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第7話 世界の支配者

 この世界は5つの超大陸に分かれていて、その一つ「ブレイズハート」と言われるのが太郎とエルのいる大陸らしい。それぞれの大陸には、この世界の生物の最強種であるドラゴン(龍)が君臨し支配している。支配といっても縄張りのようなものらしく、支配地域に直接的な影響力を行使することは滅多に無いらしい。単純に自分の縄張りに他のドラゴンを立ち入らせないための決め事のようなものだという。


 ドラゴンは、支配者として暴虐を行うような恐怖の対象ではなく、かといって慈愛に満ち他種族を守護することもない。人の存在など取るに足りない虫ケラ同等の存在であり、あえて関わり合うことなどは考えもしないそうだ。自分以外に無関心ということなのだろう。

 他の種族にとっても、ドラゴンは畏怖すべき対象ではあるが積極的に関わるべき存在ではなく、互いに距離をとることで長年に渡り共生できている。

 そうエルは教えてくれた。


 それぞれが

 大陸名: アルカディアス (Arcadius)

 支配するドラゴン: エメラルドウィング (Emeraldwing)

 翼と鱗が鮮やかな緑色で、自然と調和する力を持つ。森林や大地を守る守護者であり、治癒と再生の魔法を操る。


 大陸名: ブレイズハート (Blazeheart)

 支配するドラゴン: インフェルノクロウ (Infernoclaw)

 炎を操る力が強く、体からは常に熱を放っている。溶岩の海と火山が多い大陸を支配し、破壊と創造のサイクルを司る。


 大陸名: セレスティア (Celestia)

 支配するドラゴン: スターブレイズ (Starblaze)

 特徴: 星々の光を体に宿し、夜空を照らす。予言と星読みの力に長け、大陸の運命を見通す知恵を持つ。


 大陸名: テラディープ (Terradeep)

 支配するドラゴン: アースバインダー (Earthbinder)

 特徴: 巨大な体と力強い爪で大地を掘り進む。地震や山脈の形成を操り、大陸の地形を変える力を持つ。


 大陸名: フロストフォール (Frostfall)

 支配するドラゴン: クリスタルフロスト (Crystalfrost)

 特徴: 氷と雪を操る力を持ち、冷たい息で氷の城や彫刻を作る。厳しい寒さの中でも生きる。


「だが、この大陸の長、焔のドラゴン、インフェルノクロウの気配が消えた。」エルが告げる。

「我らがこの地に生まれ落ちてから初めてのことだ。」


 エルの種族の集落は、ドラゴンの根城である大陸の中央に存在していた。古よりドラゴンとの関わりが深く…というか勝手に近くに住み着いたのではないかと思うのだが…その存在を崇め信奉し崇拝していた。いつしかそれは教えとなり、教義になり、伝承となった


 ドラゴンの存在、いわゆる生命エネルギーともいうべき波動はかなり強力なもので、離れた位置からでも感知できるほどらしい。

 その強大な存在感ゆえドラゴンの側に近づくことも困難なのだ。

 その威圧感が及ぼすプレッシャーに生物の生存本能が刺激されるのかも知れい。そう死への恐怖。生殺与奪を握る圧倒的な支配者の前に、非力で無力な存在は絶望感に襲われ、ただ恐れ平伏するしかないのだ。

(そうか、それでエルも俺と出会った時に気絶したのかもな。)


 そんなあらゆる生命の頂点に立つ圧倒的な存在が忽然と消えたのだという。


「それで、私がその調査の為にドラゴンの住む「死の森」へと派遣されたのだ。しかし、その森は消えていた。燃え尽くされていた。」


 死の森?燃え尽くされて消えた??

 太郎の頭の中の記憶がチクっとした。

 死の森…俺がいた森のことかな。燃やしたの…多分俺の所為なんだよなぁ〜…


「そこで、別のドラゴンに遭遇したのだ。お主も遭遇したあの赤き龍。あれは…インフェルノクロウの子どもなのか?それとも別の存在か…」

 太郎の困惑を他所に、美しいエルフは思案に耽る。


「お主はどう思う?何か気づかなかったか?」エルフは、つと視線を上げ太郎を観やる。その上目遣いは反則だ。見つめられた太郎の鼓動は跳ね上がった。


この世界に転生しドラゴンになって暮らしていた時、あの森に他の存在は認知しなかった。エルは死の森と呼称していたが、それは恐らくドラゴンの影響で他の生物が棲みついていなかった可能性もある。インフェルノクロウのように強大な存在がいたとしたら気づいたはずだ。


太郎は、そう思考を巡らせた。


「そ、そうか記憶を失っているのだったな。すまない。つまらぬことを聞いてしまった。」エルは頭を下げた。太郎が思い悩んでいる様にみえたのだろう。

 こちらこそ…何かすいません〜と太郎は心の中で謝った。同時に記憶喪失最強!と思った。


「インフェルノクロウが子を為していた可能性はある。確かにドラゴンは長寿でありこの世でも不死に近しい存在であるが…自分の死期を悟り…いや、自分自身を依代に別の存在に生まれ変わった可能性も…」

独り言をいいながらエルは顎に指を添えた。やはりこの方は何をしても絵になるなぁ〜。あれっ!?


エルの言葉に太郎の思考が反応した。

「生まれ変わり…転生!?」


太郎の呟きに、エルは眼を見開く。


「そうか!転生か!」

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