武力介入決行
ミサトはまだ息があった。
ガハッ!ガハッ!
崩れ落ちた体を引きずりボスコに向かう。
[ボッ………ボスコ。すまない………足手まといに………][んなこと、言うなだ!オラを相棒と呼んでくれたべさ。田舎者のオラを!レオさん。早く手当てを!][………お前は?][オラ、ミサトと約束しただ。必ず勝つと。勝って故郷に錦を飾ると][………そうか。無理はするなよ。それがお前の宿命なら俺達はここで見ていよう。無理はしない程度にやったれ!田舎者]
[ウググググッ…………ボスコ。アタイからの礼だ。受け取れ]ミサトは最後の力を降り絞り、魔法のコタチを作った。ボスコは丁寧にそれを貰い、キッとショットガンナーを睨み付ける。
ミサトはコタチをボスコに渡し、満足そうに目を細める。そのまま横になり、ボスコの雄姿を観戦する。
手負いのボスコに無傷のショットガンナー。彼の後ろには虎のオーラが赤く輝いていた。
[ウォー!烈火爆煙破!]ボスコは弾薬を抱え彼に飛びかかる。タックルで押し倒し、そのまま弾薬に火を点ける。[終わりだー!ショット!]ボスコは彼を抱えたまま、宙に舞う。[これはミサトさんの技だ!コタチ列破斬!]ボスコは二本のコタチをショットの肩に刺す。
[ウォー!爆煙天昇!]
ボスコは自分の弾薬を抱えて爆発した。
その瞬間、空中でクルッと方向転換しキックで彼を蹴り飛ばすショットガンナー。
爆風に包まれる盗賊団のアジト。
[どうだ?やったか?チャンク][わからない。だが煙の中、誰かが立っている。うっすらとだが見える]二人は目を凝らしてその姿を見る。
しばらくすると爆風の霧が晴れてくる。そこに立っていたのはショットガンナー。ボスコの肉体は砕け散った。ミサトはその光景を見る前に亡くなっていた。あのコタチは彼女が残した最期の希望だった。
[クックックッ。残念だ。非常に残念だ。お二人さん。肩慣らしにもなりゃしないね。まったく狭き器よ][黙れ!ショットガンナー!貴様、マリアでは飽きたらず、ミサトやボスコまで手に掛けるとは!許さんぞ!][フッフッフッ。レオ君。大人げ無いぞ。たかだか三人では無いかね?しかも我輩の様な武人ならまだしもウジ虫のカスにも満たない三人。何の役にも立たぬ者達では無いかね?][…………ショットガンナー。今の戦いで力は認めよう。だが生き物を愚弄した罪は償って貰うぞ。今日はサービスで引いてやろう。ミサトの亡骸は貰ってくぞ。行こうレオ]チャンクは冷静に怒りを抑えた。
[面白い。リターンマッチといこう。今日はタイムアップだ。私の力を見せしめるには、充分だろう。準備が出来たらまた来てくれないかね?私はここで待とう][………ショットガンナー。お前には冥土すら生温いわ!永遠の闇が相応しい。永遠の中でせいぜいもがくが良い]
レオは別れ際にそう言い残し、去って行った。ミサトの亡骸を抱えて。
ボスは頭を抱える。[………なんと言う事だ。保安官が………人民の安全を考えなければならない保安官が…………ウジ虫やらカスにも満たないやら…………ショットガンナー。恐ろしい魔神よ][………寂しくなりますね。ボス]情報屋は静かに部屋の扉を閉めた。
[上層部より伝令。これ以上は待てん。ボス。上陸許可を][………上層部の方々。これよりウエストホース大陸への上陸を許可します。お気をつけて…………]ボスは机に置かれたレオとピートの保安官バッチを見た。[………すまない。私が潜入許可を出していなければ助かった命が。レオ、ピート。本当に申し訳無い。私の判断ミスだ。恨むならワシを恨め。それで良い。それで…………]
遂に上層部の武力介入が解禁された。何一つ手掛かりも無い状態で、大陸は混沌の時代を迎える。
続く