帰らざる時の果て その2
レオ・バレッタとチャンクはマリアの墓碑の前で酒を煽っていた。
[チャンク。俺は………俺はこの大陸を出ようと思う。誰も知らぬ辺境の地へ][そうか。寂しくなるな。だが、勘違いするな。お前が3年前にショットガンナーに会ったから狂った訳ではない。狂った世界に飲み込まれただけなのだ。どこへ行ってもその理屈は変わらない。何もな][そうかもな。だが、俺が出ていけば、お前やボス、ピートにしても悲しまずに済む。何も言わずに出ていくよ。餞別代わりにせめて見送ってくれ][…………お前は土の神ライドーの継承者なんだろ?それはどうする?][………土の神は…………継承されなかった。それを背負った俺は一生、償って生きなくてはいけない。一生な][アア。ここにいたかお前たち。さて、俺も付き合おうか]酒の樽を抱えたボスが歩いて来た。[レオ、チャンク。それにピート。君達は今日付けで解雇だ。解雇ってより保安所を閉めたんだがな。全権を上層部に預けた。………これで良いんだ][すいません。何もできなくて][良いんだ。レオ。さあ飲もう。酔った頃には上陸してるさ。誰にも気づかれんだろう。酔っ払いなんて]
ウエストホースの遥か彼方より、船が上陸する。高台で見つめるピート。
[あれが上層部。なんて大軍なんだ。奴等が上陸した大陸は全て支配下になっている。おそらくここも長くは無いだろう]
ジュブナイルも上陸する。[さて、久しぶりの大地だな。行こう、アドニス][待てよ。飯、飯!残してるし。もったいない]アドニスはパンをくわえながら上陸した。
[アインシャーク。ここがウエストホースか?随分、枯れ果てた土地だな][アア。だから囚人向きなんだろうよ][なるほどねぇ。じゃ、まあ、行きますかね][アドニス。わかってるな。土の神ライドーの継承者はショットガンナーの後に探せば良い。どうせ手掛かりも無いんだ][まあな。上層部に顔を立てりゃ、協力してくれんだろ?][それだけじゃない。力を求める者はいずれ神々の器に挑戦したくなるのさ][そうか。さすが皇帝閣下。つまりショットガンナーを追えば土の神ライドーにぶつかると。いずれ]
[皇帝閣下ー!閣下ー!作戦会議やりますからー。ちょっと来ていただけませんかねー?]元老院がアインシャークを呼ぶ。[アア。今、行きますからー]
[元老院様。彼が話していた、火の神インフェルノの遣いアドニスです][心強い!聖騎士ロキの継承者に神の遣いですかな]
続く