第49話 ダンジョン攻略①
今僕の目の前には洞窟の入り口がある。高さは大人1人分、広さは大人2人分が通れそうな入り口だ。
「なんだかすぐに崩れそうな洞窟にしか見えないんですけど…。」
「ユウタはダンジョン初めてだったか。」
「ダンジョンなんて入り口はどこもこんなもんだぞ。」
中に入っていくと段々と広くなっていくらしい。それに未だかつてダンジョンが潰れて生き埋めになった事もないそうだ。
でも、昔えらい人が言っていました。今まで無かった事が、いつ自分に降りかかるかわからないからそんなの関係ないってね。
「でも、今まで何度も潰れた事があって、生還率は五分五分だって言われるよりは生還率100%って言われた方がいいだろ?」
「入る前からあれこれ考えてもしょうがないぞ。」
二人の意見にもっともだと思いへっぴり腰でついていく。
中は意外に明るい。もっと真っ暗で息苦しい感じかと思ったけどそんな事はない。カミラさんは今までそんな事考えた事無いと言って興味なさそうだったが、レインさんはどうしてダンジョン内が明るいのか、空気が通っているのかをちゃんと説明してくれた。なるほど。
入り口から100mぐらい進んだところで、カミラさんが地面に向かって解析魔法を唱えた。
「ふむ、この感じだと大体50階層ぐらいだな。ダンジョンのランク的には下の上ぐらいだ。」
「じゃあランクの高いお宝なんかは期待できないな…ちゃっちゃと進むか。」
そう言うとカミラさんが僕たちに下がっているように指示して、広間のような場所で魔法を唱えた。
すると天井から透明な1m幅ぐらいの筒?のようなものが降りてきたかと思うと床を突き抜けた。上から覗くと…地面に穴が空いてる…下までずっと続いているようだが、深くて見えない…こわっ!
「とりあえず20階まで穴を開けたから、いっきに下に降りるぞ。」
えっ? そんな降り方? ダンジョンって1階ずつ地道にコツコツ降りて行くものじゃ無いの? 後、良くあるダンジョン設定なんかでは壁とかは硬くて絶対壊れないように出来ているんじゃ無いの? と疑問に思っていると
「ああ、別にダンジョンを壊して出来た穴では無いしな。ちょっと隙間を開けた感覚だ。だからしばらくしたら自己修復で元に戻るからユウタは早く降りろ。浮遊魔法をかけてやるから。」
そう言われて怖いながらもレインさんに続いて穴から飛び降りた。ふわっとした浮遊感からすーっとエレベーターぐらいのスピードで降りだした。その降りて行く途中で、その階その階の魔物と目があったりもするが、透明な筒のようなものに守られて向こうからこちらに手は出せないようだ。
ゴブリンのようなものが多かったかな。あと…ゴブリン。10階ごとに階層主がいるんだけど、10階層を通過する時が一番辛かったわ〜。
なんか見えるわけ、階層主が。レインさんいわくゴブリンソードらしいんだけどそのゴブリンソード3匹が僕たちが上からすーっと降りてくるところをじっと見てるわけ…悲しそうな表情で。
また僕たちが降りて行くスピードがエレベーター並みのゆっくりと降りて行くもんだから、上からずーっと降りてくのに合わせて見てるわけ…悲しそうな表情で。
さすがにいたたまれなくなって目を逸らしちゃたもんね…心の中で謝っちゃったよごめんって。
そんな10階層を素通りしていく僕達を地面すれすれ、見えなくなるまで見送っていたもんね…ゴブリンソード3匹が。どんだけ出番を心待ちにしてたんだ! こっちが悪いみたいじゃないか…心の中で謝ったけど。
そんな事があってやってきました20階層のボス戦。ここはスルーしなかったよ。ちゃんと戦いますよ、僕が。
僕が戦うんかい! と思ったけどお相手はなんと因縁のゴブリンキング。因縁というか…全くレベチでカミラさんのチート魔法で勝っちゃったみたいなオチだったけど。26話参照。
20階層のボスはそのゴブリンキングとそっくりそのままでした。と言ってもゴブリンの違いが見分けつかないので違う個体だとは思うんですけど。
「ほれ、ユウタはこの剣で戦ってみろ。」
そう言ってレインさんが放り投げてくれたのは普通のショートソード。魔剣とか業物といった特別でもない普通のショートソード。
「今回は我の補助魔法も必要ないだろう。早よ行け!」
カミラさんはそう言って発破をかけてくれる。
つまり、あれですね。前回までの未熟な僕では全く歯が立たなかったゴブリンキング。あれから幾度となくmissionをこなした僕はステータス的にも人間的にも成長して、今からこの何の変哲も無い剣で戦って、“あれ、僕はいつの間にこんなに強くなっていたんだ…”っていうヤツですね。わかります。
そうほくそ笑んでゴブリンキングと対峙する。
前回と変わらず、身長はだいたい160cmと小柄だけど筋肉モリモリ。見るからに凶暴そうな醜悪な顔だ。めっちゃ僕を睨んでいる。
レインさんやカミラさんもいるのに僕を標的に定めたようだ。弱いものを的確に見定める力量、小学生の時に弱いものいじめをしてはいけませんと教育を受けてきてないようだな。
そんなジャイアン気取りのヤツは僕が懲らしめてやらねばと心に言い聞かせ、ゴブリンキングに踏み込み剣を横薙ぎにはらった。
「せいっっ」
避けられた。
「ていっっ」
避けられた。
ザクッ
僕が切りつけられた。
「ダメじゃん! 全然成長してないじゃん僕! どゆこと? レインさん。」
「まだ、ユウタは5回に1回ぐらいしか勝てない実力だぞ。ほれ、よそ見すんな。」
「実戦に勝るものなしだぞ、ユウタ。」
えええ〜実力で余裕だったんじゃなかったの僕…。まあ実はそんな気がしてましたけどね。対峙したとき明らかに僕の方が力量が下だなって確信してましたけどね。
二人が僕に実力を付けさすために鍛えてくれる気持ちもわかるんで、泥臭くても倒しに行きたいな。よし! やるぞ。
……倒すのに2時間かかりました。
途中2回ぐらい死にそうになったし。カミラさん途中寝てるし。レインさんは最後まで僕にアドバイスを送り続けてくれてましたけど、アクビを噛み殺してましたよね? そんなに僕の死闘は退屈でしたか?
まあとにかく泥臭く、字のごとく泥まみれで汚れてますけど自分の力だけで勝ちました。(途中死にそうになった時は助けてはもらいましたけど。)
出てきた宝箱はポーション(中)だったので戦い疲れた僕が飲み干してプラスマイナズ0でした。
その後はもう疲れたので今日は20階層クリアまでで帰宅です。残り30階層は期限までにクリアすればいいみたいなのでまた明日以降に来る事にしよう。




