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異世界の学園がもはやギャルゲー  作者: ヘルプ
物語は、新たな展開へ
110/124

最後のココミハル


「……行くか」


昼食を食べ終え、弁当をしまう。

昼食後は、校長室に行き、そしてロリの教室に行くことになっている。

アイとも仲直り出来たことだし、もうこの教室に未練を残していかずに済む。

俺の心は、優しきアイの優しい言葉のおかげで、グロらず、なんとか澄み渡っていた。


と、その時、俺の背後からなにやら柔らかい感触がのしかかってくる。


「やあ!」

「わあ」


見れば、顔の横にすぐココミハルの顔があった。グリーンの瞳。黒茶の腰まで伸びた長い髪。いただきはすをゴムで結い、そこから長いテイルが伸びている。今にも口が触れそうな距離。

首の前に両手が回され、抱きつかれる形になる。


「ど、どうした……?」


俺はおっかなびっくり聞いた。


「遊ぼ!」


ココミハルは、いつもの如く、以前と変わらぬ調子で言った。


「……遊んであげたいのは、山々なんだが……」


遊んであげたいが……。

しかし。

俺は、これから、ロリの教室に行かなきゃいけないんだ……。


「遊んで?」


ココミハルが、甘えた口調で言ってくる。


「……遊んであげたいのは、山々なんだが……」


そう、遊んであげたいのは、山々なんだ……。

だが、俺はこれから、ココミハルがいっぱいいる教室に行かないといけない……。


「パパ」

「ぱ、パパ……!?」


……遊んであげたいのは、山々……パパ!?


「それって……俺のこと?」

「うん、パパ」

「俺……パパ?」

「パパ、遊ぼ!」


……俺、パパになったのか……。

いや、そんなわけがないだろう。ココミが、勝手にそう言っているだけだ。

それならば、気にしないのが、吉だ。


それよりも、俺はこれから、行かなければならない場所がある。

だから、俺は言いたくはないが、言った。


「俺はこの後、別のクラスに一週間、行かなきゃならないんだ……だから、ごめんな……」

「え……?」


ココミハルの表情が、一瞬で落ち込む。

俺はココミハルを悲しませてしまったことを悟る。

しかし、これは決まってしまったこと。俺には、どうしようもない……。


「うぅ……」


ココミハルが悲しそうに呻く。

そして、俺から離れると、自分の席に戻っていってしまった。


「うっ……」


デジャビュ。

いや、以前のアーシャと同じ経験。


俺は胸が痛くなる。

まただ……。


最後の最後で、俺は、ココミハルを悲しませてしまった。

しかし、俺は、行かなければならない。


「……ふぅ」


俺は席を立つと、アイに別れを言って、教室を出た。




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