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異世界の学園がもはやギャルゲー  作者: ヘルプ
物語は、新たな展開へ
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5限目 学活


「ふぅ……」


自己紹介を終え、俺は小学生椅子に座った。……ちっちぇえ。……椅子も机もとても小さいが、座れないということはない。俺も昔はこんなに小さい椅子に座っていたのかと、懐かしささえ覚え、同時に驚く。

周りの生徒たちはみな幼く、机と椅子に合った背恰好をしている。純真で無垢なオーラが醸し出され、薄汚い大人の階段を上っている最中の俺の邪悪なる汚れた心が洗浄され、浄化し癒される。


興味深そうに俺のことを見てくるロリもちらほらといるが、その瞳は変なものでも見るかのような視線ではなく、ただ純粋に不思議がっているような痛くない視線。


俺は転入最初の頃、痛く苦しい視線を腹痛たずさえながらなんとかやり過ごしていたが、ここではそんなこともなく、過ごせそうだ。


……しかし、腹痛が今もないというわけではない。悩みは、元のクラスに置いてきた。レレイナのこともあるし、ローゼに対して臆病になってしまっている自分がいる。……俺のせいでレレイナが……。どうしてあの時、すぐにどかなかったのか……あの時の俺が恨めしい……。


そうして、元気なく俺が考え事をしていると、黒髪ロングポニテのアオウ先生が教壇上から俺に声をかけてきた。


「夜霧くうん、教科書は、机の中に入ってるからねー」


アオウ先生の言葉に、机の中をのぞくと、そこには小学1年生用の教科書が入っていた。

教科書の裏側には「教員用」とシールされている。アオウ先生が用意してくれたのだろう。

俺がはいと返事をすると、アオウ先生は笑顔で返し、ようやっと5限を開始した。


「じゃあ、5限は学活です。今から、みんなに折り紙を配ります。ひとり5枚ずつ取ってね」


アオウ先生は教員机の引き出しから折り紙を取り出すと、一番前の列に折り紙を配り始めた。

ロリたちはゆっくりと慣れない動作で1、2と枚数を数えながら自分の取り分を確保し、残った折り紙を後ろに回していく。


しばらく俺が眺めていると、俺の最前列のライム色髪のライムロファが折り紙を受け取り、順次、回ってくる。

前の赤髪ロングで天辺少し横を結び小さく髪をバランと出したロリが数え、残りの折り紙を持って俺を振り向く。


「はい!」


頬の赤るみが特徴的でかわゆい、無垢な笑顔だった。

俺を気にしているのかそうでないかは今は置いといて……。


「あ、ありがとう」


俺はドキリとしながら、それを受け取った。3枚だった。赤、青、黄色。綺麗だな。


……誰かが間違えたのだろう。

しかし、別に何枚でもよい。

3枚なら、それだけ折る回数が少なくて済む。


全員に折り紙が行き届いたのを確認すると、アオウ先生は口を開いた。


「誰か、枚数が足りない人、いないかなー?」


「……」


……。


クラス内を見回し、いないことを確認すると、アオウ先生は再び口を開く。


「じゃあ今から、その折り紙を折ってもらいます。その折り紙を全部折り終わったら、先生に一度、どんなものを作ったのか自慢しに来てねー」


「「はーい!」」


アオウ先生の言葉に、クラスのロリたちが大きな声で肯定の意を表する。


「みんなが作り終わって、先生に見せに来たら、先生が合図するから、そうしたら最後は、あげたい人に、自分の折り紙をプレゼントしてあげましょうね」


「「はーい!」」


元気な声がクラス中に響き渡る。あぁ……、俺も昔はこんな風に返事をしていたのだろうか……。


他人事のように感心しながら、自らは一言も発さず、心の中ではーい……と野太く重低な変声期をとうに過ぎた声を出した。


したら、隣のピンク髪ゆるふわロングのロリに気付かれ、言われてしまった。


「はーい、って、言うんだよ」


「……うっ」



……俺は小学1年生に教えられてしまう、どうしようもない人間だった。


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