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ひだまりの君  作者: 瑠璃亜
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立ち去って行く男を呆然と見送る。

静かに受け取った紙を広げる。

そこには携帯番号とアドレスが書かれていた。




「連絡先じゃないですかぁ?」

後ろから様子を見ていたアルバイトの子が、私に声を掛ける。

「さっきの人よく店に来てましたもんねぇ」

明らかに楽しんでいる物言いだ。




「お疲れサマで~す」

そこに交代の男の子がやって来た。


「お疲れ~」

「何か楽しそうっスね。何かあったんスか?」

「それがさぁ、よく店に来ていた常連の男の客いたじゃん?」

「誰のことですか?」

「ほら、片瀬さんのレジを狙って来るやつ」

「あ~!ちょっと太ってて、前髪長い、根暗そうな奴」

「そうそう!そいつが片瀬さんに連絡先渡したんだよ~」

「マジっスか!?」

ふたりは楽しそうに、大声で笑っている。

私はため息とともに、紙をくしゃっと握り潰した。



「あれ?連絡しないんですか?」

女の子の島田(しまだ)が聞いてくる。

その言い方は、明らかに興味津々だ。

「する訳ないでしょ。あなたがするならあげるけど?」

「いりませんよ!あんなオタクっぽい奴の!」

「じゃあおもしろがって言わないで。こう言うの興味ないから」

少し睨み付けるように言うと、紙をゴミ箱に捨てる。



「…っ!!」

私の言い方が気に入らなかったのか。島田の表情が苛立ちに変わっていった。


西浦(にしうら)君。交代」

「あ、はい」

私はそれを無視して、交代の男の子に引き継ぎを話し出す。



「じゃ、お疲れ様」

話が終わってすぐ、後ろに向かう。





「何なのよ!あの態度!だから彼氏も出来ないんだよ!あの女っ!」

「ちょっ!島田さん聞こえますよ」

「聞こえるように言ってんのよ!」




もちろん。その会話は聞こえていた。

だけど私は何も気にせず帰り支度を済ますと、早々に店を出た。



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