世界なんて壊れちゃえばいいのに…
おれは、伊藤 武士
21歳の普通の建築作業員の予定。
まぁ世間一般からするれば、
普通ではないと言われることもある…
普通の建築作業員の予定。って言うよりも、
おれが、普通でありたいっていう願望なのかも。
なんで、普通ぢゃないか?
親父は小さい頃からバクチに明け暮れる日々。
家に帰って来たら、酒を浴びる。
ろくに仕事もしないで、借金を抱えて
毎日、遊んでやがるクソみたいな親父だ。
それを、母親が働いて返済する。
でも、親父がまた借金をする…
最低なサイクルだよ。本当に。
うーん。ここまでは、
小さい頃から続いてる環境だから、
普通だったんだけどねー…
おれ自身も、ここからは普通ではないと思う。
おれをちゃんと育ててくれた母ちゃんが他界。
しかも、おれが中学を卒業とほぼ同時に…
死因は過労死だそうで…そうさせたのは、
親父であって、おれでもある。
高校に行きたいと、
母ちゃんにせがんだせいでもある。
おれが、この発言をした後に母ちゃんは、
仕事後にパートをし始めた。
本業が休みの日もパートに出勤していた。
そのせいで、死んだ。
だから、おれのせいでもある。
母ちゃんが、死んでからおれは、
高校に行かず、仕事を始めて、
親父の借金を返済している。
一切減らない借金…
何回も、親父を殺したいと思ったが、
やはり、自分の親。この手で殺せる気がしない。
その親父が、つい先日…逮捕された。
理由は、金欲しさに空き巣をしていたらしい。
本当に絵に書いたような、
ゴミみたいな親父だ。
そんなこんなで周りから、
普通ぢゃないと言われる。
今、思い返して思った、
やっぱり普通じゃないや。
うん。普通じゃない。
んで、今は残った借金を返済しながら、
仕事を淡々とこなすだけの、日々を続けてる。
でも、早い話…
世界なんて壊れちゃえばいいのに…
そしたら、なにも悩むことはない。
借金も返す必要もない…。
子供みたいな発想だし、
世界なんか壊れるわけないけど…
この時はこう思っていたが、
現実になるとは、夢にも思わなかった…