第86話 再び村へ僕一人で
翌日気になったので、僕は一人でマルス村を訪れた。村長の家の前にマーキングしてあったので、ばたりと村長と出くわしてしまった。
「おや、これは…ユウタさんでしたな。今日はお一人ですか?」
「ええ、僕はもう一度この村を見てみようと思いまして。」
「そうですか、まあ何もないところですから…さぞ難儀している事でしょうね。」
という村長の言葉に僕はにっこりと愛想笑いをしてごまかした。本心では…
(そうなんです…本当に何もないところで、あの二人はここに娼館を建てようとしたんですけどランク的に厳しい…という事で一度この村丸ごと更地にしようという案まで出まして、ええそうです。村人ごと瞬滅です。)
などと言えるはずもなし。丁度村長も手が空いたようなので僕と一緒に回って、質問に答えてくれるとの事。
「普段の主食は何ですか?」
「この村で育てている麦ですが、やはり採れる量が少ないのでいっぱい実のなるじゃがいもの方が主食ですかね。」
やっぱりこの地でもじゃがいもはいっぱい取れるようで大活躍なようだ。
「塩とか生活必需品はどうしているんですか?」
「生活必需品はなるべく村内で作れるものは作って、賄うようにしてはいるのですが、どうしても村で賄いきれない物は半年に1度ぐらいの頻度で都市から商人に来てもらえるようにお願いしています。塩もこの辺りでは取れないので…言い値で買っています。」
ああ〜、まあしょうがないな塩は。無いと生きていけないから足元を見られても…というかこんなところまで持ってきてくれるだけでもありがたいのだろうけど。
だから昨日村長は空間魔法持ちのカミラさんに塩は無いかと、あったら譲って欲しいと頼んで少しだけだけど譲ってもらっていたのだ。
本当はレインさんが大量に持っているらしい。
冒険者としてあちらこちら行くとやっぱり塩が一番貴重なので、本当に供給量が少ない辺鄙な村や、閉鎖的な村にはありがたがられるらしい。そして待遇や人当たりも良くなるのでコミュニケーションアイテムとしても必需品だと言っていた。
この村の産業はやっぱり農業だな。畜産として家畜も育ててはいるみたいだけどそんなには多く無いので、この村で食べる分だけって感じだな。
ぼくと村長は次に畑などを見て回る。こう見ると敷地はだいぶ広いな。東京ドーム10個分ぐらいあるんじゃないか? あっ、僕東京ドーム知らないや。
僕がめっちゃ広い畑だと思っていたところは単なる雑草だった。村長さんいわくこの雑草は美味しくはないけど繁殖力が強く、採ってもすぐに育つので、小麦やジャガイモなどが不良の時はよく食べているらしい。
僕はその雑草を見てみる。あれ? これなんか菜の花に似てるな。雑草ってもっと細い草草してるのかと思ったら幹も葉も太いから食いごたえあるよね。
菜の花といえばよく好んでばあちゃんが食べてた印象が…その辺に生えてるやつ勝手に取ってきておひたしにしたりなんかして。
そんな事を考えていると
「おお、ユウタもやっぱり来てたのか。」
カミラさんが僕の後ろから声をかけてきた。
「これはこれは、ナイスバ…カミラさんもようこそおいでくださいました。ダイナマイトボデ…カミラさんもこちらへ?」
…村長思いっきりナイスバディー、ダイナマイトボディーって言いかけてますやん。ダイナマイトボデまで言ってるんだったら、残りのィーぐらいもう言えばいいのに。
人畜無害のような顔をして、カミラさんの事内心ではそんな風に呼んでいたんだ…ムッツリだな。これから僕は心の中でムッツリ村長と呼ぶことにしよう。
「ああ、ユウタの部屋に行ったのだがいなかったからひょっとしてこちらに来たのかなと思って探しに来たんだ。どした、ユウタ?」
「丁度いいところに来てくれましたねダイナマイトボディーカミラ。ちょっとこれをみて欲しいんですけど…」
「ダイナマイトボディー…ん? 我の聞き違いか? えっ何?」
「カミラさん鑑定魔法ありましたよね、この植物を鑑定してくれませんか?」
いぶかしながらもカミラさんは鑑定をしてくれた。
「普通の植物だな。一応食用とあるが…何だこれで何か食事でも作るのか? この村名産として売り出すとか?」
「いえ、この植物自体を料理しても人を集めるほどにはならないかと。それよりその鑑定で日本名が出てません? 近しいとか説明が。」
「ああ、注釈にあったな…日本名では…。」
……………………………
「ええええマジですか! これはいける! いけますよ! たぶん。」
一応近しいという鑑定だったのおだが、見るからに日本のと一緒だから《《あれ》》が作れそうだ!
感のするどい人なら、もうわかっている人もいると思いますが、出来ないとがっかりするかもしれないので今の所は秘密です。
やったー! やりましたよカミラさんとはしゃいだふりをしてダイナマイトボディーカミラさんに抱きついた。思いっきり力の限り抱きついた。くふふふ今ならカミラさんもセクハラだとは思うまい。
ただ単に発見した喜びに無邪気にはしゃいでつい…ハグしたとは思うまい作戦だ!これを事あるごとに実行して、僕はナイスバディー成分を蓄積させていきたいと思う。
カミラさんは背の高いのだが、さすがに僕の顔の位置に胸が来るほどの背の高さでは無いのでそこまで露骨なセクハラは出来ない。
カミラさんが最初は驚きから、だんだんと恥ずかしがってきたところで離脱する。長居は禁物だ。適度なスキンシップがナイスバディー成分を蓄積させ続ける秘訣なのだから…くくくくく。
よし、特産品の目処が立ったなら一度部屋に戻って調べてみるか。
「じゃあ、急いで僕の部屋に戻りましょうカミラさん!」
とはしゃぐ振りをして今度はカミラさんの手を取りひっぱっていく。
これもカミラさんとスキンシップする名目でセクハラ三昧計画の一端なのだ。くくくくく…これでカミラさんにも免疫が出来て“もう、しょうがないなユウタは”ぐらいの姉目線的なのでみてくれれば、僕の目標の半分以上は達成だ。くくくく
などと邪な事を考えていたら…
「何かユウタから邪悪な…邪な成分が溢れ出ているような気がするぞ!」
と警戒して手を離されてしまった。くそっ、勘の鋭い女だ。ふふふ、しかし僕は諦めん! 絶対にあのナイスバディーを手に入れるまで諦めんぞ〜〜〜〜!
「口に出しとる、出しとるぞ! 欲望をはみ出してるぞ!」
つい口に出して言っていたようで、また頭の形が変わるまでアイアンクローを決められてしまった僕でした。
あっ調べる時間がなくなってしまった。また次回に続く。




