第二話:ゾンビの迷宮
前回でも書いたとおり、今回は無駄な会話などを少なくして少し展開の進むスピードをアップしていきたいと思います。ここからはミステリーな文が含まれるようになりますがご了承下さい。
「・・・っと・・・危ないなぁ・・・」
サチは暗い階段を下りていた。どこまで続くのか、下が見えない。らせんじょうの階段なのになぜかまっすぐ歩いているような気がする・・・。
「なんだよ・・・扉を開けたらいきなり階段だもんなぁ・・・」
あの子供・・・いったい何者なのか。こんな複雑で不思議な店を持っているなんて普通の大人でもいないよ。そうつっこみたいが、誰もいないのでしかたなく独り言で済ませてしまうサチ。こんなに怖いのはうんざりだったが、今は子供の言うことを信じるしかないのだ。
地下室の階段を下りはじめてから、もう1時間以上も経っているというのに・・・いまだに中間地点のような所はなく、ただただ降りていくしかないのだった。
「ふう・・・まだかな・・・もうかなり時間が経ったと思うけどなぁ・・・」
するとサチの考えに答えたのか、やっと広い部屋に出た。だが相変わらず中は暗く、音も届かないような空間だった。
「あーあ・・・なんでこんな所に来たんだろう・・・」
あんまり問い詰めたくなかった。自分の母親の死の原因を探るために来ているのだが、むろん、そんなことは考えたくない。と、その時!
「サチさん!調子はどうですか?」
「ひっ!?」
サチは身震いした。店の子供の声が聞こえてきたのだ!
「ぎゃああっ!!怨霊だあああっ!!」
「ちょ・・・落ち着いてください!オバケじゃありませんって!」
よく考えたらオバケなんているわけない。
「あり?なんでここまで声が聞こえてくるの?」
「いまあかりをつけます・・・っと・・・」
いっせいに部屋の周りのロウソクが青白く燃え上がった。
「うわ・・・」
サチの目はその明るさに思わず反応し、閉じてしまった。しばらくして目を開けてみる。見てみるとそこは暗く冷たい階段でもなく、広い洋間だった。近くにはツボやシャンデリアなどもある。
「どうです?でもここまでしかわたしは行けないんですよー・・・ここから先は私が血を採った人間がゾンビになってさまよっていますから」
え!?
「マジ?」
「マジです」
「ゾンビってたしかあの・・・人間が蘇った生きている死人ってやつ?やだやだ!そんなと庫絶対に行きたくない!」
「だからそのゾンビに対抗する武器を持ってきました」
すると声が聞こえてくる穴の横にまた穴があった。そこからピストルらしきものが出てきた。一緒に弾の入ったケースも3個。
「これで戦えってこと?」
返答無しにまたなにかが出てきた。こんどはショットガンか?
「持ちにくいな・・・」
最後に変な箱が出てきた。鍵がかけられているようで、力ずくで開けよとしても開かなかった。
「おーい、この箱なんなのー?」
しかし返事がない。おかしい。もう1度叫んでみようか?
「おい!って言ってんだろが!」
しかし何度叫んでも返事どころか物音すら聞こえない。なにかあったのか?サチはうっすら不安の色が顔に表れ始めた。と同時に、ものすごい音がした。
ドドドドドドドドド・・・・・
「なに・・・この音・・・だんだん近づいてくる・・・?」
音は階段から聞こえてくる。だんだんと大きくなっていくその音は、サチに耳に大きく響くほどまでに近づいてきた。
「なにか来る・・・!?」
悪い予感がした。サチはとりあえず近くにあったクローゼットに入って隠れた。
ドドドドドドド・・・・・・ドン
音が急にやみ、今度は違う音が聞こえてきた。でもこれは音じゃない。明らかに生き物の発する鳴き声だった。
ゲゲゲ・・・ケケケ・・・ググルルルル・・・
聞いたことのない鳴き声にサチは恐怖を覚えた。
「なんなのかしら・・・」
サチはクローゼットの扉を少しだけ開けて見てみた。
「なにあれ!?人・・・じゃないよね!?」
サチが見たのは、人の身長はあるが目が真っ黒で牙の生えている生物・・・まさにゾンビとしか言いようがなかった。3匹ほどいた。出ていったら間違いなく殺される・・・。
「ええ!?なんで階段から下りてきたの!?と・・・とにかくどうかここを開けませんように・・・」
しかしサチはこんな時にドジをふんでしまった。クローゼットの扉を全開に開けてしまったのだ!
ゾンビ達がいっせいに振り向く。こっちにやってくる。
「う・・・そ・・・私死ぬの・・・?」
その時、サチは手元に店の子供のくれたハンドガンがあるのを思い出した。
「よ・・・ようし・・・くらえ!!」
ズガンッ!!
弾はゾンビの脳天に直撃した。
「ギキエェッ!!」
1体のゾンビが悲鳴を上げて倒れ込んだ。血は流さないが、死んでいることがサチには分かった。
「お!1発で!?よし!残りも倒してやる!」
ズガガンッ!!
ゾンビ達はサチの見事な早撃ちになすすべもなく死んでいった。というかもともと死んでいるのでは・・・?
「ふう・・・危機一髪ってところね・・・最後の1匹がやけに小さいけど」
でもゾンビ達は戻る階段を壊してしまってもう後には戻れない。先に進むしかないのだ。
「あの子供・・・どうしちゃったのかしら?」
気にせずサチはさらに地下へと続く階段を下りていった。
しかしサチは気づけなかった。あのゾンビの3体のうち身長の小さい1体はあの店の子供だということを・・・。
第3話は冒険ものになると思いますが・・・よろしくおねがいします^^;