第41話 引っ越す事になりました
「今日は二人に悲しいお知らせがあります。」
食事が終わった後僕は二人に告げた。本当は今日僕が倒れたので体調が悪いのだろうという事で二人は気を使って早く帰ろうとしてくれたのだが…
読者も忘れているかもしれないが、31話の最後に啓示の音が鳴り響いた件についてもうそろそろ話さないといけないかなと思い引き止めた。決して作者が忘れていたという事では断じてないのだ。
「実は…1週間ぐらい夕食を作れなくなるかもしれません。」
「「ええええええええええ、なんだっってえええええええええええ」」
大声で叫び二人は僕に詰め寄る。
「ど、どうしてそんな残虐非道な事が出来るんだ、お前は!」
「いたたたたたたた〜〜」
レインさんが僕に覆いかぶさって上四方固めをしてくる。上四方固めとは、仰向けになった僕の頭側からレインさんの両腕と体を使って抑え込む技だ。簡単に言うと僕の顔の目の前にレインさんの股間を押し付けてくる技だ。説明でもわからない人は「上四方固め」をコピペしてすぐに検索だ!
ちょっとレインさん股間を押し付けてるのはやめてください。モロに僕の頬に当たってますけど~と叫んだらわざと当ててるんだとの返答が…わざとなんか〜〜い! 上四方固めを解こうにもがっちり抑えられていて身動きできん。なぜ異世界の勇者が柔道技をマスターしているのか疑問だ…解せぬ。
「そうだぞ! ユウタは悪の中の極悪だ! 我の人生の楽しみを奪うな〜〜!」
「いたたたたたたた〜〜」
カミラさんが僕の足をプロレス技の足4の字固めを決めてきた。痛いいいいいい! だけれども、ほんのり女性特有の体の柔らかさが感じられてこれはこれで…いややっぱり痛いです。
「せ、せめてレインさんの上四方固めとカミラさんの足4の字固めの交代を要求する!」
僕はそう叫んだ。
「「だが断る」」
…断られた。
結局なぜ1週間夕飯無しなのかの理由を聞いてもらうまで、二人の攻めを一身に受け続け、怒りが収まるのを待ったが…。
さっき、僕意識失って倒れてますやん。だから今日は我々は早く帰るからゆっくり休めよって言ってくれたふたりの配慮はなんだったん? と逆に詰め寄りたい気分だったが話が進まないのでグッとこらえたぞ。
「で、何でそんなひどい結論が出たのか話してみろ。」
「そうだぞ、早く話してみろ。」
お前らが…いややめておこう。
「実は先週でしたかまた啓示がありまして、なんと! 僕の部屋レベルがあがったんです! わーぱちぱちぱちぱち、はい皆さん一緒にぱちぱちぱち。」
拍手がまばらだ。人気の無い芸人の出番ぐらいまばらだ…
「何だその部屋レベルっていうのは。」
「そうだ、聞いたことないぞ。」
「僕も何がなんやら全くわかりません。」
二人がジト目だ。ジト目で僕を攻撃しだした。
「いや、僕にも部屋レベルの詳しい事はわからないんですけど、どうやらレベルが上がったことにより部屋を移動できるみたいなんです。」
「部屋を移動? するだと…」
「新しい部屋に変えるのか? ユウタ」
そうなのだ、僕の部屋は今1DKでほぼ1部屋しかないからレインさんとカミラさんが来るとものすごい狭いのだ。だから部屋を変えようと思う。
「というわけで今現在の1DKの部屋が手狭になったので、ちょうどこのマンションの違う部屋に家族用の住居が空いたので引っ越そうと思います。今度は3LDKなので3部屋に増えますので、レインさん、カミラさんの専用部屋も用意しようと思うんですけど、どうですか?」
そうなのだ、お金の問題もメドがついたので、今現在1DK5万円ぐらいの家賃だったのだが3LDKで9万円ぐらいで借りれるようになったのだ。いつも二人から夕飯代を徴収しているので月4万円上がっても全然余裕で払える金額だ。
本当はもっと新しい違うマンションを借りようかとも思ったのだけど、引っ越すのが面倒くさいので多少築年数が経ったマンションでも同じマンションの方が面倒が少ないかと思い即決断したのだった。
「それはいいな。こっちの異世界にも俺の居場所ができるってことだろ。」
「ナイスなのだ! 我もこっちの世界に住んでみたいと思っていたんだ。TVとか毎日観れるしな。」
「そうですね、1人1部屋なので自分の部屋を決めて好きなようにカスタマイズしてくれていいですよ。必要な物もこちらで購入して揃えますし。」
概ね好評なようで良かった。まあ二人は外に出れないのでほぼ僕が一人で引っ越しの準備しないといけないから憂鬱なんですけどね…
いっその事、金にものを言わせて全部引っ越し業者にやってもらう「引っ越しらくちんパック」を申し込むか…て同じマンションに引っ越すだけだから自分一人で出来るか…大きい荷物は冷蔵庫とダイニングテーブルぐらいだしな…。あっベッドがあったわ。しょうがないコウジとタケシに頼むか。寿司ぐらいおごってやればいいだろう。
なんかものすんごい小金持ちみたいな発想になってきた。でも確かに入金システムが確立してから金回りが良い。異世界missionでも結構いいお金が手に入るから現在の僕の収入がだいたい大企業の課長さんぐらいあるのだ…いくらか知らんけど。
まだ1カ月も経ってないが、とにかく料理作って1日最低2万×20日(毎日僕が作った場合)とmissionが不定期だけど1回1〜2万円で4〜6回ぐらいで10万円弱…もう就職しなくてもいいんじゃね? 来年の受験をどうするか考える時期に入ってきたのだが…受験をしないという選択肢も入ってきたな…。
「という事で僕は引っ越しの作業やら、お二人の家具などの選定などで忙しくなりますので1週間ぐらい引っ越しが終わって落ち着くまでは無しにしてほしいのです。」
「えーーーそれでもな。1週間はちょっと長いよな。チラッ。」
「そうだぞ! 1週間もユウタの食事を食べなかったら我のこのナイスボディーも維持できんかもしれんのだぞ! ユウタはそれでもいいのか。チラッ。」
「いや、逆にカミラさんは食べ過ぎだから痩せたほうが…」
カミラさんの目が光り、また僕に足4の字固めを仕掛ける殺気を感じたので皆まで言うのを止めた。危なかった…また足4の字固めを食らえば僕の息子が使い物にならなくなるところだった。
「とにかく、レトルトや簡単なものでもいいから2日に1回は食わせてくれ、頼む!」
大の勇者が僕に頭をさげる。ちょっとレインさん、そこまで…勇者に頭を下げさせる僕っていったい何者なんだ…。
「そうだ、本当に簡単なものでいいのだ。頼む、なんだったらまたピッチリした服を着てきてやってもいいんだだぞ。だから、な、な。」
カミラさんが上目遣いで僕を篭絡しにかかる。1国の魔王に自分の体を張ってまで媚びさせる僕っていったい…
「わかった、わかりました。でも引っ越しは皆さん手伝ってくださいよ。力仕事もたくさんありますから。」
「ああ、力仕事ならまかせておけ!」
「そうだ! 我も力仕事なら頼ってくれていいぞ!」
こうして結局いつも通りに二人の夕飯を作る事になった僕である。
はああああああ正直面倒くさい…




