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現在 1
私は全ての「愛」なんて嫌い。
信じれない─。
信じたところで、裏切られるのは目に見えている。
そうやって傷付いて、泣くのならば。
最初からそんなものはいらない。
そうすれば泣くこともいらないのだから。
「ありがとうございました」
帰って行くお客に言う。
「片瀬さん、交代します」
「はい」
交代の男の子がやって来た。
私はすぐに店の事務所へと向かう。
服を着替えて、タイムカードを切る。
「お疲れ様でした」
簡単に挨拶を済ませ、店から出る。
外はすっかり暗くなっていて、月が光っていた。
もうすぐで満月かぁ…。
なんてくだらないことを考えながら、鞄の中のiPodのイヤホンを耳に着ける。
今日のバイトも疲れたな…。
今日の夕飯は何食べよう…?
夜道を家に向かって歩く。