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第63話 魂との融合

「「ありがとうございます」」

 二人からありがとうございますを返してもらった。さて、と…


「んで、カミラさんこの禍々しい玉に触ればいいんですか?」

「えーーーさっきありがとうございますを返したのに何で不機嫌なのだユウタは。全く難しい年頃だよ、本当に。」

 覚悟を決めて聞いたのにそんな言われよう…


「じゃあどうすればいいんですか?」

「儀式があるからな、ちゃんと聞けよ。まずはスクワット50回しながら“魔王様バンザイ、魔王様バンザイ”と唱え続けるのだ。そのあとはこっちの壁から向こうの壁まで転がっていき、最後にあのちょっと小高い壁から“魔王様おバンザイ”と叫んでこの玉に触れればいいのだ。簡単だろう?」


 …何その本当の茶番劇は。まあ百歩譲って“魔王様バンザイ”はいいよ、言うよ。でもジャンプするときの“魔王様おバンザイ”の“お”はいらないでしょう、“お”は。絶対ダジャレでしょう? 


「そこを何とかまかりませんか?」

 ダメ元で懇願してみる。


「んーじゃあ、触るだけでいいぞ。特別だぞ!」

 あっさり撤回! 掛け声だけじゃなくてスクワットとか転がるのも別になくていいんだ! 触るだけでいいんだ! ちょっとジャンプはしてみたかった。


 もうすでに突っ込み疲れていた僕は禍々しい光の玉に躊躇せずに手を差し入れた。


 …ん? 特になんにもない…か? ああああああああああ。


 禍々しい光が吸い付くように僕の体を覆い尽くす。じわじわとゆっくり這い上がるかのように時間をかけて。と、いっても1分もかかっていない? くらいか、紫色のような光が僕を包み込んだあと大きく膨れ上がり明滅して辺りを明るく照らした。


パッ


 僕は目の前が真っ白になって意識を失った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おいおい、魔王これ本当に大丈夫なのか。」

「もちろんだ。天才の我に間違いはない。ちゃんと囚人で完成前の術式を試しておいたぞ。成功率は25%だったがな。」


「4分の1! まあ高い方か…ってユウタは唯一無二なんだから100%じゃないと困るんですけど!」

「わかっておる、わかっておる。その為に我がそばにいて微調整をしてるのではないか、任せておけ。ほれ始まったぞ。」


 今、我達の前には宙に浮いた白い光の中にユウタが裸で仰向けに寝ている。この術式はユウタの魂を変質させるための魔法だ。


 膨大に注ぎ込んだ我と勇者の魔力をユウタの魂と融合させる。これにより我らからユウタがどこにいても探し出せるようにするのだ。もちろんそれ以外の目的もあるのだが…それはユウタには言わなくても良いであろう。我と勇者だけが知っておればな。


 ふふふ、それにしても不思議な男だな、ユウタは。我と勇者に自分の命を削ってでも守りたいと思わせる存在になるとはな…500年以上生きてきたがついぞそんな存在となど巡り合った事なかったというのにな…まあカツカレー8に人柄2の割合だがな。


 …真面目に言うと五分五分かな。確かに食べ物も魅力だが、それと同じぐらいユウタも魅力だ。もちろんそんな事をあ奴に言えば、飯目当てなんですか! とか怒られそうだが…飯が目当てなのも否定できないのだからしょうがないのだ。


 よしっと。これぐらいでいいかな。これ以上融合してしまうとユウタという存在自体が変わりすぎてしまうからな。


 微調整をしつつユウタへの融合を終えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ん? あれ寝てた?」

 僕が目を覚ましたら…そこはダンジョンの中だった。


 あれ? 僕は一体…何をしていたんだったけ? 目の前には美男美女が僕を覗き込んでいる。

「あのー、あなた達は…どなたですか? って外人みたいですけど日本語通じますか?」


「「なにーーーーーーーー」」

 おい、魔王どうなっているんだ。い、いやこんなはずはとか二人で揉め出している。


 軽くボケたつもりだったんだけど、思いの外2人が焦りだしたのでちょっと言いづらいな。たしか二人のプレゼントで僕がどこにいても駆けつけてくれる、一人じゃ無いんだよキャンペーンでくれた光の中に入ってから意識を失っていたんだけど。


 何かもめている二人から不穏な単語が聞こえだした。


 やっぱり魔力が強すぎてユウタがいなくなっちゃったんじゃないか? じゃあここにいるユウタは別人? もしくは別人格なのか?とか…こわ! やっぱり僕で人体実験してんじゃん。


「なにしてくれてるんですか! カミラさんとレインさんも!」

あまりにもシャレにならないのですぐに種明かしをする事にした。


「お、脅かすなよユウタ。あと少しで粗相するところだったぞ。」

レインさん、こんなところで粗相そそうだけはやめてくださいよ。粗相そそうはあっちの隅でしてきてくださいよ。


「ふぃー、我が微調整を間違えたと思って焦ったぞ。微調整をするつもりが微熱少年を作り出してしまったかと焦ったぞ…ふぃー。」

 …ある意味その微熱少年になってしまいたい自分もいる事に気付いた。次回があったらよろしくお願いします。


 そんなこんなでやっと話が進む事に。まあ、自分のせいなんですけどね。


「まずユウタには呪文というか言霊を教えておく。これを口に出してもいいが、頭の中で気持ちを込めて唱える事で魔法が発動するのだ。」

「はい、わかりました。で、その呪文とは?」


「うむ、しっかり覚えるように。それはーー。」


“ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”だ。


えっ“ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”ですか?


そうだ“ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”だ。覚えたか?


“ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー”恥ずかしいですね…口に出すのは。


「ちゃんと覚えておくように。いいなユウタ、絶対に忘れるなよ。お前が困った時や辛い時、どんなに遠くにいても我らがお前を助けに駆けつける。それがどんな異世界だろうが、地球だろうがな。」

 そう言ってカミラさんは僕を抱きしめてくれた。そしてレインさんも続けて。


 照れ臭かったけど、この時ばかりはよこしまな事を考えなかったよ。


 ちなみに一人ずつは呼べないか聞いてみた。カミラさんだったり、レインさんだったり。そうしたらその時の思いの強さによるらしいとの事。試した事は無いからわからないけど多分できるかも程度だった。何でそんな事を聞くのだ? と聞かれたので…


「いえ、もし僕が不良に囲まれて裸にひんむかれてやられている時にカミラさんに来られたらちんちん見られて恥ずかしいな〜と。だからレインさんに助けに来てもらえればレインさんにちんちん見られちゃうな〜ぐらいの軽い考えだったんですけどね…。」


 なんていう陰湿ないじめを考える民族なのだと呆れられたよ。そもそもそんな事で呼ぶなよと怒られた…あの呪文唱える時あるの? 本当に。

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