0.5
「う……ん……」
彼女の意識は薄闇の中で引き戻された。
辺りを見渡すと、パソコンの電源が付けっ放しだった。
己の記憶を遡ってみる。
確か、大好きな作家さんのweb小説の新作を読んでいた筈だった。
その時は確かにあの、パソコンデスクにしっかりと座っていた筈だった。
どうやら自分は襲いくる睡魔に勝てなかったらしい。
そしてふと、先程まで見ていた夢に思考を馳せる。
よく覚えていないが、何か、こう、かなりハードな夢を見ていたような気がする。
そう、例えて言うならば、
「血湧き肉躍る、的な?」
口に出してみると、自然と口元が緩む。
じわじわと、脳内にフラッシュバックする夢の断片。
「ふ…ふふふ…ふふふ…」
心の底から湧き上がる歓喜。
「ふ…ふははは!!!…っげほっえふぅっ…!!!」
「ちょっと!今何時だと思ってんの!!」
ドン!!
壁から響く衝撃に彼女は盛大に肩と心臓を跳ねさせた。
どくどくと脈打つ心臓を抑え、待つこと数分。
訪れた静寂に彼女は腹の底から息を吐いた。
そして、ふつふつと、腹の底から湧き上がる怒り。
「お、おのれ…親とは言え、仮初めの分際で、闇の女王たる妾に壁ドンとは…!!」
怖いのでボソボソと小声なのはご愛嬌だろう。
「やはり…やはり…、妾は『闇の女王』の生まれ変わりであったのだな…!!」
よしっ!よしっ!と、何度も布団の中で握り拳を作る。
「ふっ…やはり、クズは妾の周囲の人間共だったのだ…!!」
彼女は小声で叫び、拳を突き上げた。
「早く寝なさい!!」
ドン!
彼女は母からの壁ドンに再度身を竦ませた。