第64話 魔法の粉
今日の夕飯はちゃっちゃと冷凍餃子で済ませた。
…前回のガーリックステーキチャーハンでの反省が全く活かされていない! などのお怒りはごもっともです。散々自分で調理してないな〜、レトルトや冷凍食品ばかり出してるから、これからはなるべく僕の愛情を込めた手づくりをと言っていたのに…即、冷凍餃子で済ませてしまった。
しかも食べてる描写も何もなし。いや、あの二人はもちろん餃子を絶賛していましたよ。僕が作った9話の餃子よりも喜んでいたんではないでしょうか…ぐぬぬぬぬ。
最近の冷凍餃子はすごいよね。僕も大好きだもん味の素の冷凍餃子。がっつり商品名出してますけど今のとこ僕はこれ一択ですね。
だって、スーパーとかで安いんですよ。さらに、何と言っても作りやすい! 油・水なしで誰が調理しても食欲そそるパリッパリの羽根ができる、うす皮パリッと、ジューシーで具がギュッと詰まった焼き餃子です。って書いてある通りだよ!
いつも“うんうんそうだね”って頷きながら作ってるよ。
すみません嘘付きました。
頷いてはいないけどそれぐらい革新的な手軽さと美味しさと安さと愛しさと切なさを実現しているよ!
…余計なの2つ付けたいぐらいの旨さ。二人とも僕の作った餃子も美味かったが、この餃子も負けずと劣らずうまいぞ! とレインさんは僕を気遣ってくれる優しさを見せてくれた。さすがレインさんだ。略して“さすイン”だ。
カミラさんに至ってはもう9話に食べた餃子なんて忘れたぞ。その日その日食べるものに対して全力投球だから今食べているものがNo.1なのだ! と分かったような分からないような事を言われたよ。
だから餃子に対してはもう僕が作る必然性が無いのかなと寂しい気持ちもあるのだが、作る大変さなどを考慮するとこの商品一択でいいかなという結論になりました。
僕の脳内統計局調べでは、そういう家庭も増えたのではないかなと思う。でも主婦にとってはありがたい事だと思うよ、僕は。手作りの美味しさはもちろんあるけど、その有り難みを子どもや旦那さんはわかってくれないよね。
だからこれを読んでいる人は作ってくれる人に感謝の気持ちを伝えてくださいね。たとえレトルトや冷凍食品でもですよ! 手間をかけてくれるわけですから、僕との約束だぞ!
そういう点ではこの二人は出されたもの全てに美味しい美味しい、うまうま言って食べてくれて感謝までしてくれる。なおかつ高額なお金まで払ってくれるいいお客さま(金ヅル)ですよ。ぐへへへへ…
というのを経て、実は今日の食後は二人にお菓子を食べてもらいたくて時間短縮したんです。そのお菓子というのは…
せんべいだ!
僕は洋菓子よりも和菓子派なのでよく食べる。あんこが大好きなんだよな。それになにより洋菓子に比べてヘルシーなイメージがあるから。実際はカロリー高いのもあると思うけど和菓子の甘さは満腹中枢を刺激して洋菓子より多くは食べれないなんていう不確かな情報のテレビも見た事があるから僕の思い込みの部分があったらごめんなさい。
ちなみにせんべいはいつからあるのか調べてみたら、縄文・弥生時代からあったみたい。つぶした芋を平たくして焼いた程度のものだったらしいのだけど。調べて驚いたのが、おせんべいという名前が団子屋の「おせん」という老婆からの由来っていうのが一番驚いたよ。
まさかの人名からだなんて、たくあん和尚みたいな事だったなんてね。由来なんて考えた事もなかったから初めてしったよWikiペディア!
