賢者は蹤いて行く。
「もう一度訊く。御前達は如何する積もりだ?」
「ぼ、僕らはここから出て、家に、か……帰ります」
「青髪、正直で良い子だ」
家か。まぁ、近くに村が在るんだろうな。
「蹤いて行っても良いか?」
拒否されるだろうが、一応な。一応。
「良いんじゃないか?」
白髪が言う。何言ってんだ此奴。
「ア、アシュ!? 何言って……」
これには流石の俺も困惑した。青髪と同じ気持ちだ。
「彼は同族をあれほど殺しているんだ。そして、話が通じる。それに何より、私のスキルがこう言ってるんだ、『この世界の英雄となる』って」
「へぇ、予知スキルか」
俺は此処でも英雄になるのかよ。そこら辺でてきとーに生きて、虫の様に見向きもされずに死んでいく人生を望んだのに。
「私らは帰る。付いて来るかどうかは好きにして」
「折角だ。蹤いて行くよ。護衛は任せな」
まぁ、護衛できる程の強さは無いがね。ハハハ。
それから、多くの道を歩き回った。そして、二択をすべて外し、すべての道を通った。
そのお陰で此の洞窟のゴブリンは駆逐した。右耳を取っておく。刃物は無いから千切る。
途中で青髪に「お前凄いな。よく同族殺して、耳も千切れるよな」と言われた。
「お、光。外か?」
「青髪、あれは太陽光じゃあない」
【受け流しⅠ】【魔力の流れⅢ】
じゃあ何だ? とでも言いかけていたのだろうか。彼女の声をとても大きい爆発音で掻き消される。
腕に魔力を纏って受け流した。腕が痛いったらありゃしない。あれは何だ?
鑑定。
「ゴブリン賢者……中々の強敵だ」
知らない。全く知らない。この世界固有の魔物か?
『そうですよ、固有の魔物。沢山居ます。ですが、基本の種族は変わりません。頑張ってくださいね』
「よし、誰かアレに挑戦したい奴は居るか?」
青髪戦意喪失、白髪は戦闘向けでは無い、他四人は……駄目だ。蹤いて来るだけでも良い方だし。
はぁ〜、結局。
「俺が一人で倒さなきゃならないのか」
俺は歩いて奴に近づく。
「子供一人で私の御相手をするのですか。舐められたものですね」
「嗚呼、御前くらいの奴ならぺろぺろ舐めてやるよ」




