第57話 それぞれの思い
俺の名前は田中コウジ。高校2年生、三ツ俣ユウタの親友だ。2次元アニメの3次元フィギュアをこよなく愛す男だ。
最近親友の三ツ俣ユウタが告白されたらしい。知らない女子からみたいだが…。それを聞いた時俺の心臓は3秒は止まったぜ。すぐにスタンドによる心臓マッサージで事なきを得たが、後3秒蘇生するのが遅れていたら…放心状態のままマジで死んでいたぜ。
それにしてもまさかあのザ・平凡を地でいくユウタが…信じられない。何かの間違いじゃあ…いや、そもそもそんな事はなかったんじゃあ…となんども確認したのだが告白されたのは事実だったみたいだ。
正直ショックだった。
俺は3次元の女なんかには興味がなかった。2次元アニメの3次元フィギュアにしか興味がなかった俺が…欲している? フィギュア好きというのは虚言で実際に俺は生身の3次元女性を求めているのか?
このままでは俺のアイデンティティが…今まで築き上げてきたアニメキャラとの信頼が崩壊し兼ねない。“ドンとマインドあかねさん”とのミニスカパンチラアングルとの信頼が…。
だけど、ユウタが生身の女性から告白されたと聞いて羨ましいと思ってしまった自分もいた事も確かなんだ。そして、そんな生身の女性を欲している自分を認める事に抵抗があるのも事実だ。
“認めてしまえば楽になれるぞ”とささやく声が聞こえる。
…でも、よく考えたら両方好きになってもいいんじゃね? ユウタに相談したらそれが正常だぞと諭された。好きになっていいんだ…。
フィギュアが好きでもいいけど生身の女性が好きでも別に裏切りにはならないし、人間の性として両方好きでも良くね? と諭されたのだ。
俺の目の前に急に天から光が差したようだった。一気に明るくなったのだ。
…んっ? とういう事は今までフィギュアだけが好きだった俺は曇っていたのか? 薄暗闇の中だったのか俺? などとまだ2次元と3次元の狭間で葛藤する日がもんもんと続くのであった。
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俺の名前はサイレス・ボルドー。魔王11将軍(今は魔王9将軍だが)の魔将2位のボルドー領を治める国王だ。
今年行われた半年の1度の魔王11将軍会議(という名のフィア様への報告会&反省会)は珍しく盛り上がった。
今までは議長席にちょこんと座っているだけのお飾り魔王様が発言されたのだ。しかもどうやらフィア様に相談されずに魔王様独自のお考えだったらしい。
お美しい…凛々しく発言されたお姿はとてもお美しかった。
昔を知る我らは皆、魔王様の怖さを知っている。恐怖を体に叩き込まれている。例え今はおとなしくされているようにみえても絶対に、絶対に怒らせてはならない存在なのだ! それだけは口をすっぱくして若者達にも言い伝えておるのだが…魔王様の怖さを知らないゴルドバのような、金で得た地位を自分の実力だと勘違いした大馬鹿者どもが魔王様にあのような口をきくとは…。
コロシアムに連れて行かれたが…まあ見に行かなくても結果は120%わかりきっている。魔王様には100人だろうが1000人だろうが有象無象の輩たちが敵うわけないであろう。もちろん魔法抜きでもだ。
皆、魔王様は第10界魔法が使えるから強いと勘違いしておるが…いやもちろん世界でただ一人第10界魔法が使えることはもちろん全ての戦いに優位性を持っているすごいことだが、彼女の強さはそんな事じゃないのだ。
魔王様は別格なのだ。
全てにおいて別格な存在。それが魔王様なのだ。我らのような人より少し優れているだけの人種なんかではない。そもそも比べることがおかしいのだ。そんな存在がいる事を知る事ができてゴルドバも幸せであろう。
…たとえ死ぬことになったとしてもな。
それにしても久しぶりに拝見する魔王様はお美しかった。昔の魔王様はそれはもう…粗暴で女らしさの欠片もないガサツなお方でしたが…フィア様の手によって落ち着かれて、ここ数年は女性らしいお姿へと変貌なされたようだ。
だが、最近はそれ以上に魔王様の美貌に磨きがかかっているように見える。何か生き生きとしているというか、活力がみなぎっているというか。何か新しい生き甲斐を見つけたのであろうか?
それとつい最近市民の間で話題になっていたのが、魔王様の市井練り歩きだ。いろいろな国、地区、区域に現れて民と触れ合うというかパレードだけで終わってしまうのだが、庶民達にお姿を見せて元気付けてくれるらしい。
噂を聞きつけて俺もこっそりとパレードに紛れ込んで参加した事があったのだが…それはもう民の熱気がすごかった。魔王様を一目でも見ようと群がって声援をかけるのだ。もちろん恐れ多い存在でもあるので、そこは節度を守ってはいたのだが、とにかく民人気がすごかった。
それよりも何よりも一番驚いたのが、魔王様の服装だ。魔王様のお美しい体の線が綺麗に見えるぴっちりとした上着とおみ脚がスラリと長くみえるズボン。俺も不敬ながら魔王様のキレイな御御足に目が、心が釘付けになってしまった。
今まで生きてきた中でこんなお美しい魔王様にはお会いした事がないような女性らしい服装でまさしく眼福だった。神に選ばれし者の造形美といった表現が適切かと。
さっそくお抱えの彫刻師に魔王様のお姿を発注した。もちろんパレードのぴっちりしたお洋服の彫刻を。完成した暁にはいろいろな角度から魔王様を眺めて楽しみたいと思う。
俺はよく人から無口だ、何を考えているのかわからないと言われるが。
あえて自分から言おう! ムッツリなだけのだと! ムッツリで何が悪いのだと!
これからも魔王9将軍の魔将2位として、というかその地位を利用して魔王様を間近でじっくりと見守っていこうと思う。全ては私利私欲のためでなく、魔王様の為に誠心誠意この身を捧げたいと思う。
…すまん、私利私欲も多少ある。下心も正直ないと言えば嘘になる。
だって俺はムッツリなのだから…




