第91話 勇者魔王ショッピング
「えっ、ユウタ特産品になりそうなの見つけたの?」
レインさんが驚いて僕に問いかけた。
「ええ、たぶんいけると思います。」
「まあ、我が半分以上見つけたようなものだがな。」
カミラさんがちょっと誇らしげだ。
「いえ、カミラさんは鑑定しただけじゃあ…」
「バカ言え、我の鑑定がなければ確信できなかったであろう? ユウタ。」
「ええ、それはそうなんですけど…何か釈然としないというか。」
「だが、それも事実だ! ここは男らしくズバッと認めるべきだろう。」
「そうですね! ここは男らしく! カミラさんの貢献度は10%です、ズバッ!」
「男らしくの定義が違う! 50%と言ってくれるものだと…」
「貢献度は10%です、ズバッ!」
「…ズバッ!は止めろズバッ!は…なんかイラッとするから。」
「それじゃあ僕の案を聞いてもらえるズラか?」
「ズラも止めろズラも…なんか首絞めたくなるから。」
首を絞められるのは怖いので止めよう。カミラさんとの会話に夢中になっていて忘れていたが、ふとレインさんをみると…
部屋の隅でおとなしく体育すわりをしていた。
「ど、どうしたんですかレインさん? そんな隅っこで丸くなって…」
「さみしい…」
「えっ? なんですって?」
小さくて聞こえなかったのでもう1度聞き返した。
「寂しいな〜、ユウタは魔王に夢中で、二人だけで話のやり取りを軽快に繰り出してキャッキャうふふ。その間俺なんて…ほったらかしだ…」
「キャッキャうふふって…いえ、そんな風にはもちろん思ってないですし、たまたまこの間異世界の村で一緒になったから…」
「それだよそれ! そこんところだよ!」
「どれ? そこんところのどれ?」
「何で二人で待ち合わせて異世界に行っちゃてるの? 俺も呼ばないと! 勇者である俺を呼ばないと!」
そんなレインさんの抗議に僕は事実無根だと説明する。
「カミラさんと待ち合わせてって本当に偶然なんですよ。先に僕が異世界に行っていて、その後にカミラさんも異世界に来てたみたいで…。」
「そうだぞ、ユウタも我も偶然だ。それに異世界では勇者には連絡の取りようがないでわないか。」
僕とカミラさんでレインさんに説明をする。
「じゃあ、埋めさせてくれ。」
「えっ? レインさん、なんて?」
「連絡が取れないと言うんならユウタにこの探知魔法を付与した石を体内に埋めさせてくれ! それなら居場所が分かるから、俺だけ仲間はずれになる事ないし!」
えっ…予想外すぎてちょっと頭がついていかないんですけど? 埋めるの? えっ僕に? 僕の体内に埋めるの? 僕が戸惑っていると…
「それはいい! 勇者ナイスアイデアだ。ユウタが異世界で困るといけないからな、我らがすぐに駆けつけられるように埋めこもう、すぐ埋めこもう、今すぐ埋めこもう!」
…まさかのカミラさんまで参戦して僕一人アウェー状態、残機ゼロ。
「そうなんだよ魔王、これの探知石見てくれよ。うちの国で総力をあげて小型化した最新型なんだぞ。従来の10分の1にまで小型化できたんだ! すごいだろうって魔法道具開発局の開発担当が言っていたんだ。」
「ほう、確かにその大きさはすごいな。従来の探知石はその大きさから体内、胃の横ぐらいにしか入れれなかったのだが、小型化によって頭に直接埋め込む事ができるな。」
…ええええええ何怖い事言ってるの、この二人? 頭に埋め込むって…それ罪人用とかペット用じゃないの? と聞いてみた。
「バカ言うな! こんな高度な術式を埋め込んだ最新技術を罪人や動物に埋め込む訳がないだろう。王族や貴族などの要人に埋め込む用だぞ! 見ろ、この装飾を! この道40年のベテラン装飾職人の…」
装飾はどうでもいい! 頭に埋め込むのだったら装飾の華美など心底どうでもいい! そしていくら王族や貴族などの要人専用の探知石だろうが、「えっそうなんだすごく誇らしいよ!」などという気持ちになはならない!
「あれ? でも前に二人が僕のために術式を組んでくれましたよね? 僕がどこにいても助けに来てくれるって言ってた。あれで僕の居場所が分かるんじゃないですか?』
確か63話立ったか…あれからもう28話も経つのか…早いものだな…今現在これを読んでいる時点で忘れているかもしれないから、PVを稼ぐためにあと2回ぐらい読んだ方がいいんじゃないかな…チラ。
などと邪な事を考えていたらカミラさんが…
「あの術式はそんなに何度もほいほいと使える代物ではないぞ。ユウタの魂に負担をかけてしまう事になるからな。本当にユウタに命の危機が迫った時のための緊急措置用と考えてくれれば良い。」
へ〜そうなんだ、前のとは違うんだ。
「そうだぞ、それに比べてこの探知石ならいつどんなときにでも、何回でもお手軽に使用できる! あいつ今、何してんだろうな〜そうだ! そんな時にはこの石を使うと…こんなところにいたのか! お手軽に暇つぶしが出来るこの製品。今ならなんと90%OFFでのご提供!」
「ちょっと待った〜! まだまだそんな物ではございませんよ~! 今から30分以内のお申し込みなら、この万能枕が付いてきて…なんと90%OFF! お値段変わらず! もちろん消費税、送料別です!」
…いや、二人ともそんなドヤ顔されても。
魔王と勇者が小芝居を見せつけてきたけれどもよ…全然そそられませんわ…。あと、送料は別なんだ…。
「キャンセルで!」
僕はきっぱりと断りました。
「ちょっと待った〜〜〜〜! 今ならこの万能枕を2個お付けします! もし、万が一キャンセルしてもこの万能枕を2個は返さなくても結構です! それなのに…お値段なんと99%OFF! お得です!」
キャンセルしたのに食いさがるレインさんとカミラさん、いったいその探知石と万能枕が何の関係があるのかじっくりと説明を聞いてみたいところだ。
あと、99%はもう既に儲けなどないのでは…1%利益出るのなら元の値段はいくらなの? マケすぎだよ99%OFFは…
二人の熱意には負けたよ…
二人の僕を思う気持ちに負けたよ…
「キャンセルで!」
断りました。
万能枕2個もらいました。
それにしても二人とも地球のテレビショッピングの見過ぎでしょう…
しまった、今回全く話が進まなかった。




