賢者は発行する。
俺達は身分証明書代わりになるギルドカードを発行する為、ギルドへ行くことになった。発行方法はそのギルドに登録することだ。
シトリーが冒険者ギルド以外は嫌と言って聞かない。俺とハイドフェイスは特に他の希望は無いので、人混みの中を進むシトリーに蹤いて行く。
「こっちです! ノウクさん! アレンさん!」
それから歩くこと約十分。
冒険者ギルド、とこの世界の文字で書かれた建物に入っていく。
中は酒場になっていて、とても騒がしい。俺とシトリーは慣れた足取りですいすいと進み、受付に着く。ハイドフェイスはやはり人混みに慣れていないのか、何人かに当たっていた。
「冒険者ギルド、タラメイン支部へようこそ」
左胸にギルドの紋章らしき物が付いている深緑色の制服を着た黒髪の女性、受付嬢が言う。そして、今回の要件を訊かれる。
「冒険者登録しに来ました!」
シトリーは元気よくそう言う。
「あなた方は文字は書けるでしょうか?」
受付嬢の問いにシトリーは頷く。俺とハイドフェイスは首を横に振った。
「それではあなたはこちらに記入を」
一枚の紙を下から取り出し、シトリーに渡した。
「お二人は口頭での質問になります」
質問は名前、年齢、職業の三つだった。
ノウク・レフェニル=グラズエルムスは15歳の魔法使い、職業Lv8。
アレナ・セイヴンは16歳の魔法使い、職業Lv25。
ゼルカ・リヴェナス=ナーダンは16歳の戦士、職業Lv12。
「このカードに血を一滴垂らしてください」
名前や年齢の欄が空白のカードとナイフを三人に差し出す。
ナイフで指先を切り、血を垂らすとカードに垂らした血が吸収される。少し光って文字が並んでいく。指先を見ると傷はもう治っていた。
「こちらがギルドカード、あなた方の身分証明書のような物です。くれぐれも無くさないように気を付けてください」
俺は受付嬢に気になったことを聞いてみる。
「来る途中に魔物を倒したんだが、買取は可能か?」
「ギルドでは魔材、つまり、主に核のみの買取を行っておりますが、それでもよろしければ買い取らせていただきます」
魔材、魔物の中でも特に魔素が濃い部位。ゴブリンの魔材は核。ゴブリンだけでなく、受付嬢も言っている通り、大体の魔物の魔材は核だ。
「後、その魔物の討伐を依頼に絡めて、金を取りたいんだが、それは可能か?」
「可能です。できる限りそうしていただけると、ギルド側としては大変助かります」
よし、これで当分の金銭問題は解決したか。
「アレナ、ゴブリンの核を出せるか?」
「仰せの侭に」
手が光り、布の袋が現れる。それを受付嬢に渡す。
「あ、アイテムボックス、ですか?」
そんなに珍しい物だろうか。受付嬢が目を丸くした。
「こほん、取り乱してしまい、申し訳ございませんでした」
だが、すぐに冷静さを取り戻した。
「 ギルドカードの提示が必要です」
もしや物的証拠は要らないタイプか? 労力の無駄。
「俺のカードで良いのか?」
受付嬢が肯定したのを確認し、俺のカードを出した。
「えと、ゴブリン以外にも魔物を倒しているんじゃないですか?」
暫し沈黙が流れる。
「……まぁ、そうだな。アレナ、他のもすべて出してくれ」
ハイドフェイスは無言で手に他の袋を取り出し、それも受付嬢の前に置く。
「か、確認してまいります」
受付嬢は10秒程度で戻ってきた。
「ゴブリンの核48個、堅蛇の核、キラーベアの核、喰影栗鼠の核、幻唄獣の核、喚蛆虫の核、歩喰爛泥の核……えと、サイクロプスの核は無いんでしょうか?」
「あー、サイクロプスの、核か……」
さて、何て言おうかね。




