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第95話 邪神ソリューズ完全体

「さてと、長々としゃべってしまったが、最後に聞いておきたいことがあるのぢゃが。」

「何だ? 言ってみろ。」


「我の仲間になる気はないか? 余はお前が気に入ったのでのう。」

「ふふふ、そんな風に思ってもらえて悪い気はしないが…貴様には死んでもらわんといかんのだ、悪いな。」


「そう言うとは思ってはいたが…残念ぢゃ。」

「我も残念だ。違う出会いがあればペットとして飼う事もできたのにな。」


「ほざけ、ペットはお前ぢゃ。」

 カミラを捕まえようと両腕を伸ばすが、ことごとく躱される。かなりの速さで追うのぢゃが、なんてこともない余裕な顔で避けておる。ふむ、このまま小娘の体のままだとバランスが悪いのう…変形するか。


 余は一度両腕を戻し。体を大きく構築し直す。


 ボゴボゴオオオゴゴゴゴ


 今までは5~6歳の人族の幼女姿だったのが、大きく膨れ上がりオークキング並みの筋肉質な体になった。

「おいおい、体が大きくなっても顔は幼女のままって気持ち悪いな…どうせ我に負ける事は変わりないのだから、今までの幼女のままで無駄な抵抗はせずともよいのに。」


「カカカカ言ってくれるでわないか。いつまでその余裕な顔でいられるかな?」

 余が一瞬でカミラに近づき両腕で抱き着き、締め上げる。


「捕まえたぞ、さて今から貴様を徐々に徐々に力を込めて潰していってやろう。」

「貴様のようなモノに抱きしめられるのは趣味ではないのだが…放してくれないかな? なんだ、その…言いにくいのだが不潔そうなのでな。我は潔癖症なのでな。」


「ふん、いつまでそのような減らず口がたたけるか見物だ…ぞ!っと」

 余は抱き着いたカミラの体を徐々に力を込めて締め上げていく。ギリギリと体と体を密接していき力を込めて締め上げていく。


 カカカカ、カミラの柔肌に余の腕が食い込んでいくのが感じられるわい。いったいその柔い腕でいつまでこの締め上げを我慢できるかな。カミラの整ったキレイな顔が歪んでいく様をこんな間近でみられるなんて…ああ、楽しみぢゃ。


「ぐ、ぐあああああ、お? ああああああ、お? ああ、お?」


「……お前…全然効いてないのか? 嘘じゃろう…」

 一応効いている風に声を出してはいるが、こっちが締め付けと緩めるときに合わせてふざけた相槌のような声を出してるし…何より顔がずっと無表情ぢゃ。全然効いてる感じがしない。


「ん? もう終わりか? 結構気持ちよかったのにな。ふん!」

 カミラはそう言って、簡単に余の腕を振りほどいた…余を上回るものすごい力でだ。


「お、お前…今の締め付けが一切効いていないというのか…くそ。やはり完全体になるしか…。」


 ドスドスドス


 空から降り注いだ3本の剣が余の体を突き刺した。


「ふむ、やっぱりこの程度の物理攻撃は屁でもないか。」

 カミラは最初から余に剣など効かぬとわかっていながら、試したという感じだった。


「…普通なら物理攻撃が効かぬとわかったら、もっと絶望するもんぢゃぞ!」

「なんでだ? まだまだ色々とその身で試せるから、楽しいではないか。」

 そう言って嬉しそうに笑うカミラを見て同族の匂いを感じた。この女…魔族だとは言っておるが…


「そうだな、こんな力の断片を見て余がこの程度だと思われるのも心外だからな。完全体になってもいいか?」

「か、完全体だと? 貴様はまだあと2回も変身を残しているのか…くっ。」


「は? その2回も変身とは何の事だが知らんが…。」

「気にするな。ちょっと言ってみたかっただけだ。」

 いや、恥ずかしいなら言わなければいいぢゃろうに…耳まっ赤っかやん。


 恥ずかしかっただろうカミラは余裕をかまして、我が完全体に成るのを待っていてくれるようだ。まあ、そんなに時間はかからないのぢゃがな。


 ズゾゾゾゾゾゾゾゾ


「おお、何かおぞましい程の魂の移動を感じるぞ。どこかに貯蔵していたのか?」

「カカカ、みなぎる、力がみなぎるぞ! 余の魂の鼓動が聞こえてきたわ。こんな借り物の器ではなく余本来の魂の形が形成されていくのを何十年振りに感じられるぞ…」


 ふむ体が大きくなってきたな。といっても先ほどのオークキングのような無粋な大きさではなく、人族の30歳ぐらいのバランスの良い体形に近い。今まで余が集めた黒い霧のような魂が全身を覆う。その霧が余の体に吸い込まれると同時に一筋の線となり体に禍々しい模様が描かれた。


 余が両手を天に掲げ“はっ”と声を張り上げると、空気が揺れ衝撃波のように四方八方に霧散した。


ズババババー


「ふう、清々しいな…やはり仮初かりそめの体とは違うのぢゃ、ふむ。」

 余が落ちていた石を拾い、フッと軽く吹いた。その石は拳ほどの大きさだったが100mほど先の崖に突き刺さり、轟音と共に崖が崩れた。


「ん~まだまだ馴染んではいないがこんなものかの…どした、カミラ? 黙り込んでしまって。」

「いや、ちょっと言うのもはばかれるんだけど…その、貴様気持ち悪いな、その姿。」

 


「は? 気持ち悪いって…余のこの姿がか? カッコイイぢゃろう全身豪華絢爛模様のイレズミで!」

「今まで幼女だったのに、なぜ完全体はおっさんなのだ! 全裸のおっさんが全身イレズミで幼女の時と同じ高い声をしているのだ、これを気持ち悪いと言わずに何と言うのだっ…ぐぐがああああ。」


 減らず口を聞くカミラに瞬で近づき腹に軽くパンチを当て、地面に片膝を着く。


 カミラの髪の毛を掴み、強引にぐいっと持ち上げる。


「我の自慢のキューティクルヘアをこんなに雑に扱うとは、女性の扱いがなっておらんのう。」

 カミラは余裕で減らず口をたたく。なんぢゃつまらん…もっと絶望的な顔をしておるかと思ったのに…。


 ここはもっともっと恐怖を与えてやらねばいかんのぢゃ。最高の魂は最高のスパイスを与えて美味しく頂かないと失礼になるからな。


「安心するのぢゃカミラ、余は優しいからな《《お前を殺さないぞ》》。」

 余はカミラの耳元で優しくささやいてやる。


「何、本当か? 本当だな? 絶対だぞ! 約束だぞ!」

「カカカカ、ああ本当だとも安心しろカミラ…」

 余は安心しきったカミラの耳元で再度言ってやる。


「絶対にお前を《《楽には殺さないぞ》》。いたぶっていたぶって骨の髄までしゃぶり尽くしてやるわ~、クカカカカカ。」

 余は最高の笑顔でカミラに告げて、高笑いした。


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