第46話 本当の相談
「まあ、余興はこのぐらいにしてですね、今からが本当の相談なんですけど。」
「余興だったのかよ…。」
「余興にしてはえらい熱く語ったな…。」
「じゃあカミラさんは告白された事があるんですか? ちなみに男性とお付合いした事は?」
「魔王に聞くなよ! また余興が始まるだろ…」
「な、なんだお主らは! そのまるで我がモテないような言いぐさは! 最初っからモテない前提で聞くなんて失礼だぞ!」
カミラさんが顔を真っ赤にして反論する。
「で、カミラさんは?」
僕がしつこく聞いてみる。
「…も、もちろんある…ぞ! あたりまえじゃないか。」
声ちっさ! カミラさんの性格なら本当に告白された事があったらもっと大きい声で活き活きと答えると思うけどな。
「…わかりました。で、次の話なんですけど。」
「ユウタ、何何なんだ?」
「おい! 我を無視するな! 本当だぞ! もっと根掘り葉掘り聞かんか!」
「…わかりました。で、次の話なんですけど。」
「ユウタ、何何なんだ?」
「…泣くよ、我泣いちゃうよ?」
「無いんですね、カミラさん。じゃあ僕と付き合ってください! お願いします!」
「えっ、あっ、ん、ユウタ…本気か? わ、我と付き合いたいのか?」
「はい、という事でカミラさんも告白されましたね。僕と一緒でよかったですね。で、次の話なんですけど。」
「まさかの幻告白! えっ今の告白夢だったの? 我の夢?」
あんまりからかい過ぎると可哀想だからフォローするか。
「カミラさん別に告白や付き合った事なくても全然恥ずかしい事なんてないですよ。だってカミラさんは魔王ですから、いくら美人でスタイル抜群でも恐れ多くて声なんて掛けれませんよ、ねえレインさん。」
「ああ、そうだな。魔王なんて特別すぎて並みの男じゃあ釣りあわ無いぜ。だからみんなお前の事を好いてても気持ちを打ち明けるなんて事出来ないぞ。勇者である俺も魔王と同じ立場のようなもんだから気持ちはすごく分かるんだ。まあ、俺はもててもてて困るほどだけどな。告白された事も数えきれないほど経験してるけどな!」
爽やかにフォローするレインさん。全然フォローになってませんけど…むしろ火に油を注ぎ過ぎてますけど…
「うがあああああああああ」
あっ、やっぱりカミラさんが切れた。
「今から勇者にインポンテンツの魔法をかけてやる! 一生使い物ならない呪いだ!このまま男としての人生を枯れさせてやる!」
「ちょ、待てよ! 悪かった! 俺が悪かった、謝るからインポンテンツの魔法だけはやめて!」
こうして魔王カミラさんをからかうというコントを10分ぐらい繰り返して、茶番の幕は降りたのであった。
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「「夢を見る?」」
「いえ、夢と言えるのかどうかわからないのですけど。」
僕はレインさんとカミラさんに今まで…といっても2回謎の男? との会話を話した。
“まだ寝てるのかよ”
“いいかげん目を覚ませよ”
“全然覚ましてねーよ。まだ寝たまんまなんだよお前は”
“くくく、くわはははははははは。笑わかしてくれるぜ、お前なんかに特別な能力なんて宿ってるわけねーだろう。もちろん別人格も宿していない。”
“お前はお前が思っている以上に無能だ。お前1人では何もできない役立たずなんだ。それを思い出せ。”
“思い出してからが、お前の本当の…。”
僕はレインさんとカミラさんに会話を全部話した。
「ふ〜ん、目を覚ませよ、ね…。」
「………………。」
レインさんもカミラさんも思案顔だ。
「いつも真っ暗闇の中ですので、男なのか女なのかすらも分からないんです。暗闇の男は。」
「何か暗闇の男ってネーミングがな…。」
「もっとポップな感じでどうだ、略して“クヤマン”とか?」
…何だろうまたどうでもいい茶番が始まる予感がする。
「“クヤマン”って魔王それは無いだろう。もっと暗闇要素を残してだな、“根暗な男“でどうだ?」
「性格が根っから暗い人というのは意味は適してるかもしんないですけど“暗闇の男“とそう変わり栄えしないというか…僕的には横文字でいいんじゃないかと。“ダークネスマン“略して“あやパン“でどうですかね?」
「全然略してないけど“あやパン“ってどっかのアナウンサーみたいな響きだな…よく知らんけど。我の“クヤマン”の方がオリジナリティがあるだろう。」
「いや、二人ともセンスないわー俺の“根暗な男“略して“不二家のネクター”の方がかっこいいわー。」
「レインさん全然略してないですから! ネクだけあってますけど。しかもネクターってなぜ異世界勇者が知ってるし?」
「“あやパン“とか“不二家のネクター”とか、そんなんでいいなら我がテレビで見た好きな芸人の“クロちゃん“でいいだしんよ!」
…異世界魔王いったい何のテレビを見てるんだ。しかし
「…いいんじゃないか? “暗闇の男“の黒い部分がかかっているし、ポップな感じがして…いいだしんよ!」
えっレインさんまで。
でも、確かに最初はふざけているのかなとも思ったけどなかなかいいメーミングに思えてきた。わざわざアイツにカッコイイ名前をつけてやる必要なんてないしな。よしこれでいこう!
「じゃあ、満場一致で“クロちゃん“に決定だしんよ!」
「うおおー! 我の案が採用されたお礼にプリンが食べたいだしんよ!」
「ええええ、じゃあ俺も参加賞でシュークリームが食べたいしんよ!」
…しんしんうるさいな…普通にイラっとするな。
「名前も“クロちゃん“に決まったこ…」
茶番を終え、僕が場を仕切りなおそうとすると…カミラさんが僕を正面から抱きしめた。
「えっ、えっ? か、カミラさん何を…ど、どうしたんですか?」
いきなりの事で僕は心臓がバクバクして同様してしまった。すると今度はレインさんが僕の背中の方から抱きしめてくれた。
「なっ、れ、レインさんも、僕にはそのケはありませんよ。」
何かてれくさくてちょっとおどけて言ってみたがみんな無言で抱きしめてくれる。
温かい。
今まで長い事感じられた事の無い人の温かさだ。
「ユウタ、我たちは仲間だ。気の置けない仲間だ。」
「そうだぞ! 俺たちはかけがえの無い仲間だ。」
カミラさん、レインさんの声が温かい。
「だから、辛い時や悲しい時は我たちの前だけでも全部曝け出せ。」
「いい事も、悪い事も遠慮なく共有し合う仲間じゃないか。」
そう言って二人は両側から僕を強く抱きしめてくれる。
「我慢しなくてもいいんだぞ。」
「今まで頑張ったなユウタ。」
温かい。
今まで長い事感じられ無かった人の温かさだ。
高校一年生から一人暮らしをしていてどんなに辛くても、どんなに悲しい事があっても泣かなかった僕が号泣してしまった。
悲しい感情が二人に押し出されて一気にとめどめなく溢れ出てしまう。僕は泣きながら二人にお礼を言い、疲れ果て寝てしまったのだった。




