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(本編完結・番外編更新中)大好きな人たちのために私ができること  作者: 水無月 あん
本編

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22/34

22.大好きな人たちのために (最終話)

今回で最終回となります。

「アーノルド……。なんで……?」


ミルナ先生に連れられて入ってきたのはアーノルドだった。


私を見つめるアーノルドの青い瞳は以前とかわらず優しくて、やっぱり、この世で一番好きな色はアーノルドの瞳だなと、こんな時なのに思ってしまう。


アーノルドは私が青い色が好きだと思っているけれど、それは違う。


私が一番好きなのはアーノルドの瞳の色。

だから、その色に似た青を好んでしまうだけ。


今はその瞳に深みも加わって、私をとらえて離さない。


「アンジェ、元気そうでよかった。……それと、ごめん。こんないきなり訪ねるようなことをして。でも、どうしても、アンジェに会いたかったから、ミルナ先生に連れて行ってほしいとお願いしたんだ」


「アンジェリン嬢、まずは、助手の話を聞いてあげてくれる?」


そう言って、ミルナ先生はそっと席を外した。



 ◇ ◇ ◇



「アンジェ……」


アーノルドは私の顔をみたまま言葉がでてこない感じだった。


それは私も同じ。

話したいこと、聞きたいことはいっぱいあるのに、胸がいっぱいで言葉にできない。


少しの間、無言で見つめあっていたけれど、いきなり、アーノルドが私にむかって、がばっと頭をさげた。


「アンジェに会うことができたら、まずは、謝りたいと思っていた……。アンジェ、本当にごめん。アンジェを守るといいながら、愚かな僕のせいでアンジェを傷つけてしまった。本当に申し訳なかった。……それとアンジェからもらった手紙に書かれていたことも釈明させてほしい。学園祭でメアリー嬢の言葉で笑ってしまったのは、アンジェが僕を見たくて来ていると聞いたからだ。外にでるのも苦手なアンジェが、おもいきって、僕を見に来てくれたんだと思ったらとても嬉しかったから。だから、つい笑ってしまったんだ。誤解させてしまって本当にごめん。アンジェにとったら、こんなこと今更聞かされてもと思うかもしれないけど、どうしてもそれだけは言っておきたくて……」


「アーノルド、顔をあげて……」


私の言葉に、アーノルドはゆっくりと顔をあげた。


「あの時の笑顔、そういう意味だったんだね……。良かった……。教えてくれてありがとう、アーノルド。それと、メアリー姉様が何を思っていたのかは実はお父様から聞いていたの」


「ドルトン公爵様から?」


私はうなずいた。


「私が留学して、少し慣れてきたころ、お父様がベイリ国にやってきたの。それで、私が旅立った後、うちの応接室で何があったのか全部を教えてくれた。お父様が私は知っておくべきだと言って……。アーノルド。私のほうこそ、ごめんなさい。アーノルドに直接聞くこともせず、学園で聞こえてきた噂のほうを信じてしまったから。今思えば、確かめることが怖かったんだと思う。ふたりのために身を引くと言いながら、要は逃げたの。……本当にごめんなさい!」


「アンジェは何も悪くない! 僕が全部悪かったんだ……本当にごめん」


「ううん、私が怖がらずに聞けばよかったの。私のほうこそ、ごめんなさい」


「いや、それは違う! アンジェが気にすることなんて何もない。僕が愚かだっただけだ。本当に本当にごめん!」


「ふっ……、すごく久しぶりに会ったのに、私たち謝りあってばかりだね?」


思わず、笑ってしまった私に、アーノルドがつられたように微笑んだ。


が、すぐに真剣な顔になって、アーノルドが口を開いた。


「アンジェ……。僕はアンジェが好きだ。アンジェを愛してる。アンジェとどれだけ離れていようとも、どうやっても、アンジェをあきらめることなんてできない。母に言われたよ。僕のほうがアンジェに依存してるんじゃないかって。確かにそうだと思う。自分自身に向き合うようにとも言われた。でも、心にうかぶのは、全部アンジェに関することばかりなんだ。ミルナ先生に弟子入りさせてもらったのも、子どもの頃、アンジェを助けられない自分が悔しくて魔力に関する知識が欲しいと思ったから……。僕の一部はアンジェでできてるんだと思う。アンジェと会えなかったこの3年、自分の半分がなくなったような気がしてたから……。ほんと、気持ち悪くてごめん……。でも、ちゃんと自分の気持ちを伝えておきたくて。ずっと後悔していたから」


「私も同じ……。離れてみてよくわかった。会えなかったら、アーノルドを忘れられるかと思ったら、忘れるどころか気持ちが大きくなっていくの……。この3年間、留学して、本当に楽しかった。親友もできた。なのに、アーノルドと話がしたくなった。楽しかったこと、がんばったこと。いっぱいいっぱい話したいことがあった。でも、アーノルドの手を自分から離したんだから、会いたいなんて言えないと思ってたのに……」


「アンジェ……」


気がつくと、アーノルドにだきしめられていた。

あたたかさにつつまれる。


どんなに楽しい時間をすごそうが埋まらなかった心の隙間がやっと埋まった。


そっか……、私の一部もアーノルドできてたんだ。

なくしてしまっていた自分の一部が戻ってきたようで、心が満ちていく。


嬉しくて、自然と涙がこぼれた。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




それから更に3年がたち、私はベイリ国と行ったりきたりしながら、レベッカ先生やミルナ先生に教えを請い、自分の魔力をいかせる研究をつづけていた。


それは、魔力病に効く薬草を育てること。


私の魔力は、魔力病に使われるいくつかの薬草と特に相性が良く、育てるときに浴びさせると、効能が格段に増すことがわかった。

ただ、浴びさせる魔力が多すぎると枯れてしまうから、その度合いが難しい。


今はレベッカ先生の薬草畑を使わせてもらい、効能の高い薬草を安定して作れるよう試行錯誤を繰り返している。

魔力病で苦しんでいる人たちが、少しでも、お母様みたいに元気になれるように。


それは、ベイリ国に留学する時に願った、いつかは人のために役立ちたいという夢だから。


アーノルドは医師の資格をとり、今もミルナ先生のもとで働いている。

そんな忙しい合間をぬって、私がベイリ国に行くときはついてきてくれて、薬草づくりに全面的に協力してくれているアーノルド。


もうすぐ、アーノルドと私は結婚する。

随分、遠回りしたけれど、私にはこの時間が絶対に必要だった。

 

沢山心配をかけたのに、私の両親やアーノルドのご家族が私たちを手放しで祝福してくれているのがなにより嬉しい。

特に、イレーヌ様は泣いて喜んでくださって、私はイレーヌ様の本当の娘になれたことが幸せでたまらない。



15歳の時、私は大好きな人のためにと言いながら、逃げるように身をひくことを選んだ。


21歳になった今の私は、大好きな人たちのためになると思えば、ころがってもぶつかっても、頭からつっこんでいってしまうと思う。


ベイリ国に留学し、恐れや壁をとりのぞいてでてきた、そのまんまの私はこんな感じ。

でも、そんな自分でいることが、なんだかとっても心地いい。




(了)



※ 本編はこれで完結になります。読みづらいところも沢山あったと思いますが、読んでくださった方、ありがとうございました!





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