賢者は走り疲れる。
……? 今何かが聞こえた気が。
「………………気ノ所為カ?」
スキル【聴力強化Ⅰ】を取得しました。
【聴力強化Ⅰ】常時使用。
「……いや、帰りたい……」
気の所為ではなかったか。少女の生気の無い声、ゴブリンの巣窟。つまりはそう云う事だ。御愁傷様。
「大賢者様ハ見テ見ヌ振リできないンダヨ」
俺は声のする方へ走る。その途中で【走力Ⅰ】【脚力Ⅰ】【身体強化Ⅰ】【隠密Ⅰ】を取得した。そして、それらを常時使用した。
「ハァ、ハァ、遠……ト、遠過ギるだろ」
いや、今の俺が遅いだけか。
「此処カ、声の出処は」
木製の扉で塞がれている。鍵は無いみたいだ。
「マァ、ゴブリン共ノ知能じゃア無理ダヨナ」
ギィーッ、と音を立てて開く扉。恐怖か、将又絶望か、歪んだ表情を浮かべる少女六人の姿。
「ひっ……」
「いやだ……」
この部屋は物置も兼ねているのか。
「フム、中々悲惨ナ有様だナ」
俺は奥に有った布を一枚手に取り、腰に巻く。本当の姿じゃないとは言え、流石に全裸は恥ずかしい。
それに外見は小学校低学年の男の子だ。ショタショタのショタだゴホンゴホン。
「ナァ、御前達に訊きたい」
『私に訊けば良いのにな〜』
拗ねているな。
『拗ねてません』
最初に青髪の少女が声を上げた。青髪なのにこんな活発なんだ。珍し。
「何を訊きたい。僕らの惨めな捕虜生活か? それともバケモンとのアイもクソもねえ営みか? 取って置きの出産の話もしろってか?」
「辞めなよ、パフェ。このゴブリン私らを襲った奴らより強いから」
白髪の少女が冷静に言う。だが、皆目見当違いだと思うぞ? 流石に今の俺より弱い事は無いだろう。
「はあッ!? こんなガキがA級相当だって? 笑わせんのもいい加減にしろよ。バケモンにヤラれまくってアシュの能力も使えなくなったか?」
その時、この少女達からしたら悪魔とも呼べるであろう化け物の声が響き渡った。
「ギャギャ!」




