帰らざる時の果て その3
アインシャーク三世とアドニスは元老院と共に盗賊団のアジトへの武力介入の作戦会議をしていた。
[良いか。我々が魔方陣の煙幕を張る。それである程度は抑えられるはず。そこで、突入してほしい。第1陣が中に突入し2陣はバックアップ。剣士1の援護2のトライアングルフォーメーシュンで乗り込む。質問は?][我々は2陣で行こう。上層部を援護する。状況も見たいからな。良いだろう?アドニス][ウム。作戦は明朝決行する。今日はゆっくりするがいい][わかりました。それでは明朝]
アインシャークとアドニスはしばらく大陸を散歩していた。
[ハー。やはり大地は良いなあ。いつも飛空挺の旅で飽きていた頃さ][まあ、そう言うな。アドニス。空き時間ができたんだ。探すぞ、土の神ライドーの継承者を][なんだ?あいつら。墓場で飲んだくれやがって][アア。保安所の連中らしいぜ。まあ、無理も無いさ。初めて上層部が上陸したんだからな][つまり、用無しか?見事なご身分だな。真っ昼間から飲んだくれやがって][まあ、良いさ。まずは情報収集だな]二人はレオ達に近寄る。
[すいません。保安所の方々ですよねぇ?連中について教えて頂けませんかね?][アー………ヒック………あんたらは?][失礼しました。浮游城から参りました。皇帝のアインシャーク三世です。こいつはアドニス。火の神インフェルノの遣いです][ヒック………火の神?こいつが?よせやい!神々の話しなんか。アー………アドニス。わりいこたあ言わねぇ。出ていきな。あんたらには勝てる連中じゃないさ。実際、俺みたいな土の神ライドーの継承者が逃げ出してきたんだから………ヒック]レオ・バレッタは酔っ払いながらアドニスに忠告した。[ヨセ!レオ!俺達の都合だ。皇帝閣下。悪いが我々は協力しないからな][土の神ライドーの継承者?貴方が?][ケッ…………おめえらも疑うのか?ちょうどいい。チャンク!リンクするぞ!見せてやろうぜ。あの姿を][餞別か?良いだろう。レオ!行くぜ!]レオとチャンクは起き上がり、対角線に立った。[行くぜ!レオ!飛べ!][オッケー!行くぞ!チャンク!リンクアップ!]
レオは飛び上がり、空中でチャンクと重なる。紫色の球光が輝き、徐々に白金に変わる。白金の球光は人間の形になり、レオとチャンクのリンクアップが成功する。
虎の冑を纏い、肩に二本のランチャーを装備した、重装騎兵レオ・バレッタ。それが土の神ライドーの継承者だった。
[コッ………これは?アインシャーク!][俺も見せなくてはな。始皇帝ロキよ。我に力を!]アインシャーク三世はガントレットオーブを太陽に翳した。
キーン
オーブが輝き、青い鎧を纏った、大剣を背中に背負った騎士ロキ。それは古代の聖戦の時の姿だった。二人は精神の世界で会話した。
[ロキよ。古代史の聖騎士ロキよ。久しぶりだな。五百年の月日が経つか?][ライドー。変わらんな。今はレオ・バレッタか?何があった?この大陸で][………私は彼の愛人の死で目覚めた。彼の愛人マリアと相棒チャンクの心がリンクして目覚めたのだ。彼の愛人はショットガンナーに殺られた。再び出会った時、剣ミサトを亡くした。悲しみの底で、彼はこの力を封印しようと苦悩している。この力が人を殺めたと。ロキ。彼には関わらないでくれないか。もうあんな想いはさせたく無いのが現状だ。古代史の時代は終わったのだ。他を当たれ][待て!待ってくれ!ライドー。それで良いのか?世界のバランスが崩れようとしている。再び出会ったのも何かの縁だ。協力してほしい][ならぬ!彼の為にも封印するべきだ!我々は後継者の為に何も残していない。それで良いのだ][………変わったな。ライドー。昔のお前はそんな話しはしなかった。無理に強要するつもりは無い。気が変わったら来てくれ。忘れるな。聖騎士ロキも上陸したのだと。必ずお前を連れ戻す。聖戦の世界に。必ずだ。忘れるな][覚えておこう。それでは………]
レオ・バレッタはリンクを解いた。
[アインシャーク。お前は自分の道を行け。俺はこの大陸を出る。何処か辺境の地へ行くさ。じゃーな][レオ・バレッタ。土の神ライドーの継承者よ。辛い想いをさせてしまったな。気にしなくて良い。私ももし貴方と同じ状況なら、とっくに捨てている。貴方は貴方で良いのだ。できればまた会いたいが………][………暫し時間をくれないか?この力の使い道を見失っている][………そうだな]二人は向かい合った。[聖騎士ロキの継承者。浮游城の皇帝閣下。会えて光栄でした。それでは][ウム。じゃーな。レオ]レオ・バレッタは船でウエストホースを旅立った。行き先は誰も知らなかった。[チャンク。お前は良いのか?ついていかなくて][アア。ここで奴の帰りを待つさ。すまないな。アドニス。何もできなくて][気にするな。お前は明日行くのか?盗賊団のアジトに?][相棒のいない奴など居ても邪魔なだけだろう?俺の相棒はレオ・バレッタ。ただ一人だ][忠実な奴だなあ。珍しい虎だ。チャンク]
続く