巡る風は春告げて
春の息吹きに導かれ
微かに染まる花蕾
碧の海は穏やかに
琥珀の川は滔々と
残雪の山は厳かに
たなびく雲は蕩々と
紫紺に染まる空眺め
花咲く時を待ちながら
巡る命に想いを寄せて
巡りゆく時に涙する
慈しむは春の雨
雫を隠す花霞
囀る小鳥
雲間の光
吹く風光る
枝告げる春
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滔々:水が淀みなく流れるさま
蕩々:はてしなく広いさま
桜の咲く季節が訪れるたびに
いつかまた、と望んだあの場所へ
花霞の向こう側
聞こえるはずのない声を聞いて
巡る命のその先に
巡るはずのない命を思う