賢者は探しに行く。
目が覚めると暗い洞窟に居た。暗いから明るくしようと魔法を発動させる。
「ギャイト」
は? 何を言ってんだ?
「ギャンジ」
おいおい……マジかよ。
無詠唱 暗視
「デギギャイ?」
発動されない?
俺は勘違いをしていた。転生と云うのは肉体や衣服を元の世界と同様に利用する事が利用する事が可能だと思っていた。
と云うかそうであって欲しかった。
「ガンデイ」
『ゴブリン: 危険度 E- クソザコナメクジです』
なぁ、魔法が発動できないんだが、何故だか解るか?
『あっちの世界の魔法はもう私しか残ってませんよ』
つまり、魔法の引き継ぎが不可能。そう云う事だな?
『はい、そういうことです』
魔法の構造を知っていても、発動は不可能か?
『試した通りです。御愁傷様』
鑑定しか残っていないんだよな。
『はい、全動物が持ってるスキル、ステータス表示等も軒並み消え失せてます』
なるほど。じゃあ、俺のステータスを鑑定してくれ。
『ゴブリン(名無し)Lv1、HP: 2、MP: 6、SP: 1、STR: 1、VIT: 1、AGI: 1、INT: 4 スキル【鑑定Ⅹ】』
糞雑魚蛞蝓じゃねぇか。
『そうでしょう?』
何で御前が自慢気なんだよ。
『私の方が強くなってしまったから、ですかね』
この体の成長具合から見て、産まれてから3、4日か。此処はゴブリンの巣窟。違うとしても近くにゴブリンの群れや母親となった人間がまだ居るだろう。探してみよう。
『あ、私にはノーコメントですか。そうですか』
「ギャ、アー、俺ハ、テ、テギデハナイ」
例え人間に遭遇してもこれで見逃してもらえるな。
『見逃してくれる訳ないでしょ』
あっ、そうだ、この世界もスキル熟練度が有るのか?
『有りますよ』
じゃあ、近くに小動物や虫は居るか?
『すぐ後ろに魔鼠が居ます』
出来る限りの威圧感を。
「おイ……」
「チュー!」
スキル【威圧Ⅰ】を取得しました。
よし、成功だ。
『この世界初めてのスキルですね』
先は長い……。
「チュ、チュー!」
「ナンダ、急ニ」
『窮鼠猫を噛む、ですね』
歯向かうのか、ならば殺すしかない。
俺はそこら辺に落ちていた石を拾い、鼠に向かって力一杯投げた。魔鼠は案外簡単に絶命した。
「まァ、コンナもノカ」
Lvが6上がりました。
ステータスが上昇しました。
スキル【投擲Ⅰ】【暗視Ⅰ】【繁殖Ⅰ】【鳴き声Ⅰ】【魔力の流れⅠ】【軽やかⅠ】を取得しました。
鑑定してくれないか?
『しょうがないですね〜。ゴブリン(名無し)Lv7 HP: 14、MP: 42、SP: 7、STR: 7、VIT: 7、AGI: 7、INT: 28 スキル【鑑定Ⅹ】【威圧Ⅰ】【投擲Ⅰ】【暗視Ⅰ】【繁殖Ⅰ】【鳴き声Ⅰ】【魔力の流れⅠ】【軽やかⅠ】です』
【ステータス表示】が可能になりました。
鑑定ちゃん、君もう明日から来なくていいよ。
『泣きますよ?』
それは置いといて。探しに行くか、母親を。
『置いとかないでください?』




