賢者は性的な命令をする。
「あの、行きましょうとは言いましたが、一体どこに向かっているんでしょうか?」
暫く歩いていたらハイドフェイスから訊かれた。そう云えば言ってなかったな。
「兎に角、人が居る所に行きたい」
「あの、私達、化け物ですよ?」
そうだよ、問題はそこだ。人里に出て如何すれば良いか。最悪、ハイドフェイスなら仮面やらローブやらで、怪しいだけの“人”を演じられる。
だが、俺はどうだ? 碌な装備が無い。だが、人里を見てみたいのだ!
「ん? 急に暗く……ハイドフェイス。ローブの中に入れたか?」
「これで行けば良いんですよ」
俺がローブに隠れる、と。
「膨らみでばれないか?」
「バレませんよ。このローブには、魔法が付与されているので」
鑑定。
『……妨害されました〜』
御前ならこの程度の妨害くらい大した事無いだろう。
『ええ、有ろうが無かろうが拡張を付与していますね。このローブ』
ローブに【拡張】? そんな事可能なのか?
『普通はできません。普通は』
普通じゃなかったら可能なんだな。続けてくれ。
『拡張が付与された物とその物の所有者の魂を、犠牲にすれば可能です』
目当ての魔法が付与された物と所有者の魂を付与したい物。この場合はローブに【錬金】すれば良いんだな?
『はい、ほとんど正解です』
殆ど?
『錬金ではなく付与です』
前の世界で禁忌とされた物の中にあったな。“魂化付与”。
『正解。魔法を剥がして所有者の魂に付与する。その時、所有者は死亡後、7秒以内に魔法を剥がして魂に付与しなきゃ失敗。死ぬ。付与Ⅹまで行ってないと剥がしても魂に付与できなくて失敗。死ぬ。例え条件を満たしていても1,000人に1人しか成功しない。999人が死ぬ』
「改めて御前凄いな」
「『そうですか?』」
心做しかこの2人、似てるな。
途中で道を発見し、辿っている。
「御主人様、止まってください」
「御前に抱き上げられているので、もう止まっている」
重くないかな。
「近くに人間が居ますけど、どうしますか?」
「俺の言う通りに話してくれ。まず、近付く」
お、近付いて行ってる。
「そして、挨拶だ」
「こんにちは。良い天気ですね」
「あ、そッスね」
怪しんでるな。とても警戒している。
「そう云えば、ハイドフェイス。御前は男もイけるクチかい?」
「両方イけますよ」
「は? 何言って……」
俺はローブから飛び出し、彼を押し倒す。
「うわっ!? 何だこいつ! ゴブリンか!?」
魔力の縄を作り、手足を拘束し、口も塞ぐ。そして、邪魔にならないように退いた。
「ハイドフェイス。後は頼んだ」
「仰せの侭に。御主人様」
ハイドフェイスは脱ぎ始める
「……見ない方が良いか?」
「ええ、お子様には少々刺激が強いでしょうから」
2人の会話の裏では彼が“んー! んー!”と騒いでいた。




