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衝撃

日が経つにつれて、翔太の心は小さくしぼんでいった。

羽矢と離れる日はいつやってくるのか。

1年か。半年か。それとも一週間後か。

もしかしたら明日かもしれない。

翔太の心はゆらゆらと不安定に揺れた。

ため息をつきながら過ごした。

もう何回目のため息なのかわからない。


その翔太に、雷のような衝撃が走った。

金曜日だった。明日は土曜日で学校が休みなので遅い時間に起きてもいいし、羽矢と朝から一緒にいられるので、翔太はいつも金曜日が来ると嬉しくなった。

しかし、その金曜日は違った。


翔太が別に知っても知らなくてもいい授業をぼんやりと聞いていると、右斜め前の席の男子がノートにぐりぐりと女子の名前を書いていた。

好きな女の子ににふられたか、付き合っていた彼女を誰かに取られたかはわからないが、とにかく悔しい気持ちをノートにずらずら書きなぐっている。

苗字は見えなかったが、名前は見えた。『友美』だった。

ユミか、ユウミか、トモミか、どう呼ぶのかは知らない。最近の女の子の名前は読み方が本当に難しい。


美しい友。

翔太は思った。

翔太が友だち作りが苦手なのは、翔太の周りに美しい人間がいないからではないか。

誰だっていい友人と付き合いたいだろう。そしてずっと仲良くしたいはずだ。

羽矢は美しい。少しわがままなのが玉にキズなのだが、本当に可愛らしい。

翔太にとって美しい人間は羽矢しかいないのだ。


授業が終わると、その男子は何人か友人を集めて、話しをしていた。

翔太はそれを遠くから見て、菅原のことを思い出した。

菅原とはもうあの日から一度も連絡をとっていない。

完全に赤の他人だ。

誰もかけてこないだろうと思って、携帯電話も解約して捨てた。


翔太がその集まりから離れようと歩き出した時、話しを聞いていた友人の言葉が偶然聞こえた。

「立浦が相手じゃ、オレたちには無理だよな」

翔太の体が固まった。聞き間違えかと思った。


立浦…………?

もしや………

あの、悪魔のことか………………?


まさか、と翔太は思った。

あの悪魔と大学が同じなんて、そんなことあるわけがない。

しかし翔太の知るかぎりでは、『立浦』という苗字の人物はあの男しかいない。

それにあの男は女の子を一発で落とせる武器をいくつも持っている。


気を落ち着かせ、翔太は歩き出した。

しかし教室を出ると廊下の隅でこちらを睨んでいる男がいた。

立浦興だった。

翔太は愕然とした。

立浦がすぐそばにいる。

大学でもこの男に縛られて生きていくのか。

やっと解放されたと思っていたのに。


また何か、翔太に攻撃をしてくるかもしれない。

しかも今度は、かなり大きな攻撃だろう。


翔太は思い出した。

立浦と別れる時のことだ。


おまえは悪魔だ。悪魔は地獄に堕ちろ。

そういった翔太に、立浦は悪魔の顔を見せてこういった。


『地獄に堕ちるのはどっちだろうな』


翔太の体から、冷や汗が滝のように流れた。






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