賢者は止まらない。
「うっ……何だ? 急に」
何故か俺の腹部が痛む。
「おいおい……貴方……マジに化け物なんですか?」
起き上がらずに奴がそう言う。
「何を言っている。御前と同じく化け物だよ」
「ゴブリンは家族を殺す事も厭わない薄情者では無いぞ」
急に脚が動かなくなった。いや、脚だけではない。体中が重く、動かない。
「ほう、重力強化か? 中々重くなっている。将来有望だ」
「なぜ、まだ立っていられるんです?」
90倍。いや、100倍か。
「立っていたら駄目かい? 賢者さん」
蹌踉けながら奴のすぐ側迄近づく。
「こ、来ないで下さい。そこで、止まって下さい。聞いてるんですか?」
「嗚呼、聴いているとも」
はぁ、重い。重過ぎる。
「【HPドレイン】! 【縛根】! 【岩縛】!」
体中が蔦と岩で縛られる。そして、体力を吸われる。
だが、俺は止まらなかった。
「【水縛】! 【骨縛】! 【影縛】! 【血縛】!」
更に縛り付けられる。まだ止まらない。
「【暗縛】! 【闇縛】! 【空縛】! 【氷縛】!」
まだやっている。もう、遅いのに。俺は奴の顔に手を翳す。
「や、やめ……」
そして、
「話せば、分かるから……」
仮面を
「これだけは……」
そっと外し、言う。
「お前の負けだ。奴隷さん。ハハ」
これは勝負あったな。
「十個の縄に縛られても動じないのも凄いし、十個も同時に魔法を繰り出せるのも凄いね」
この声は……。
「あ、そうか。まだあの少女達は居たのか」
Lvが21上がりました。
ステータスが上昇しました。
スキル【テイムⅠ】を取得しました。
進化候補が複数あります。進化者の意思に沿った進化先を選びます。
称号【この世界の適合者】を取得しました。
称号【この世界の適合者】を取得した事により、称号を取得できるようになりました。条件を満たしている称号をすべて取得します。
何だ、急に、眠く……。
「おい、命令だ……俺を……護っておけ……」
そこで、意識が完全に途絶える。




