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第83話 魔王-1に背く者達の末路

「帰れ帰れ、お前たちのような汚いガキどもは予選を受ける資格もないんだよ。」

「えっ…あの、その…だ、誰でも予選にでれるって…お菓子ももらえるって…」


「うるせええ、てめえらみてえなガキが増えてこっちは迷惑してるんだ! 魔王だかなんだか知らねえが面倒くせえ事しやがって。殴られる前にほら、さっさと帰れ。」


 予選会が行われる施設の入り口、門番のような男が予選会に出ようと集まった幼子達を追い払おうとしていた。


「ほう? 貴様、魔王様批判だけでも許しがたい重罪だというのに、魔王様主催のこの予選会にまで泥を塗るというのか?」

「あ〜ん誰だお前は? ふん、女ごときがこの俺様に口出しするとは、俺もなめられたも…ぶがっ」


 ズザザザザー


 図体がデカイだけのクソ野郎は私の軽いパンチで吹き飛んだ。


「な、何だ…」

 ぶざまに地面に突っ伏しながらも何が起こったかわからなかったのか、ボーゼンとしている。それとも自分よりも小さな女に殴られた現実を受け入れられなかっただけなのか。


 私は被っていたフードをとって名乗る。

「お前などにはもったいないが死ぬ前の餞別だ、名乗ってやる。私はダブリュス国 第3部隊所属、副隊長ルーミだ。貴様は今をもって死刑とする。」


「なっ、あの“鬼のルーミ”と言われる…本物か…い、嫌だ!なんで俺が死刑にならないといけないんだ! たかが、ガキどもを追い払ったぐらいで。」


「…たかが、だと? 貴様にも説明があったはずだぞ。この大会は魔王様が直々に行われると。そこには身分や、老若男女の区別など一切無いとあったはずだ。それを破るという事は魔王様の顔に泥を塗る事だと、そう通達があったはずだろう?」


「あ、あったが…俺たちはギョブル様の指示に従っただけなんだ。本当だ! 調べてみてくれ、だから俺は悪くないんだ!」

 ふん、調べれば調べるほどギョブルという男は…魔王様を軽んじているな。


「そうか、わかった。お前はしかたなくその指示に従っただけというのだな?」

「ああ、そうだ。俺もしかたなくだ。本当はこんな事したくなかったんだ。」


「わかった。それではお前にチャンスをやろう。」

「ちゃ、チャンス?」


「そうだ、私に勝つ事が出来たら許してやろう。ほれ」

 私は自分の腰の剣を目の前の男に投げ渡してやる。その剣を男は怪訝な顔で受け取った。


「ほ、本当に勝ったら俺を許してくれるのか? 俺が勝っても生きて帰さないつもりじゃあ…」

「私は騎士だ。そんな卑怯な真似はしない。正々堂々と戦ってやる。さてと…私の剣は…」

 男に渡した代わりに、自分の剣は離れたところに置いてある模造剣を取ろうと後ろを向いて歩き出した。


「馬鹿め! 正々堂々もあるか! 死ね。」

 そう言って男は後ろを向いた私に襲い掛かかった。


 ガイーーーン!

「なっ、物理障壁…、貴様正々堂々と言っておきながら魔法を使っているではないか!」

「不意打ちをして殺そうとしておきながら貴様は良く文句が言えるな。剣も持っていない者を後ろから襲うとは…見下げた男だ。」


「副隊長お戯れはその辺にして、もうそろそろ…」

 私の部下から早く始末をしてくださいと催促が入った。まあ、まだやる事がありまくるからな。


「だいたい貴様の様なやましい気持ちが有る薄汚い者達は、私がわざと隙を見せると100%襲いかかってくるんだよ。正々堂々と私が告げているのだ、心根が腐っていない者のならちゃんと戦うものだ。よって死刑だ! 貴様は。」


「ひ、ひいいいい」

 男は私に背を向けて逃げ出したが、逃がしはしない。斬撃を飛ばしてまず足を封じる。


 倒れたところを火魔法を放ち、焼き殺す。少しでも長く苦しんで死ねる様にな。火魔法の浄化の時間が長ければ長いほど次に産まれてくるときには綺麗になって生まれ変わるらしいからな。


「後始末は頼んだぞ。」

部下に任せて城主の元へと向かう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ギョブル様、本当によろしいのでしょうか、王であるフィア様からのお達しもありますが…なによりも魔王様のとの約束を反故する事にもなります。もしバレたら…。」


「まだ言うか! お前は心配性だな。そもそも身分の差無くなんて言うのは建前だけだ。今までもこれからもそんな小汚い平民を平等に扱うことなどありえないのだ。参加賞だという平民には身分不相応なお菓子などやらんでもいい! 我ら貴族でさえなかなか手に入らぬものを配るなど愚の骨頂だ!」

 椅子にふんぞり返ったブクブクと太ったカエルの様な男がギョブルというらしい。


「平民などは追い払い、お菓子は我らによって摂取し上には経費を膨大に請求してやればいいんだ。魔王など旧体質の象徴の様な位だろう。誰が今更崇め奉るというのだ。もう魔王などというのは過去の遺物なのだよ。」

 魔王様がここ数十年あまり表立って出て来ていない弊害がこのような事態になってしまっていたようだ。あの方はあまりにも強大すぎて私たちのような矮小な存在など気にも留めていなかったのだからしょうがない事だが…。


「そんな事よりも早くこれを…誰だ! そこにいるのは?」

 いままで気配は消していた私は、もう確認する必要を感じなくなり姿を現した。このカエルの様な男には私がどこからとも無くスッと現れた様にみえた事だろう。


「フィア様から直々にお達しがあったというのにどういうおつもりですか? ギョブル男爵。よりによって魔王様を侮る発言まで…弁解があったのなら一応聞きましょうか? それが貴方の遺言になるでしょうけどね。」

「ひっひいいいい、第3部隊の副隊長…ルーミだと、な、なぜこんなところに。」


「もちろん全て調べ終わって来ているのです。今回の件は魔王様自らの案だと伝えてあるはずです。その意に背く事は魔王様の顔に泥を塗る事だとも…あなたの人生はここで幕を降ろす事になります。」

「た、助けっ…て…くりゃry。」


 逃げる暇も無く体の自由を奪った。ここで処刑すると後片付けが大変そうなので庭で苦しませなが焼き尽くそう。先ほどの男達と同様に次に産まれてくるときには綺麗になって生まれ変わるように願って。


ーーーーーーーーーーーーーーー

「フィア様、報告書をまとめてここに置いておきます。」

「ありがとう。後で目を通しておくわ。」


 はぁー頭が痛い。我が国だけでなく、他の国でも続々と不正を働く者達の処刑の報告が上がってくる。まあ、ほとんどは魔王様の言う通りに従ってくれてはいるのだが…まだまだ己の欲に抗えない、多くの馬鹿者達が次々に見せしめに殺されていくのだ。


 魔が差したなどという者はほとんどいない。元から悪政や不正を行っていた者達ばかりだ。


 これはもはや魔王様のお楽しみ会などというのは建前で、本当は魔王様が自分の意にそぐわない者達をあぶり出すためのシステムを構築されたのではないかというぐらいに見事に湧き出ては退治されていくのだ。


「誰だ? いったい…私以外に魔王様にアドバイスをしている知恵者は誰なのだ?」

 魔王様の後ろにいるまだ見ぬ知恵者に少しだけ警戒感を抱く。一度魔王様に聞いてみなくてはな…そう決意して次々と上がってくる報告書に目を通すのであった。

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