そんなこんなで最初は初級編。ふつうのせんべいを二人に出したら、ボリボリボリボリ音はするけども反応は…
「あのお米のお菓子か不思議な感じだな。味は…可も無く不可も無くだな。」
「うーん、日本のものだからといって全てが旨いものという訳ではいからなボリボリ。」
徐々にいろいろな種類を二人に与えていった。あられ、のりせんべい、薄焼きせんべい、おかき、さらだせんべい、ざらめせんべい、米つぶせんべい、ぬれせんべい。
出す度に二人のせんべい砕き音は加速度を増していった。
「なんだこれはボリボリザクザク、止まらない旨さだボリボリ。」
「ぬおおおおお、こ、これは本当にせんべいなのか? うまうま!」
カミラさんはやっぱり味が濃いのが好みみたいで全てのせんべいを一通り食べてから、重点的に醤油だまりせんべいとか、ぬれせんべいを好んで食べている。確かに僕もぬれせんべいを初めて食べた時は衝撃的でしたわ。うまっ! このしんなりした食感もいいけど味が濃くてうまっ!ってなりましたもん。
ちなみにレインさんのお気に入りはざらめせんべい。これは角砂糖がついて砂糖至上主義の国から来たレインさんにはたまらない一品みたいだ。って調べたらざらめってカラメルを混ぜてあるらしい。だからか、砂糖の甘さだけじゃいなとは思っていたけれども先人の知恵ってすごいよね。感謝感謝。両手を合わせるのであった。
あと、知っていると思うけどサラダせんべいのサラダは「サラダ油」の事だって。これは有名かもしれないけど、プリッツなどのサラダ味も僕は最初野菜のサラダ味なのに全然味がしないなって思って調べた事があったのだ。豆知識でした。
という事でここで、数あるせんべいのお菓子の中で最終兵器をいきなり二人に投入してみる。今までのせんべいは前振りだったのだ。そのために最初に塩味のサラダせんべいを食べてもらった。二人の感想は…
「う〜ん、まあまあだな。」
「味薄いな…。」
って感じだった。
その直後に二人にあるお菓子を与えてみた…
その物の名は“ハッピーターン”せんべい界の邪道キング! 王道ではないからね。
「な、何何何ナニなにこれ? せんべいじゃなくて…粉が旨いのかこれは?」
「この振りかけてある粉うま〜〜〜! こなうまこなうま!」
そう言って二人はメインのせんべいは後回しにまずは粉だけを舐めとってしまう上級者向けの食べ方を始めるのであった。カミラさんに至ってはまいどお馴染みのあの文句…
「ユウタ、これは絶対にアレが入っておるのだろう。とうとう禁断な薬物を我に摂取させてしまったな。万死に値するぞ! でもこの薬物に体は抗えぬのだ…うまうま!」
と今だに美味しいものには禁断な薬物が使用されていると信じて疑わない二人に僕はある物を差し出した。
「くくく、つい先ほどあるルートから特別に魔法の粉だけを大量に仕入れる事ができました。お二人にはいつも世話になっていますので特別にお出ししますよ、くくく」
「ユウタなぜ小声? 我らしか居ないのになぜ小声で話す?」
「とうとう認めたなユウタ! 寄越せ、我に一番多く寄越すのだ!」
僕はネットから仕入れたハッピーターンの粉を二人に適量渡した(実際には粉だけの販売はしていません。フィクションです。自作している人もいるみたいですね)。
二人はあんなにもたらふく冷凍餃子を食べた後だというのに、せんべいにハッピーターンの粉をつけてバリバリ音を立てて食べまくっている。せんべいの咀嚼音が二人に挟まれている僕にはドルビーサラウンドで聞こえて不快度指数が2倍にも3倍にも膨れ上がる。
そんな一心不乱に食べ続ける姿をじっと見つめると…二人の目には狂気が宿っていた。
僕はこの粉は本当にお菓子なのだろうか? 本当に麻薬の成分が入っているのではないだろうかと心配になってしまうのであった。
あと、際限がないので「目を覚ませ!」と平手打ちをかまして、強制終了させたよ。おせんべいも地味に高いからね。




