についていく。

その声とともに、その場に、今日の学園生活終了の雰囲気が流れた。



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