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ひだまりの君  作者: 瑠璃亜
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「─違うやんっ!」

「あはは─…」



テレビから笑い声が聞こえてくる。

それを無表情のまま見ながら、夕飯を食べる。




「ごちそうさま」

静かに手を合わす。

今日のポトフは我ながらおいしかったなぁ。

ちょっと満足しながら、食器を片付けに行く。



私は自炊が好きで。

…と言っても、小さな頃親はほとんど私に何も作ってはくれなかった。

だから幼いながら自分で作るしかなく。その結果料理をするのが好きになった。

お菓子も大抵なら作れる。


何だかんだ言って、ひとり暮らしすると自炊ってホント大事なんだよね。





テレビの楽しそうな声を背中で聞きながら、片付けを始める。

片付けが終わると、そのままベランダへと出た。



カチッ。

タバコに火を付け、煙を吐く。




夜空を見ながら、タバコを吸うのが好きなひととき。


今日も星はキレイに光っている。





夜空を見ていると、自分はちっぽけな存在に思えた。

この広い地球上で、私の存在はなんて小さいんだろう。と。

悩みなんてどうでもよくなる。

私なんかこの世にいなくたっていい。

だって今まで何もいいことなんてなかった。


どうして生きているのだろう?

どうして私を存在させているのだろう?

何も必死に今を生きることもない。

休む道を選んだっていいのだ。





思いは全て。夜空に吸い込まれていく。

タバコの煙もまた、夜空に吸い込まれるように消えた。


私も夜空に吸い込まれればいいのに。




寒っ。

夜の風はまだまだ寒い。

残りのタバコを吸うと、部屋へと戻る。



明日はバイトは休みかぁ。


バイトが休みの日が、一番苦痛だ。

家のことをしたってすぐに終わってしまう。

それなら働いて、何も考えない方が生きることには楽だ。




ゆっくり立ち上がって、キッチンで温かいコーヒーを作る。

ファッション雑誌を見ながら、コーヒーを飲む。




やっぱり春物の服欲しいな。

ペラペラとページをめくる。


少しくらいなら買えるかな?

明日天気がよかったら、買い物に出掛けよう。




そう思うと気分がウキウキしてきた。

さっきタバコを吸いながら、生きることを否定してたくせに─。

ホント人間て単純だ。




ひとりで苦笑いすると、残りのコーヒーを飲み干した。

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