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第79話 階層主との戦い

 ダンジョン最下層の50階に出てきた階層主は…ゴブリンジェネラル。外見はゴブリンキングになぜか西洋風の兜をかぶっている。強そうだ…あの兜だけでも強そうだ。


 戦国時代の日本武将たちがかぶっていた兜も戦場で目立ち、威厳や誇示するために特徴な立物を取り付けていたらしいので、兜次第で弱そうに見えたり強そうに見えたりするよね? 例えそれが実用的じゃなくても。


 でもそんなに目立つと「あっあいつが大将だがら真っ先に潰そう!」ってなると思うけどそうはいかない。ゴブリンジェネラルの周りには30階層で僕が2時間もかけてやっと倒したゴブリンキングが囲むように4匹、そして杖を持ったゴブリンメイジが左右に10匹ぐらい、そして前列に歩兵みたいなゴブリンが20〜30匹ワラワラいる。


 もちろんゴブリンジェネラル単体でもすごく強いだろうけど、組織を率いて戦うのもジェネラルの能力。さすが将軍様ですわ。僕としてはバカ将軍を願うところですけど…期待うす。


 門を踏み込んでから左右のゴブリンメイジから魔法攻撃が。魔法自体は第一界火魔法の火の玉(ピンポン玉大ぐらい)と土魔法(ゴルフボール大ぐらい)が降り注ぐから致命傷にはなりにくいけど、当たれば地味に痛いヤツや。


「じゃあレインは少しの間僕の盾になっていて。カミラは降り注ぐ魔法をちょとだけ防いでて。」


 事前の打ち合わせ通り、レインさんとカミラさんには僕の指示に従ってもらう。一応僕がすべて倒すのだけれども、やりすぎない程度には二人に力を貸してもらう約束なのだ。


 その際呼び捨てでもご容赦くださいとは伝えてある。カミラさん、レインさんだと5文字で指示が遅くなってしまうからね。


「カミラ大丈夫か? レインもう少し頑張ってくれ、カミラ君は僕が守る! レイン僕に任せろ!」

「ユウタ俺たちを呼び捨てにしたいだけじゃね? あと、カッコイイ事言ってるけど、今ユウタを守ってるの俺達だからな。」

「う、うん…なにか呼び捨ても新鮮だな。我をそんなふうに呼ぶ奴がいなかったからな、照れるな。」


 そうなのだ、なかなか二人を呼び捨てに出来る時がないからここぞとばかりに特に呼びかける必要もないのに、無駄に呼び捨てにしてみたのだ。


「準備できました。3秒後に解放頼むレイン。」

 といっても別に僕も遊んでいたわけではない。身体強化魔法をかけてから、この間カミラさんに教えて貰った剣に魔力を纏わす方法で、剣を切れ味するどい刀のようなイメージで…レインさんが3秒たったので横にどいたのを見計らって、横一閃ーーーー。


ズバーーーーッ


ギャギャギャーーー


 目の前にいたゴブリンの歩兵が3、4匹纏めて上下真っ二つにされて奇声をあげて消え去った。続けざまに足を止めているゴブリンを2、3匹仕留めていき、その囲みから離脱して右に回り込む。


 それに合わせてゴブリンジェネラルが指示を出して常に正面になるように隊列を組み直しながら、僕めがけてゴブリンの二段攻撃。1列目の上を飛び越えて3匹のゴブリンが上から僕を狙い澄ます。


 前と上からの二段攻撃を反対の左に切り返して、飛び込んで上ゴブリンを回避する。僕の反転についてこれず飛び越えたゴブリンがバランスを崩して着地した所を狙って、足を切り捨てる。地面にのたうちまわるゴブリンを他所に戸惑うゴブリンを剣で全て薙ぎはらった。


 その最中にも左右のゴブリンメイジから魔法が降り注ぐが、着弾する前に飛びのいて離れてまた先ほどと同じように右に回り込む。それに反応してこちらに隊列を向けようとしているゴブリンジェネラルを狙って、第一界火魔法のファイアを打ち込む。


 もちろん牽制程度なので、周りのゴブリンキングに防がれるが隊列の反応が遅くなったので、まずは右側にいるゴブリンメイジの10匹を潰していく。近接戦闘で杖しか持たないメイジを力任せに横殴りにする。殺傷能力は二の次にして、とりあえず動けなくしてから止めは後からする作戦だ。


 9匹をなぎ倒した後、隊形が整ったゴブリンジェネラルが指示した歩兵が僕目掛けて押しよせたので、カミラレインのセーフゾーンへと退避して一息いれた。


「ぜーぜー、結構減らせたと思うんですけど。もうこの辺でいいですか? 後はレインに任せても。」

「任せてもって…全然減ってないぞ。まだ10%ぐらいしか倒してないから序盤中の序盤だぞ。」

「そうだぞユウタ、ゴブリンジェネラルがピンピンしておる時点でまだ前座も終わってないだろう。」


 わざわざ疲れた演技までしたのに心配無し。まあ、分かってはいましたけど。でも集団戦が初めての僕にしては頑張ってますやん。もっと褒めてくれてもいいですやん。


「まあ、初めてにしてはなかなかセンスがいいぞユウタ。これは…勇者である俺を超える存在? まさかな…」

「我も今まで生きてきた128年で、こんなに戦闘センスがいい奴を見た事がないぞ…ま、まさかユウタが伝説の…」


 …いや、二人とも台本読んでますやん。めちゃめちゃ棒読みで…。ユウタを元気付ける10の言葉集とかそんな細かいギャグを刻まなくてもいいんですよ。


 全く…。


 でも1話で10%しか削れてないと…あと9話かかる計算になるんですけど。さすがにあと9話ゴブリンジェネラルを倒すだけの話は僕がきついんで遠慮したいです。


 どうしよう、途中で1回トイレ休憩の話でも入れようかな。それとも食事の回を挟むか…やっぱり倒した事にしてあれから1年が経った…ていうパターンも捨て難いな。


 そんなしょうもない事を考えていたら…

「おい、もう十分魔法を放てるぐらい充填終わってるだろう? もう放っていいか?」


 そうなのだ、カミラレインのセーフゾーンとはただ単に二人に庇ってもらっている状態なだけなので、僕が休んでいる間は二人にゴブリンの攻撃を防いでもらっているのだ。


 二人の実力ならゴブリンジェネラル程度瞬殺できるのだろうが…僕のために…。って僕は全然望んでませんけどね。無理矢理ですよ無理矢理。


 いっその事ゴブリンジェネラルが空気を読まずに二人を挑発してくれませんかね。そうすればカミラさんならすぐにキレて吊れそうだけどな…


 頑張れゴブリンジェネラル! 負けるなゴブリンジェネラル! でも僕には瞬殺されてくれよ! 頼むぞゴブリンジェネラル!


 と思いつつ次回へと続くのであった。


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