第50話 レインファンクラブ~レイン.Ver~
俺はレイン・バークレン。メルニーク王国の勇者だ。
最近幼馴染のソフィアが俺のことを嗅ぎ回っているらしい。らしいというか嗅ぎ回っている。しかも俺のファンクラブの隠密部隊まで使ってだ。
何で知っているかって? 当たり前だそのファンクラブは俺公認だからだ。活動内容まで全部俺が把握している。
自分で自分のファンクラブを管理してるって恥ずかしく無いの? 自作自演クラブ? きもっ! と思われてもしょうがない。俺もそう思う…
だが、決して俺が自ら望んだファンクラブの管理ではないんだ。できれば俺だってそんなことはしたくなかったんだが、しかたなく管理する事になってしまったのだ。
元々は俺の知らないところで結成されたファンの集い程度だったのだが、だんだんと人数が多くなり組織が大きくなってくると裏に潜伏するようになってしまったらしい。国の転覆を謀る邪教徒とかと同規模まで有しているのにもかかわらず、何の活動をしているかまでは分からない謎の組織に成り上がってしまい、最終的には国にマークされる存在にまで膨れ上がってしまったらしい。
そんな時に俺は国からの依頼を受けて、自分のファンクラブだとは知らずに捜査する事に…調べていくとその活動内容がだんだんと明らかになるにつれて俺は混乱したものだ。
「ん? ん? どゆこと?」
その混乱とは、例えばアジトに残された組織の荷物の中に3日前に無くなったな~と思った俺の服が見つかったり、もはや覚えていないぐらい昔の書き損じの書類などを見つけた時なんかもあった。
「いったい、俺は何を調べさせられているのだろう…」
と複雑な思いに駆られながらも全力で組織の解明を急いだ。
そうして長い時間をかけてやっと秘密裏に進められた組織の全貌を明らかにしていったのであった。
そして全てを解明し、結果報告の為に国の諜報機関に説明しに行った時なんかには
“何だこいつ、何言ってるんだ…自慢かよ”と皆に思われているだろうな〜いや、確実に思われているだろう顔を見ながら自分も恥ずかしいのを我慢してなんとか説明をし終えたものだ。
「えーこのレオンファンクラブには女傑8帝と呼ばれる幹部がいまして、レオン様に関する…」
なんて自分でレオン様とか言うんだぜ。諜報部の偉いさんなんてめっちゃ険しい顔でキッって俺を睨むし、その他のメンバーなんかは俺に呪詛をはいてるし…
説明し終わった後の質疑応答なんか
「あー38ページのレオン様5/20使用フォークに関する…死ねばいいのにボソッ…コレクションの中身なんだが…死ねばいいのにボソッ…」
とか、語尾に“死ねばいいのに”と小さく入れられたり、“ちんこ勃たなくなればいいのに”はまだしも、“禿げろ”“もげろ”とか単純な悪口はやめてほしい。メンタルが削られまくりますから。
結局その組織を潰しても、俺がいる限り完全に消えないだろうとの事で組織自体を俺の管轄に置くことで暴走しないようにコントロールしろ、責任はすべてお前が取れ! ということで押し付けられて現在にいたる。
まあ、俺が関与していることはファンクラブでも一部の幹部しか知らないトップシークレット扱いなのだ。だからソフィアが知らなかったのも当然だ。そしてそのファンクラブの隠密部隊を使えば俺に伝わってくる事も必然だったというわけだ。
そうとは知らずソフィアはファンクラブの餌に俺の肌着を所望して横流ししている。まあ知っていて渡しているからいいのだけど、
「レオンの肌着をもらってもいいですか? け、決して私が欲しいのではないですよ! 需要と供給といいますか、色々と女には戦わなければいけない時が有るのですけど、無いときもあります。」
とよくわからない事を言い訳して持って行った。
バレバレなんですけどね。あと、その肌着…同じパーティーの斥候剣士ガイル(35歳)のだからな。俺が意地悪で渡したわけじゃ無いからな。お前が慌てて間違えて持って行っただけだからな。ファンクラブに怒られても知らんからな…な?
というわけで全部把握している俺の女性関係を洗っているらしい。
何度も好きな女性は居ない、女性と会ったりしていないと言っても信じてくれないようだな。
かと言ってユウタの部屋、異世界へと繋がったことは公言できないし説明できない。身の潔白を証明しようがない。というか本当と女性に会ってないのだから証明しようが無いのだけれども、こんだけ言っても信じてもらえなければどうしたらいいのだ…。
そういえばあいつ、小さい頃から頑固なところがあったな。見た目はお淑やかそうにみえるのだが思い込みが激しいし、時には頑として譲らないみたいな所があったしな。
そういえば…小さい頃に甘味に飢えていた俺たちは、ある木の皮が甘い事に気付いてみんなで吸っていたのだが(今考えると全く甘くはなかった。)その3日後木の皮を吸った子供たちが皆お腹が下って、ソフィアだけはあの木の皮に毒が入っていると主張して譲らなかった事があったな…俺は何ともなかったから木の皮じゃないと思うんだけど…今でも謎だ。
ん〜こうなったら魔王に力を貸してもらおうか。実は魔王と会っていました的な。別に付き合ったり恋人ではないけど魔国とメルニーク王国の将来に関しての…ていかんいかん大事になりすぎだ。俺の熱愛報道よりも大事になってしまう。
でもこっちの世界で魔王と会ってみるのもおもしろいかもしれんな。こっちで異世界の事、ユウタの事を話す事ができる唯一の友達だしな。よし今度誘ってみるか。




