賢者は鞣す。
「只今戻りました」
「お帰り。案外早かったな」
ハイドフェイスは行きと同じで飛んで戻ってきた。
「刃物を持ってるか?」
2人にそう訊く。
「すみません。私は持っていません」
「ごめん、鶴嘴しか持ってないです」
言い方は悪いが、賢者や魔法使い等には全く期待していない。そして、シトリーは鶴嘴を主に武器として扱っているだろう。先程確認済みだ。つまり、聞くだけ無駄だったと云う事だ。
「しょうがない。魔力を結構消費するが、やるか」
形を想像し、【魔力の流れ】で具現化する。拘束具を作成した時と同じ流れだ。
より良い物を作成する為には、詳細な想像と魔力の純度が大切だ。
「さぁ、この短刀で皮を剥ごうか。ハイドフェイス、手伝ってくれ」
「仰せの侭に」
ハイドフェイスに紫色の短刀を投げ渡す。確りと鞘に収めていた状態だから、御安心を。
シトリーには待機を命じた。
胴体の皮を剥ぎ、皮に付いた肉を削ぎ落とす。肉は焼いたら良かったらしく、ハイドフェイスとシトリーも食した。
中々魔力だけでは火が付かず、悪戦苦闘した末に、熱属性魔法を手に入れた。熱を発生させるだけで、火属性魔法の下位互換だ。
「物の状態を固定するとか、物を腐らせないとか、そう言う魔法を持っているか? もし、持っているなら使って欲しい」
「では、【防腐】」
熊の革を大きめに切り取る。そして、調整やら何やらをして、やっとシトリーの服ができた。
昼下がりに作業を始め、終了したのが夜だ。
称号【皮剥】【仕立て屋】を取得しました。
下着にするには材質が違う様な気がして、魔力で作った。肌触りはとても良い。
魔力で具現化する物は、具現化する時に魔力を使い、12時間毎に大きさ、精密さに応じた魔力を供給しなければ消失する。
今回は下着なので、大きさも精密さも無いので使用魔力は少ない。
「で、あの道に戻ったが、こんな魔物が居るとはな」
5m以上の幅の道を塞ぎ、15m程ある木と同じくらいの高さをしている一つ目の魔物。
サイクロプスだ。




