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第81話 ソフィアの思い込み

 私の名前はソフィア。メルニーク王国の勇者パーティーの一員だ。詳しくは23話に私のプロフィールが書いてあるので読み直してくれてもいいんですよ。私のせくしーしょっとも載っていますよ…嘘です。


 …何か見たことのある前振りですって? 気のせいよ。だから決して38話を読み返してはいけないわよ。

 もし見てしまったら、無駄にPV数を増やすことになって作者を喜ばせることになるから絶対に見てはだめよ?


 前々から頼んでおいたレインファンクラブの諜報部員から連絡があって、とある酒場の合言葉で入れる個室で会ったのだけれども(もちろん諜報部員さんは筆談でドア越しなので顔も声も分からないのです。)とうとうレインが会っているという女性を突き止めたとの事。


 1枚の肖像画を提示されて驚いたわ。とても美しい女性、女性らしい豊満なラインは確かにレインが好きそうな理想の年上の女性といった感じだった。


 そして名前を聞いて2度驚いた。


 カミラ・カルロッツェ。アルメロ国第23代魔王だ。何十年も前の帝国との戦いではたった1人で何万という大軍を、第十界魔法というこの世で誰も成し遂げられなかった最高の魔法術式を生み出して一瞬のうちに消し炭へと変えてしまったといわれる残忍で無慈悲な魔王、“消し炭のカミラ”と恐れられるその人だったのだ。


 本当にこんな人とレインが…? 確かにレインはメルニーク王国の勇者ではあるのだけれど正直力量は…どうだろうか? 贔屓目に見ても第十界魔法を有する魔王には勝てないと思う。でもレインならひょっとしてと思わせる何かがあると思うの…


 もし本当に2人が戦う事になったら私は魔王に全張りよ! 全財産を全張りするわ! 例えレインならひょっとしてと思わせる何かがあると思ってはいてもそれとこれは別なのよ。女はみんな現実的なものなのよ。


 諜報部員いわく、二人が会っているところは実際には見ていないが、会っているんじゃないだろうか、本当に会っているのかな?ぐらいの情報らしい。


 いえ、私は信じるわ。この写真を見たらピーンときたの。絶対にこの二人は付き合っている。私の第6感、セブンセンシズがささやくの。


 あっ、シックスセンスだったわ…


 レインなら熱い抱擁をかわして夜の繁華街を歩いているぐらいはするわね。もうそんな仲だという事は結婚間近に違いないわ! レインはああ見えても恥ずかしがり屋だからみんなに伝えづらいかもしれない。


 だけどもしレイン…勇者が結婚したら、それがもし魔王であるカミラ・カルロッツェだったりしたら両国にとってとんでもない事になるわ。そして私たち勇者パーティーメンバーも…。


 解散も含めて今後の身の振り方を考えないといけないわね。そうだ、もうすぐ定例会議があるからその場でレインに追求してみよう。もし結婚が本当なら早めに手をうたないと。


 そうと決まれば…防犯防音を考えれば、レインの部屋がベストね。あそこならあらゆる障壁が貼ってあるので話が漏れる事はないでしょう。


 という事で勇者パーティーの定例会を私のゴリ押しでレインの部屋で行った時に、まずみんなの前で魔王の肖像画を出して問い詰めた。ふふあの時のレインの顔ったら。あんな驚いた顔は小さい頃、私が掘った落とし穴に落ちた時以来かしら。


 ど、どうしてそれをソフィアが…ていう顔をしてたわね、ふふふ。


 私がどんどん問い詰めればすべて白状してくれるかと思ったのに、魔王と男女関係だというのは頑なに否定されました。なぜそこまでひた隠すのでしょうか? 


 確かに魔王と付き合っている事、結婚する事を発表してしまえば国中に…いいえ、私たちの国どころか世界中に衝撃を与えてしまう事になるでしょう。


 でも、だからこそ私たち仲間には一番初めに報告してほしい。祝福させてほしいのよ! 勇者パーティーの仲間としてだけではない、レインの幼馴染としてを祝福をさせて欲しかったのに…


 結局(がん)として認めないまま、有耶無耶にされて会議は終了した。帰りに何度も何度も釘をさされて。そこまで言われると…本当に付き合ってないのかな? 


 私の勘違いだったのだろうかという気持ちが大きくなった。


 部屋に戻るとすぐにレインファンクラブの諜報部員から伝言があって、今度は違う酒場の個室に呼び出された。


 ………………

 ………………

 ………………

 めちゃめちゃ怒られた…。


 ええええ、レイン様が魔王様と付き合っているなどとは一言も言っていないのに、どうして抱き合っているだとか繁華街を歩いていただとか、ましてや結婚するなどとどうしてそんな話になっているんですか! と怒られた。


 かなり真面目に怒られた…。


 諜報部員との面会は必ずドア越しの筆談だったのに、この時は思いっきりドアを突き破って、正面から唾が飛ぶぐらいの距離から怒られたよ…


 今まで顔も声も分からなかったのに…初めてその垣根をいっぺんに超えてきたよ。私より若い女の子だったのに…めっちゃ怖かった。


 一応私、勇者パーティーの回復担当なんだけれど…世間では聖女様って言われて調子にはのっていないと思うんですけど…思いっきり怒られたよ、至近距離で。


 こってり絞られて酒場を出た時にはもう月があんなにも高く…。


 あれ? そういえば…魔法障壁でがんじがらめに守られているレインの部屋の内容なんで知ってるの? 会議終わってすぐに呼び出されたんだけど? 


 謎は謎のままに今日も夜が更けていくのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私の名前はフィア。魔王様の優秀な副官だ。むしろ優秀すぎるかもしれません。


 昔からもそうですが、今でも私は私以上に魔王様の参謀、腹心としていつ何時も魔王様を支えているという自負があります。


 裏で裏魔王と呼ばれている事も知っています。それも魔王様を思っての事です。決して魔王様を打倒して私が王の座に着くための裏工作ではないのです。


 そんな魔王様が最近おかしいのです。


 以前の魔王11将軍を魔王9将軍に減らし、魔英傑という位を新たに設立する案といい、あれほど無関心だった下々《しもじも》の民の為に市井を練り歩きお姿を見せたり、今度は魔王-1グランプリという民の為の政策をお考えになった。


 明らかに今までの魔王様とはお変わりになられた…


 まさか…私以外の参謀が…。誰かいるのか?


 許せない! 私以上の腹心がいるのは許せない!


 私は今までの、強者ゆえに弱者に対して無関心で残虐性もあるのだが、大飯食らいでどこかちょっとマヌケな一面もあったおバカな魔王様が好きなのです!


 ちょっと残念なところが8:2ぐらいである魔王様が好きなのです!


 いえ、決して魔王様の事を侮ってなんかはいませんよ。


 ほんのちょっとしか…


 そんな魔王様を変えてしまった奴が憎い! という訳でちょっと調べてみますか…

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