第45話 二人に相談してみる
また今日もレトルトで済ませてしまった。二人に申し訳ないと謝ったが僕の謝罪も何のその、ばくばく食べている。
全くしっかりしろよな、以後気をつけろよと言いながらばくばくと食べている勇者。本当に我は1日でこの時間だけが楽しみなんだから、そんな我をがっかりさせるでないぞと、もきゅもきゅ食べている魔王…。
お前らどの口が言ってるんだごるああああ! とちゃぶ台をひっくり返したい気分だ。
今日のレトルトは牛丼だ。某有名チェーンのレトルトパックはスーパーにも普通に売っている。量が少なめなのだけど、そこは大量に買って合わせ技で出している。
味もお店と変わらないんじゃないかな…ごめん僕は違う牛丼店でしか食べた事がないのでこのレトルトとお店の味が一緒かはわからないのだが美味しいです。僕は4袋をご飯2杯分で食べて腹がパンパンなんです。
この後のアディショナルタイムは二人のエースストライカーの点の取り合いをネット裏から見守るだけの無断な時間です。あっしまった、僕はレンチンだけだけど調理してるから部外者ではいられなかったわ。
そんな事よりいつ見ても二人の食べっぷりは、新幕のお相撲さんを見ているようだ…見た事ないけど。それだけすごい食いっぷりって言いたかっただけだ。
ちなみに牛丼を供給するシステムは2つ。どんぶりを用意して、1つの丼を食べている間にもう1つの丼に牛丼を用意して交互に食べてもらうシステムだったが、僕一人では間に合わなくなり、わんこそばのように
「はい、はい」
と掛け声を出しながら、丼に入れていく方式なのだ。これの動画を撮ってYouTubeに流したら再生回数すごいと思うよ…やらんけど。
そんなこんなんで二人の新幕がお腹いっぱい満足したところで今日は僕の悩みを聞いてもらう事にした。
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「今まで黙っていたんですけど、お二人に聞いてもらいたい事があるんです。」
「ユウタ…お前の悩みを聞くのはいいんだけど…」
「なぜ、我達正座? しかも床の上に?」
「あ、すみません気が効きませんで、足にこれを敷いてください。」
「ありがとう…ってこれギザギザして痛いんだけど!」
「これ十露盤板?、江戸時代の拷問道具じゃない? 我達を拷問する気か! 罪状は何だ!」
カミラさんナイスツッコミだ。よく十露盤板なんて知っていたな。三角形のギザギザがついた板で、その上に罪人を座らせてさらに膝の上に石の板を積むという「石抱き」という拷問なのだ。気になった人は十露盤板で検索!
「まあ、冗談はこのへんで、お二人に聞いてもらいたい事があるんです。」
「全く、人に聞いてもらう態度じゃないぞ。」
「本当に我らに聞いてもらう気があるのか?」
先程とは違いリビングのソファーに座りながブーブーと文句を言う二人に僕は真面目な顔をして相談した。
「実は…今まで黙っていたんですけど…」
僕はためにためて、間を多めにとって意を決して話してみた。
「実は僕…この間告白されたんです。」
「…は? そっち?」
「……思わぬ展開だな。」
二人は困惑しているようだ。そんなに僕が告白されたのが意外なのか? まあ自分でも意外なのだが。
「それで何でそんなに浮かない顔なんだ。うれしくないのか?」
「まさか我らにのろけ話を聞かせる気ではないだろうな?」
「いえ、返事はまだしてないんですけど相談というのは…顔が好みではないんです。」
「………。」
「………。」
「いや、呆れずに最後までちゃんと聞いてください。告白されたんですけどこちらは知らない子だったから返事しようがないというか…そりゃあ告白する側はある程度僕の事を調べてきてるから知っていると思うんですけど、僕はその娘に対して何の知識も無く急に言われたから戸惑うと思いません?」
「んーまあ戸惑うかな、確かに。」
「我も…そうだな。」
「そこで、告白された後に多少どんな娘かは調べますけど、人の話だけじゃ分からないじゃないですか。人を好きになるポイントって①顔、②性格、③体だと僕は思うんですけど…。」
「③体ってストレートだな。」
「③体って思っていてもなかなか言うやつおらんぞ…。」
「そりゃあ性格がいいというか、自分と相性がいいなんて長い事付き合わないとわからない事だから、結局外見で選ぶしかないんじゃないかなと僕は思うわけです。」
「…意外にまともな話…かな?」
「いや、よく聞くとゲスな話だぞ。」
「告白してくれた娘の顔も…正直な話ブサイクというほどではないんですけど僕の好みじゃ無いとというか…好きな顔じゃ無いんですよね。今のご時世、顔の事を言うと叩かれてしまいますけど、ブスだから嫌いというんじゃないんですよ。自分の好きな顔のゾーンってありますよね? 人によって好みがちがうじゃないですか、いくら他の人があの娘は美人だって言われても僕のゾーンに入ってなかったら好きになれないと思うんですよ。そこは無理して付き合ってもいつか破綻してしまうから自分に嘘をついてまで付き合う必要はないんじゃないかと。」
「思ったよりも長文で語ってて草(笑)」
「我は何を聞かされているのだ…。」
「だから短く言うと、いきなり知らない子から告白されたけど顔が好みじゃ無いから断った方がいいか、でも付き合ったら自分の性格に合う娘かもしれないから付き合ったほうがいいのかっていう相談なんです。」
「短くないな…」
「…まあ、同じ男として勇者がアドバイスしてやればいいんじゃないかな。」
「レインさんどうですか?」
「正直どうでもいいというのが俺の意見なんだが…正解なんてないんだから色々と経験した後に最適解を導き出せばいいんじゃないかと。」
「端的に言うと。」
「遊びまくれって事。」
「ユウシャサイテー。」
カミラさんなぜカタカナでギャルみたいな言い方? 軽蔑の眼差しがすごい。
「だけど、これが初めて同士っていうところがそう簡単に決断できない要素でもあるよな。」
「レインさんどういう事ですか?」
「お互いに経験豊富な場合は遊べ…色々な人と付き合えばいいと思うけど、初めてとなると…この後にも印象が残ると思うから慎重に決断した方がいいな。傷は浅い方がいいしな。」
「ユウタは顔が好みじゃ無いのになぜそんなに迷っているのだ。断ればいいじゃないか?」
「…な…んです。」
「は? なんて?」
「めっちゃいい体してるんです!」
「…いやそんないい顔で言われても困る。」
「ユウタサイテー。」
カミラさんなぜカタカナでギャルみたいな言い方? 軽蔑の眼差しがすごい。
「背は僕より低いんですけど、もちろん太ってなくて出るところが出てるっていうか。顔は全然好きじゃ無いんですけど、このボディが僕のものになると思えば…ぐふふふ。」
「同じ男して分からなくも無いが…サイテーだなユウタ。」
「ユウタサイテー。」
「自分、欲望には正直なんで。」
僕は鼻の下に指をあて、へへへっと照れながら答えた。
だが、結局体目当てで付き合という僕の小さな野望は果たされる事はなかった。何か目つきがいやらしいという理由で告白がなかった事にされたからだ…いや、僕のほうが先に顔が好みじゃなかったんで。別に負け惜しみじゃないよ…ぐすっ。
まあ、結局結論は出ていたのだが、第三者に聞いてもらいたかっただけです。




