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第85話 新たなmission始まる

“ピロ〜ン”

 ご飯を食べ終えて寛ぐ、僕の頭に久々にあの音が響いた。


「どうした、ユウタ?」

「ん? またmissionなのか?」

 僕の異変に気がついた二人が声をかけてくれる。


“mission13 村を救え。内容/この何もない田舎を経済的に救う事が出来たらクリアー。期間は3ヶ月”


 僕の目の前に1枚の紙が現れた。そこには…大まかな地図に村人の構成などが描かれている。


「なになに、う〜ん典型的な田舎だな。若い男は都市に出稼ぎに行って子供、年寄りが多いってところだが…まあ、若い奴もそこまで少なくもないと思うぞ。」

「一応農業を主としているが…都市から遠く、特産品になるようなものも何もないか…」


 レインさんとカミラさんが紙一枚の情報だけから、読み取れる事を解説してくれる。


「まあ、実際には見てみないとわからないから今から行ってみるか?」

「そうだな、3ヶ月以内に達成する事が目的だから自由に行き帰りできるみたいだしな。」

 僕はずっと聞き役に回っている。高校生の僕に内政なんて分からないしな。


「じゃあ行こうか、とりあえず村の様子を見てみてからだな。」

 レインさんの合図で僕たち3人はその村へと飛んだ。


〜マルス村を発展させろ!〜


 僕たちが飛んだ先は平原だった。

「じゃあ、この服装だと怪しまれるだろうから、これに着替えて。」


 レインさんが僕に平民のぼろぼろの服を出してくれた。何か嫌だな…こんな服に袖を通すの。


「レインさんこの服…どこから持ってきたんですか? 何か臭うし。」

「ああ、確か、ゴブリンの巣で殺されていた死体から剥ぎ取った一般市民の服だぞ。一度水で洗ったから大丈夫だろ。」


 ボボボボボ


 とりあえずファイアで燃やしておきました。


「何するんだユウタ!」

「自分、高貴な出なんでちょっとこれは着れないっすわ…自分高貴なんで。」

 とりあえず高貴押しする事にした。ちょっと直接地肌に触れる服は…生理的に受け付けないですわ…


「ボロボロでもいいですけど、もっと身元がしっかりしている服を所望します!」

「わがままだな…じゃあこれで。」


 今度は、先ほどのようにボロボロではあったが嫌な匂いはしなかったので我慢して着た。初めからこっちを出してくださいよ。


「あれ、二人は着替えないんですか?」

「我達は幻影の魔術が使えるから変装などしなくても大丈夫だ。」


 …なんかずるいな。高貴な自分が一番のボロを着せられているのに…ずるい。


 そんなこんなで、僕たちは旅の親子という設定で村に近づく事にした。幻術で二人は50代ぐらいの夫婦という設定だ。この先の都市に行く途中に立ち寄ったというていで近づく。


 村の周りはそんなに頑丈じゃなさそうな木の塀で囲われてはいるが…とりあえず囲っています程度の感じだなこれは。一応門の前に男が立っている。


「止まれ、そこのもの達。みたところ旅人らしいが…なぜこの村に近づく。」

「私たちは隣の都市に行くために、途中のこの村に立ち寄ったのです。毎日野宿でしたので、一晩だけでも宿に泊まれたらと思いまして。」

「おいら達、怪しい者じゃないよ。」

 調子に乗って僕は指三本立てて言ってみる。余計な事を言うなという目で二人に見られる。


「ふむ、まあ何もない村だが、村長なら一晩泊めてくれるかもな…だがこの村には入れさせん、帰れ! 怪しすぎるぞお前ら。」

 そう言って門番の男は剣の先をこちらに向けて威嚇する。


 ええええーすんなり入れてくれると思ったのに…なぜ断った? この人。


「な、なんでじゃ? べ、別にわしらは怪しくないでゴザるよ!」

 レインさんが慌てて訳の分からない言い訳をする。動揺しすぎですよ、余計に怪しいです。


「なぜ、急におじいちゃんに? だいたいお前ら旅の途中だと言っていたのに、何で誰も荷物持っていないんだよ? 怪しすぎるだろう。家族の旅なら1人1人がもっと荷物背負っていないとおかしいぞ!」


「「「あっ」」」

 僕を含めた三人が同時に声を上げた。そうですやん、僕たち3人とも手ぶらですやん…幻術で変装してるから大丈夫ぐらいにしか思っていなかった。


 …あほですやん僕たち。門番優秀ですやん。


 というわけで幻術を解いて、真面目に空間魔法を持っている事を伝えてこの村を良くするために派遣されたと伝えて村長に通してくれた。


 今まで怪しかった…しかも幻術で見た目を隠していたいかがわしい3人をなぜ、こんなに簡単に言い分を信じて通してくれたかというと…。


 そんな高度な魔法が使える奴に狙われていたらどっちにしろ村には抗う術が何もないし、空間魔法なんて尊敬される以外何者でもないほどの立場の人であるからとの事。


 それに…この村を良くしてくれるというなら、たとえ嘘だとしてもそれにすがるしかないぐらい切実な状況にあるようなのだ。


 そして僕たちは村長に会う。村長といえば、だいたいしわがれた老人のイメージなのだが、ここの村長は若かった。最近代替わりしたばかりの息子らしい。名前はマルス。マルス村だからマルス。


 この若き村長の名前を付けたわけではなく、代々村長を受け継いだ時にマルスと名乗るらしい。なんかカッコイイ名前の受継ぎ方だな。でもそれまでは村長の息子マルスっていう適当な呼ばれ方だという…それは嫌だな。



 それ以外は特にキャラが尖っているわけでもないので普通に流していく。


 連載によくあるパターンだと、中盤になるとキャラクターの濃い奴が出てきそうな展開になるのかな〜と思ったがそこは回避されたようだ。


 オネエキャラが出てきたら要注意だぞ!


 そして村長と一緒に村を案内してもらって、本当なら極秘情報である村人の人数から年齢、魔法が使えるかの有無を確認したが、おおむねあの紙と一緒だった。


 とりあえず一通り見て回ったので今日は帰る事にした。村長の家の前をマーキングしていつでも来れるようにしてから僕たちは一度帰る事にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふー、どうでした? お二人の見た感じ?」

 僕の部屋でコーヒーや紅茶で寛ぎながらあの村の相談をする。


「うーん、本当に何もないな。どうしよう…うーん。」

 レインさんは困り顔だ。


「いっその事あの土地を更地にしてなかった事にするか?」

 カミラさんが村抹殺という恐ろしい提案をしてきた。


「ダメでしょ! もっと村民を生かす方向で!」

 僕もつい、村民を活かすを生かすと言い直して懇願しちゃいましたよ。


「う〜んじゃあ、若い娘を集めて娼館的なのはどうだろうか? お忍びで近くの都市から客を呼び込む的な。」

「そこまでの評判を見込むのならよっぽどの美人がいないと話にならんぞ。そんな器量の者は見当たらなかったぞ。」


「今は田舎娘でも、磨けば光る原石もいなかったのか?」

「どんなに頑張って全員磨いたとしても、娼館のランクはCがいいところだろうな。」


 …冷静に人を活用しようとするレインさんの提案に現実的な指摘をするカミラさん。正直現代日本人子の僕はちょっと引く!


 しかし異世界では娼婦いうのは恥ずかしい職業ではなく、他の職業と何ら変わる事のない、一職業にすぎないのだとか。変に意識した僕の方がちょっと恥ずかしかった。


「それより魔法を使える人をもっと活用できないんですか?」

「うーん、魔法と言ってもほとんどが第一界までの初歩的な生活魔法ぐらいしか使えないだろうしな。」

「そんな魔法レベルで、村が発展出来るなら国中の全村が発展出来ちゃうぞ、まさに革命だ。」


 僕の意見は魔法が使える人=超人という浅はかな考えだったらしい。魔法が使えるなら何でもできるイメージだけどそんな事ないのかな? カミラさんがみっちり鍛えれば第五界魔法ぐらい使えるようになるとか…無理ですか、そうですか。


「魔物が出る森が近ければ高価な素材を剥ぎ取って、売ったりできるのだがな〜。」

「まあ、あの村を見る限り魔物の被害がないからこそ、あそこまで防御力の低い対策でも村が安全なのだろうしな。」


 そうなのか〜痛し痒しだな。でも魔物被害がないなら良い村じゃないのか?


「都市からも遠いし、魔の森からも遠い中途半端な位置だな。」

 と言われてしまった。


 結構遅くまで三人であーでもないこーでもないと話し合ったが、これといっていいアイデアはでなかったので、次回に持ち越す事になった。



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