表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/38

わがまま

翔太は小学校を卒業した。

春からは中学生。翔太はうきうきしながら待っていた。

しかし羽矢はかなり嫌がっていた。

翔太が通う中学校と、羽矢の通う小学校はかなり離れていた。

翔太と羽矢は毎朝手を繋ぎながら登校していたが、それができなくなる。

さらに翔太が起きる時間は羽矢より1時間早い。

お兄ちゃん子の羽矢は、いやだ!と叫んだ。

「あたし、お兄ちゃんがいないと何もできないんだよ。一人で学校行くなんて絶対無理だよ」

羽矢の言葉に、母がため息をついた。

「お願いだからいうこと聞いて。もう羽矢は4年生なのよ。そんなこといってたら、みんなから笑われちゃうわよ」

穏やかな声で羽矢にいった。やはり、怒らない。

「お兄ちゃんがいないと寂しいもん。もし、お兄ちゃんが一緒に行ってくれなかったら、あたし、学校行かない」

すねたように答えた。

「羽矢。お願いだから……」

「羽矢。そんなこといってたら、兄ちゃん、羽矢のこと嫌いになる」

母の言葉を遮って、翔太がいった。

すると羽矢は驚いた顔をした。

「お兄ちゃん」

「そうやってわがままばかりいってる羽矢なんか嫌いだ。もう兄ちゃん、遊んでやらないぞ」

「そんな……」

羽矢は泣きそうな顔をした。

「ね、お兄ちゃんもああいってるでしょ。ちゃんと一人で何でもできるようにしなさい」

翔太と母にいわれ、羽矢はじっと何か考えるような顔をし、わかった、と答えた。

「よし。兄ちゃん、羽矢のこと好きになったぞ」

翔太がいうと、羽矢はこくりと小さく頷いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